2024年年頭にあたって 目をこらして警戒しよう
- 2024年 1月 1日
- 時代をみる
- 2024リベラル21運営委員会
17年前に書かれた、このブログの「発刊にあたって」という一文は「今日、世界は第二次大戦後かつてない混迷のただ中にあります」と書き始め、9・11テロ、アフガン戦争、パレスチナ紛争、北朝鮮の核実験、イランの核疑惑を挙げて、「いまだに世界の前途に明るい展望が見えてこないからです」と、われわれがささやかながら発言する理由を述べている。(右欄外の「リベラル21について」とあるボックスをクリックすれば出現
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ここに例示されている出来事の多くはいまだに過去になり切っていないし、それどころか世界の現状は当時よりさらに混迷の度が深まっている。「発刊にあたって」は続けて、「日本政府(注:第一次安倍晋三内閣)はこうした世界情勢に適切に対応しないばかりか、戦後日本が歩んできた道を否定し戦前に回帰するかのような政策を次々と打ち出すに至っています」と、われわれが声をあげる理由をのべている。
そこにはわれわれが当時、なお世界を見るにあたっては、東西対立、進歩と保守、右か左か、といった枠組みのなかにいた痕跡がくっきりと残っている。当時はそれでさほど見当違いではなかったかもしれない。
しかし、一昨年2月、ロシアのプーチン大統領が「特別軍事作戦」と称して、「隣国」ウクライナの領土を白昼堂々略取に出たことをきっかけに世界の価値観は地滑り的変化を起こしたのではないか。従来の価値観、あるいは善悪観によれば、独立した他国に武力を行使して、領土に攻め込むことは侵略以外の何物でもなかったはずである。
ウクライナは1991年のソ連邦解体から曲折はあったとはいえ、2004年の総選挙で独立派の大統領が当選して、独立国となった以上、いくら元は一体だったとはいえ、ロシアが武力を行使することは侵略以外の何物でもない。
ところが、たとえば国連でのソ連非難決議案など数回の投票機会では、安保理常任理事国の中国をはじめかなりの国が棄権もしくは反対票を投じ、決議案が可決されても、ロシアの行動を縛るほどの国際的圧力とはならず、かえってプーチンの無謀を認めないまでも国際世論の無力をあからさまに示して、ウクライナの悲劇は2年に及ぼうとしている。
昨秋以来、イスラエルで続くパレスチナ人の反イスラエル勢力「ハマス」とイスラエル政府軍との戦いはより悲劇的である。最初にガザからロケット弾をイスラエル側に撃ちこんで、700人余の命を奪ったハマスの行動も第三者の目から見れば非道であるが、それへの報復として連日連夜、ガザの人口密集地に砲弾の雨を降らせ、地上部隊も加わって、すでに2万人余の犠牲者を生んだイスラエルの行動は、この際、ガザを無人の地にして自らのものにという野望をたくましくしているのでは、と思わせる。
ヒトラーによるジェノサイドの悲劇を味わった民族の後裔が歴史的な隣人にここまで憎悪を抱くことができるのかと、人間という動物に対する空恐ろしさを感じさせる出来事が続く。
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さて、こうした非人間的行動が大手を振って日々のニュースを彩っている世界が眼前に広がる今、我々には何ができるかという問いには答えるすべがないにしても、せめて何を思えばいいのだろうか。かつて世界を二分した、東か西か、社会主義か資本主義か、などという設問はもはやばかげている。今や社会主義などというものは地球上に存在しない。
しかし、ここからは全くの私見にすぎないのだが、社会主義、あるいはそれを騙っていた勢力の最後をきちんと見定め、それに引導を渡すことが、今、必要なのではないだろうか。
妙な話と思われるかもしれないが、今、プーチンやネタニヤフがしていることは、個人的権威を高め独裁権力を永続させたい、その一心からである、と私は見ている。独裁的権力を手にするには独裁的に権力を振り回してライバルや反対派の息の根を止めなければならない。
そして権力を手にしたら、それをより大きくしなければならない。民衆が自分に飽きるのに逆らって、地位を守るためにはそれしか方法はない。しかし、権力を獲得する過程で、すでに多くの敵を作った上に、さらにそれを維持するのは半端な方法では無理だ。
それには自分が使えるうちに、国家の武力を使って、いちばん国民が喝さいする成果をあげるのが確実だ。多数決で戦争を決めるのはなかなか大変だが、独裁者にはそれができる。地球上の各所にいるそういう独裁者、あるいはその候補を今のうちに発見して、後ろ手に縛って、無茶を防がなければならない。アジアには行動に出る時期をさぐっている大物がいる。とりあえずは彼に目を凝らしていよう。
2024年のわれわれの目標の一つを提案して、年頭の挨拶としたい。乞う、存分のご批判。
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