経産省前脱原発テント座り込み日誌1月11日版
- 2024年 1月 14日
- 時代をみる
- 木村 雅英
経産省前テントひろば、脱原発テント設置日(2011年9月11日)から1807日目(2016年8月21日)にテント強制撤去。2024年1月11日は、座り込み4,506目。これは、マハトマ・ガンディー「非暴力、不服従」の実践です。
◎ 今日は今年初めの経産省抗議集会があった 1月5日(金)
今日は、新春・経産省抗議があるので参加者の出足がかなりよい。12時半ぐらいに僕らが金曜日のメンバーで準備をしていた。すると藤原節男さんが1時半ごろやって来て「幟旗をもっと沢山立てたほうがいい」と言うので、お任せしたら、ものの見事に9本も増やして立ててくれた。藤原さんの方式は、道具やその他準備が必要だが、かなりがっちりした構造で、大変素晴らしい。
午後2時30分には20人ぐらいがそろった。午後3時には40人ぐらいになり、大変賑やかになった。座り込んでいる間は、石川県の地震の被害のことや、津波のこと、また、羽咋市には停止中ではあるが志賀原発があること、などを話し合っていた。私も、2012年9月にテントを代表して現地に出かけたことがあった。とにかく遠いところであったのを記憶している。そこで久しぶりに会った故吉岡史郎氏との再会も懐かしい思い出である。ただ、その出会いが彼との永遠の別れになるとは思いもよらなかった。
午後3時からの経産省抗議集会は、前半が座り込みのメンバーが一言ずつ、コメントを繋げ、1時間くらい続けた。午後4時からの後半は福島県浪江の請戸海岸でテントを張り、汚染水の海洋放出反対を訴え続けている「希望の牧場」の吉沢さんを中心に年末からの闘いの報告を中心に行われた。今回はいつもの抗議と違って、時間がずれた形で、午後3時から5時まで集会が開かれた。従って、私はいつものとおり、午後4時からは文科省抗議に行く関係で、後半は出られなかった。しかし、久しぶりに多くの闘う仲間との出会いは嬉しかった。(S・S)
◎ 2024年1月5日(金)
能登地震が教える原発は超危険、請戸テントが訴える海を汚すな、「希望の牧場」の吉沢さんの車のマイクを使って新春経産省抗議行動。
(第1部)三上さんが開会の挨拶で多くの問題に対して具体的に考えて行動することを訴える。吉沢さんが請戸川テントの闘いの挨拶、続いて織田和也さんが「平和に生きる権利」のオープニング音楽、KMから元旦からの能登地震が明らかにする原発の危険。経産省に向かってNONUKES、脱原発、再稼働反対、核ゴミ増やすな、…のコール。続いてテントひろば座り込み者のメッセージ。
下山さんがジェノサイド・受難を訴え、城田さんが金曜16時からの朝鮮学校差別反対の文科省前抗議行動、帯谷さんがサイコパス経産省よ、命を破壊する原発止めろ、佐藤保さんが健康に留意して月水に座り込み、堀米さんが埼玉の弾道ミサイル訓練批判、稲井さんが福島原発子供甲状腺がん裁判の最高裁上告、奥内さんが被害者の気持ちを訴える詩人青田恵子さんからのメッセージ、峯島さんが日曜日座り込みの悩み、乾さんが汚染水流すなのハガキ運動・地域の運動。
ここで志賀原発メッセージ「経産省前座り込み行動を続ける皆さんへ敬意をこめてメッセージを送ります」(志賀原発に反対する「命のネットワーク」藤岡彰弘)を読み上げ、「北陸電力よ!日本国政府よ!まだ懲りないのか!!誰も志賀原発の存続など望んでいない。即座に廃炉の決定を行え!」を参加者で確認。
続いて、矢部さんが、無罪がはっきりしているのに無駄に裁判が続く袴田巖さん裁判の説明、金曜日前半の前川さんが福井県永平寺に居て元旦の大地震を実感し多数ある原発が心配、早川さんがテントから引き上げた美術品などを保管したことをきっかけに静岡県浜岡原発再稼働に反対するひまわり集会と600回を記念する集会を紹介。
(第2部)「希望の牧場」の吉沢さんが請戸テントの闘いを訴えた。魚を釣って放射性物質の測定をしている、水俣病を思い起こそう、セシウムなどの放射性物質を持った魚は危険、請戸テントとともに闘おう。正月に大地震と飛行機事故、3.11は終わっていない、東京に居ても明日は我が身、闘い続けよう。そして経産省に向かって、汚染水を海に流すな、原発を終わりにしよう、のコール。
続いて正月に請戸に行ってきた人から報告。乱さんが今の政治を厳しく批判し、請戸で初日の出を見て、請戸漁港の出初式にも参加。佐藤さんが13人参加、茨城県漁協の内部告発を応援しよう、請戸でがんばろう。石上さんがテント維持の闘い、安全な魚を食べたいから、例え裁判になっても闘うぞ、地平線と雲の間に見えた初日の出、元旦後の地震と飛行機事故は何かの啓示ではないか、東電の柏崎刈羽の稼働を許すな。杉山さんが1月1日の昼にも1月2日にもそれぞれの雑煮を作って食べた、テント維持について県と交渉、2月25日に第3回の請戸テント学習会を準備、放射能汚染水を海に流すな、を訴えよう。
