2025年を再び「国際協同組合年」に 国連が宣言、13年ぶり実施へ
- 2024年 1月 3日
- 評論・紹介・意見
- 協同組合国連岩垂 弘
協同組合の全国組織「日本協同組合連携機構(JCA)」のホームページを閲覧していたら、「えっ」と、興味深いニュースが目に止まった。11月3日に国連総会が、2025年を「国際協同組合年」とする宣言をしたというニュースだった。国連はすでに2012年を「国際協同組合年」とし、国連挙げて取り組んだ。となると、2025年のそれは国連にとって2回目の「国際協同組合年」となるわけで、国連が協同組組合の活動に寄せる期待の大きさがうかがえる。
国連が推進する国際年とは、各国に共通する特定のテーマに国際社会が1年間を通して集中的に取り組む企画。最初の国際年は1957年の「国際地球観測年」。その後、「国際婦人年」「国際児童年」「国際平和年」などが設定された。そのテーマに協同組合が初めて選ばれたのは2009年の国連総会で、そこで「2012年を国際協同組合年とする」と決議された。
世界には農業、漁業、林業、信用、保険、保健、住宅、エネルギー、消費者、労働者などあらゆる分野の協同組合があり、国際協同組合同盟(ICA)に結集している。ICAの本部はジュネーブにあり、現在、110カ国の318の協同組合全国組織が加盟している。ICA傘下の組合員は10億人を超える。
日本では、19団体(全国農業協同組合中央会、日本生活協同組合連合会、全国漁業組合連合会、全国森林組合連合会、日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会、全国労働者共済生活協同組合連合会、全国労働金庫協会、全国農業協同組合連合会、全国共済農業組合連合会、農林中央金庫、家の光協会、日本農業新聞、全国厚生農業協同組合連合会、株式会社農協観光、一般社団法人全国農林漁業団体共済会、全国大学生活協同組合連合会、日本医療福祉生活協同組合連合会、日本コープ共済生活協同組合連合会、日本文化厚生農業協同組合連合会)がJCAに加入しており、傘下の組合員数は延べで1億700万人にのぼる。事業収益は34兆5000億円になる。
前回の国際協同組合年に関する国連決議は、以下の3つの目標に向けて国連、各国政府、協同組合関係者が活動するよう奨励していた。
① 協同組合についての社会的認知度を高める
② 協同組合の設立や発展を促進する
③ 協同組合の設立や発展につながる政策を定めるよう政府や関係機関に働きかける
今回は、JCAのホームページによれば、11月3日の国連総宣言は「協同組合の取り組みをさらに広げ進めるため、また、持続可能な開発目標(SDGs)の実現に向けた協同組合の実践、社会や経済の発展への協同組合の貢献に対する認知を高めるために、国連、各国政府、協同組合が、この機会を活用することを求めています」としている。
私が特に注目しているのは、SDGsでの活動で協同組合陣営の奮闘を期待していることだ。SDGsとは「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「すべての人に健康と福祉」「ジェンダー平等を実現しよう」「質の高い教育をみんなに」「人や国の不平等をなくそう」など17項目の国際目標である。
日本でも目下、協同組合や企業がこれらの目標の実現のために活動している。国連としては、協同組合陣営にさらに頑張ってほしいというわけである。
前回の国際協同組合年で、日本の協同組合は、「協同組合憲章草案」の起草をしたが、政府側が対応せず、不発に終わった。他に、IYC(国際協同組合年)キックオフイベント、国際協同組合デーを記念しての中央集会、さいたま市での「協同組合フェスティバル」などを開いた。
2025年にはどうするか。いずれ各団体から具体的な提案がなされるはずである。
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