SJJA& WSJPO【西サハラ最新情報】556 ガザ休戦で西サハラ難民対応計画も再活動
- 2023年 11月 25日
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- イスラエルガザ平田伊都子西サハラ難民
「2023年11月23日午前10時から4日間の戦闘休止」が、イスラエルとハマスの双方で、別々に発表されました。 「ハマス殲滅まで、戦争は続ける」と、断言したネタニヤフ・イスラエル首相は、休戦直前もガザ北部のインドネシア病院を戦車で包囲しました。
あれほど<戦闘休止>に逆らっていたネタニヤフが、シブシブ応じたのは、イスラエル紙ハーレツのスクープがあったからです。
① イスラエル紙ハーレツの大スクープ:
「1400人のイスラエル人を虐殺したテロリスト・ハマスを殲滅する!戦争だ!!」と、ネタニヤフ・イスラエル首相は10月7日の惨劇を受けて戦争内閣を急造し、翌8日、イスラエルに飛んだバイデン米大統領は、「ガザ住民の後ろにはハマスがいる」と、ネタニヤフのガザ無差別爆撃を煽った。国連事務総長は<ハマスのテロ行為>を、非難させられた。
しかし、難民キャンプも病院も学校も国連施設も、あらゆる建物を空爆し230万ガザ住民の民族浄化を急ぐネタニヤフの狂気に、国際社会のみならず人質になったイスラエル人の家族までもが不信感を抱くようになった。11月11日、イスラエル外務省のリオール・ハイアット報道官が、10月7日の犠牲者1400人を1200人に変えた。米CNNは、「11月15日にイスラエル軍は、シファー病院で発見されたハマス側の武器とする映像を公開したが、報道陣の到着前に同政権により武器が運び込まれた可能性がある」と、分析した。
狂気のネタニヤフ・ガザ殲滅が始まって1か月以上たった11月20日、イスラエル紙ハーレツが動画で、「10月7日の野外音楽祭で多数の犠牲者が出たのは、イスラエル軍アパッチ・ヘリコプターが誰がハマスで誰がイスラエル市民か分からない状況で群衆に向けて乱射したためだ。侵入したハマスの車両も大破し、パレスチナ人も犠牲になった」と、報じた。(参照 Pilot reveals: Israeli killing of its Citizensパイロットが暴露:イスラエル人がイスラエル市民を殺戮) 。
11月19日付のハーレツは、警察が行った捜査内容を引用しながら、「10月7日にレイム入植地近郊で行われていたノヴァ音楽祭で、イスラエル軍のヘリコプターが誤って多数の参加者に向け銃撃した。警察の捜査では、ハマスは当時この場所で音楽祭が行われていることを事前に認識していなかった。音楽祭に参加していた人々は、ハマスが現れるまでにほとんどが逃げ出していた」と書いた。
「Stop the Lies! ( 噓をつくのはやめて!)」と、人質の家族たちはデモで叫んだ。
② ガザ戦争4日間の一時停戦:
11月21日、イスラエル紙ハーレツは、「月曜日のクネセトの公聴会で、ハマスに拘束された人質の家族は、イスラエル政府に対しテロリストに死刑を認める法律を臨時制定しないよう懇願し、家族の一人は極右のイタマール・ベン・グヴィル国家安全保障相に<今、私たちの苦しみにつけ込まないでほしいz>と訴えた。人質の家族は、月曜日の夜に戦時内閣と面会した。双方の間で怒号が飛び交った」と、伝えた。
カタール、サウジアラビア、トルコ、エジプト、ヨルダン、インドネシア、ナイジェリアから成るガザ情勢調停連絡グループの外相らは、11月19日に中国の北京を訪れ王毅外相と会談し、21日にはロシアのモスクワを訪問し。セルゲイ・ラブロフ・ロシア外相に停戦に向けた行動を促した。22日には英ロンドン、仏パリを訪問し、それぞれ会談を行った。
11月20日、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)の首脳も、ガザの状況についてバーチャル会議を開いた。南アフリカやボリビアを始め、多くの国がイスラエルとの国交を断絶した。
そして、ネタニヤフ戦時内閣は、女性と子どもの人質50人の解放と、ハマスとの戦闘を4日間、休止するという交渉内容を臨時の閣議で承認した。ユダヤ教シオニスト強硬派が主流のネタニヤフ内閣が、イスラム教徒やキリスト教徒による外圧に屈したわけではない。<神に選ばれた民>は、同じ民の内部告発に屈して、<一時休戦>という策に出ただけだ。「ハマス殲滅を完了させるために戦闘は継続する」と、ネタニヤフは豪語している。
イスラエルは、11月22日未明、「子どもと女性の人質少なくとも50人をハマス側が解放し、戦闘を4日間、一時的に休止する」と、発表した。 50人の人質は、4日間にわたって順次、解放される。 ハマスがさらに人質を解放する場合は、10人につき、戦闘を休止する日を1日ずつ増やす。
ハマス側も、戦闘の休止に加えてイスラエルで収監されているパレスチナの女性と子ども150人を釈放することで合意を得たと、発表した。
同胞を自軍のアパッチヘリで虐殺し、自作の虐殺事件を理由に多民族大量虐殺を続けるネタニヤフの狂気を止めるには、国際社会が戦争犯罪で告発して逮捕するしかないのでは?
