悪夢(Albtraum)
- 2011年 8月 27日
- 交流の広場
- 合澤清
このところのゲッティンゲンは連日ひどい天気が続いている。8月末といえば、普通はかなり涼しい陽気のはずだが、盛夏が戻ってきたような猛烈な暑さ(30度以上の猛暑)と、日本並みの湿度の高さである。夜はさすがに外は涼しくなってはいるが、僕の部屋は熱がこもっていて寝苦しい。そのせいであろうか、妙な夢を見て明け方に目を覚ますことになった。普段は、夢など気にもかけないのだが、今回はなんだかどうも…。
その夢の中で僕は「荒城の月」を口ずさんでいた。口ずさみながら栄枯盛衰を嘆いていた。突然、日本という国が亡くなり、「日本国民」と呼ばれていた我々が「日本難民」と呼ばれるようになり、1億2千万人が世界中に漂流するようになったことに気がついた(夢の中の現状)。どこの国が支援の手を差し伸べてくれるだろうか、アメリカか、中国か、ヨーロッパか、あるいは東南アジアの諸国か、ロシアか、アフリカや中東か、…。多分どこの国もそっぽを向くのではないだろうか。運よく(あるいは運悪く?)アメリカに拾われた人々は、堤美果が『貧困大国アメリカ』に描いたように、アメリカの守銭奴顔負けの「大企業」の餌食になって、丸裸どころか、未来永劫の借金地獄(債鬼)に追いかけられることになるのがオチであろう。中国、東南アジア、韓国、彼らには先の戦争の償いすら済ませていないのだ。ヨーロッパ、ロシア、多分日本人など問題にもならないだろう。アフリカ、中東、僕らがどれだけこの地域を理解し、彼らのために尽くしてきただろうか?…云々。
結局大半の日本人が「放射能汚染地獄」の中で座して死を待つ運命を甘受するしかないのではないか。そして今それを迎えているのかと、恐ろしさで震えあがりながら、寝汗をびっしょりかいて目が覚めた。
「悪夢」で終わればよいが、だんだん現実味を帯びているように思われるのは僕だけの杞憂であろうか。
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