続いて守屋さんが原発を終わらせようと「ああ、福島」、「水にながすな」。民主主義を守ろうと「一人の手」を歌う。白倉さんが、3.11後にもう原発は駄目と考えたはず、地域でも活動している、戦争のない・原発のない・少しでもマシな社会を実現しよう。立花さんが志賀原発の裁判で活動し七尾市の志田弘子さん(テントに簾を提供)を紹介して志賀原発の再稼働は絶対に認められない。佐藤さんが漁協懐柔に経産省が金を出しているのでは。木村(K.M)から今年は経産省がエネルギー基本計画を策定するしっかり監視しよう。
最後に山本さんが総ての原発を廃炉にするまで頑張ろうとの挨拶で閉会。
なお、この日の動画などを早川由美子さんのブログにアップされています。是非ご覧願います。
https://www.petiteadventurefilms.com/20240105_report/
また、志賀原発メッセージを以下に添えます。(K.M)
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2024 1/3 経産省前座り込み行動を続ける皆さんへ
敬意をこめてメッセージを送ります
志賀原発に反対する「命のネットワーク」藤岡彰弘
能登半島大震災 やっぱり異常だらけじゃないか!志賀原発!
今すぐ廃炉の決定を!!
1月1日に起きた能登半島大震災、最大震度7という発表に誰もが志賀原発への影響を心配した。それが地震発生からわずかに1時間後、林官房長官は記者会見で「志賀原発などに現時点で異常は確認されていない」と発表。マスコミ各社は以後も「原発に異常なし」と報じ続けた。ところが翌2日朝になって北陸電力は、「外部電源を受電するための変圧器から1・2号基とも3500リットル以上の絶縁油が漏れて受電が停止した」と発表。これは異常も異常、大事故の一歩手前、たいへんなことではないか。福島原発事故の発端は、地震によって電源鉄塔が倒れ、外部電源が遮断されたところから始まったことを私たちは決して忘れない。津波にしたって、北陸電力は当初は「有意な水位変動なし」と発表しておきながら、2日夕方になって「3mもの水位上昇があった」こと、
さらに微動だにもしてはならない頑丈な防護壁が津波に押されて5㎝も内側に歪んでいたことをやっと報告した。こういう発表の仕方は、全く住民の不安に向き合っていない、ばかにしたやり方だ。これではまるで、傷を隠して品物を買わせてから「なーに、ちょっとくらい傷があったって大丈夫」などと、うそぶくインチキ詐欺師の手口と同じではないか。まったく必要のない危険なインチキ商品をとっとと引っ込めろ。
北陸電力よ!日本国政府よ!まだ懲りないのか!!誰も志賀原発の存続など望んでいない。即座に廃炉の決定を行え!!!
私たちは皆さんとともに、すべての原発の即時廃炉を求める声を上げ続けていきたいと思います。
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◎ 言葉だけでもなんとかならないか 1月6日(土)
・せめて名前だけでも変えてください
原子力不正委員会がお似合いだと思います。
・政治刷新本部(仮称)
「地球防衛軍」よりも訳がわからん。厚かましいことに自民党議員の資質の問題を、あたかも政治の問題であるかのようにカモフラージュしている。しかも最高顧問に麻生に菅。パーティーとは政党ではなく宴会のことだったわけだ。
・カニカマ
ほぼ毛ガニ、ほぼズワイガニという商品がある。目立つように「カニではありません」とちゃんと表示してある。「なんちゃってカニ」という感じだね。政府も見習ってほしいものだ。ほぼ異状なし、ほぼ国民の声を聞く、ほぼ安全・・・それがどうした
—朝日新聞 2024年1月5日(金) 全面広告 ――
凄い!戦前の新聞でこんなの見たことがない。
失われた30年じゃない。天才たちが生まれた30年だ。野球を、フィギュアを、将棋を見よ。ちゃんと世の中見渡して見よう。この30年はたくさんの才能が生まれ羽ばたいた30年じゃないか。この国は何も失っていない。
あえて言えば、一部の既得権益が消えただけだ。―以下略― 宝島社 (O・O)
◎ 穏やかな天気の中で 1月7日(日)
参加は9名、最初から最後までいた人も、最後にちょっとだけ来た人も含めてです。風がなく暖かい日でした。通りかかった人とも気持ちのいい挨拶を交わしたり、気持ちのいいおしゃべりを楽しみました。
ツイート(Xヘの投稿)に載せた写真は見られますか?