③ 国連西サハラ難民対応計画:
ガザ戦争の対応で国連は忙殺され、スーダン内紛もマリ内戦もウクライナ戦争も、そして西サハラ紛争も脇に追いやられていた。ガザ戦争が4日間の休戦に持ち込まれたことで、他地域の諸紛争対応が、突然、噴出した。
2023年11月21日、グテーレス国連事務総長はアルジェリアのラムタネ・ラマムラ氏をスーダン担当特使に任命した。ラマムラ氏は、アルジェリアの副首相、外務大臣、国務大臣、大統領外交顧問など、いくつかの政府高官を歴任し、2017年からは、国連事務総長の調停に関するハイレベル諮問委員会のメンバーを務めてきた。政治、国際問題、外交分野で40年以上の経験を持つ、超ベテラン外交官だ。
11月21日、ファラハン国連事務総長副報道官が、「本日、国連は2024年から2025年にかけ西サハラ難民の需要に答える2年間の<西サハラ難民対応計画>を立ち上げた」と、発表した。「この計画では、食料の安定と信頼できる水の供給を確保し、アルジェリア西部チンドゥーフにある難民キャンプで暮らす西サハラ難民の栄養需要に対処するため、214,000,000ドル(31,967,000,000円)が求められている。また、この資金は、教育へのアクセスの向上、保護サービスの提供、健康の改善と促進にも使用される。この計画には、生計活動の多様化のための措置も含まれる。UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、WFP(世界食糧計画)、UNICEF(国連児童基金)、WHO(世界保健機) が主導するこの新計画は、現地で活動する28の人道支援団体すべてとの連携を包含している。これまでの資金提供者に深く感謝しているが、こうした支援にもかかわらず、現場では資金不足が続いている)と、報告した。
そのうえで、「本日発表された対応計画に従い、西サハラ難民に人道支援を提供するための、さらなる活動資金を提供して欲しい」と、改めて金を要求した。
<サハラ難民対応計画>は、11月21日に国連アルジェリア事務所が主催して、アルジェリアで開催された。 アレハンドロ・アルバレス常駐コーディネーターが代表を務め、資金提供国の代表であるクリスティーネ・モーザー駐アルジェリア・オーストリア大使、アブデルカデル・タレブ・オマル駐アルジェリア・サハラ共和国大使が出席した。さらに、モハメド・ソフィアン・バラ外務・在外コミュニティ代表が出席した。また、UNHCR(国連難民高等弁務官)アルジェリアのアリステア・ボルトン代表、WHO(世界保健機関) のノホ・アマドゥ代表、UNICEF(国連児童基金) のカタリナ・ヨハンセン副代表、なども参加した。
[国連西サハラ難民対応計画」を歓迎するアルジェリア・チンドゥーフ
難民キャンプの西サハラ難民の人々
2023年11月16日、エリザベス・ムーア・オービン駐アルジェリア・アメリカ大使は、チンドウーフの西サハラ難民キャンプを、国連西サハラ難民対応計画使節団の一員として、訪問しました。
11月20日、国務省のミラー報道官は、「この紛争をこれ以上遅滞させないため、国連
西サハラ政治プロセスを全面的に支持する」と述べました。
2022年にUSAID(米国国際開発庁)は、WFPに10,000$を寄付したとか?
アメリカも西サハラ紛争解決に乗り出したようです、が、、?
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2023年11月25日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://chikyuza.net/
〔eye5156:231125〕
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