ポピュリズムとは?
- 2011年 8月 27日
- 交流の広場
- 宇井 宙
原発事故以後、重要な情報を隠蔽したり安全デマを垂れ流したりして、多くの国民を故意に被曝させるという大犯罪を犯した菅内閣がようやく退陣することになったが、後継首相となる次期民主党代表選に名乗りを上げている面々が揃いも揃って原発継続派であるのには開いた口がふさがらない。
自民党政権末期、こんなひどい首相は見たことがないと思っていたら、「下には下がある」ことを証明する人物が次々に首相になって国民を呆れさせたが、同じことが民主党政権でも繰り返されるようだ。
時期首相候補の中でもとりわけひどいのが前原氏だろう。なんでも「国のために」出馬するとか言ったそうだが、この「国」が米国であるのは周知の事実だ。ところで、この前原氏が6月26日、菅首相の原発政策見直し方針をポピュリズムだ、といって批判したというニュースを見たときには唖然としてしまった。今、仮に原発政策で国民投票を実施したとしたら、おそらく原発の縮小・廃止を求める意見が多数を占めるだろう。そのような国民の多数が支持する政策を実行することを「ポピュリズム」だとして批判したのである。一体、前原氏は民主主義を何だと思っているのであろうか。自民党政権末期時代、民主党は自民党の選挙を経ない「政権たらい回し」を批判していたが、今、民主党が同じことをしている。民主党が大勝した2年前の衆院選では原発政策は全く争点になっていなかった。しかし原発事故以後、国民の意識は大きく変わった。そして選挙もせずに政権を交代させるのであれば、せめて今最大の争点である原発政策については国民の多数の願望に沿った政策を採用するのが筋であろう。
ポピュリズムとは大体において侮蔑語であるが、正確な定義を下すのは難しいし、的確な日本語訳もない。「大衆迎合(主義)」と訳されることもあるが、もしかしたら前原氏もそういう意味で使ったのだろうか。しかし、選挙もせず、大衆に迎合もせず、アメリカと財界にばかり迎合する政治家に「民主党」などと名乗ってほしくない。
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