人により開かない場合があるらしいので、次のメールに少し載せておきますね。
https://twitter.com/keroppu8649/status/1743856860091023455
明けましておめでとうございます。テントひろばは年末年始も休まず脱原発座り込みを続けています。(わたしは今日が経産省前初参加ですが)今日は風もなく穏やかな晴天です。皆さま健康でお過ごしください。 (はしゆき)
◎ 静岡の集会に参加して 1月8日(月・祝)
今日、山本さん、乱さんとともに静岡に行き、金曜アクション600回記念に参加してきました。天気は快晴。新幹線の中から、どでかい富士山が見えました。
金曜アクションメンバーのほか、浜松などからも関わりのある方々がかけつけ、本格的な餅つき、ライブ演奏、子ども向けの輪投げ、地球すくいなど、盛りだくさんの2時間でし。通行人からも飛び入りの参加がありました
山本さんは、バナー作者の鍋田さんに御礼状を手渡しました。集会後の懇親会では、乱さん選者の川柳句会もあり、盛りあがりました。テントの脱原発焼酎も差し入れされました。
静岡と東京の、良い交流になったのではないかと思います。乱さん山本さん、遠路お疲れ様でした、ありがとうございました。集会の映像は、また後日編集して公開したいと思います。本日の報告でした。 (早川由美子)
◎ 寒さの中で歳を実感させる座り込みだった 1月8日(月・祝)
きょうも朝から快晴だったが、経産省前は強風が吹き荒れていた。スマホの天気予報では風速6㍍ということだったが、体感的には10㍍を超えていると思えた。気温は10℃なので体感的には0℃ということになる。
この強風では、いつもの高さに括り付けるのは無理と考えて、初めから植木を利用して低めに括り付けて、何とか風をスルーして凌いだ。「この寒さでは座り込み者は期待できない」と思っていたが、座り込み準備をしている時にHo君が来てくれた。準備が終わるまで椅子に座って貰った。
準備を終えた後、持参してきた駄菓子を配って食べてもらった。「人が少ないと、いつもより時間が経つのが遅い」と相棒のSaさんがつぶやいた。確かに話す相手が限られるので、話題も少なく、各自が持ってきた本を読んで時間を潰すしかない。集中出来ていれば良いが、寝不足の体だと集中できない。歳を取ったことを実感する。
午後2時頃、Ho君が帰られた。防寒着を着ていないので「大丈夫かな?」と心配していたのだ。それから間もなくSさんHさんが来られた。「イスラエル大使館に対する抗議行動に参加していたところ、早めに終わったので来た」とのこと。残っていた駄菓子を食べてもらった。反原発ソングを流しながら時間まで過ごした。(保)
◎ 能登半島の地震に思う、原発のことども 1月9日(火)
昨年の後半、フクシマ事故原発からの汚染水海洋放出が強行され、それを裏で「指令」している自民党「裏金」疑惑が暴露されるなど、嫌な予感に満ちみちた正月を迎えてしまった。先週火曜のIさんが触れているように、元旦に能登の大地震、そして2日の羽田での海上保安庁救援機と日航の旅客機との衝突事故で海保5人が亡くなり、日航乗客の14人が負傷している。現職国会議員に対する立件が着手された裏金疑惑と同じで、「原発再稼働」や「原発事故」などは人為的な事件であることが明らかだから、そのツケは自分に回さないで欲しいと誰もが思っているだろう。
それなのに、3.11から13年もたったいまなお、決定的な打開策が打ち出せないのは何故なのか。今朝、高齢のEさんから電話で今日も参加できないと伝えられ、正月2日と同じく午前11時過ぎには事務所に着いた。そこで届いていたテントひろば宛賀状を確認する。品川区のSさん、東村山市のYさん、関東「障碍者」解放委員会」、「AWC:アジア共同行動・日本連」等、みなさま、ありがとう。快晴で風もないなかを経産省前に午前11時45分に到着、30分かけて椅子と横幕など4枚並べて吊り下げて座る。
年末から年始の請戸にご一緒したBさんがやってきて、座ってくれた。彼は、青木美希「なぜ日本は原発を止められないのか?」(文春新書)を読んだと言って、マスコミへの「再稼働同調圧力」がひどすぎるのではないかなどその感想を語り、それを貸してくれた。後半のAさん、Iさんがやってきたので、昼食を済ませてから、参加できなかった1月5日に行われた新春抗議行動の様子など少しだけ話をする。この日に予定されていた新春初のテント会議は12日に延期となったと聞いたが、開始時間等の連絡はない?
この日、昨年来、借りっぱなしになっていた図書館の本を返却して帰宅する。(EO)
◎ 能登半島地震のことを思うと胸が痛む 1月10日(水)
少し前には「水曜日は雨」という予報だったが、晴!
風がなく、バナーもちゃんと張れた。しかし、能登半島地震地域は大雨だという。胸が痛む。セッティングが済んで、当番だけでの座り込み。私は買ったばかりの岡真理さんの『ガザとは何か』を読む。
尾沢さんが虎ノ門でビラまきをしてきたと寄ってくれる。そのあとSさんとHさんが来てくれる。さらに規制庁抗議行動に参加されたOさんたちがしばらく座り込み。「今日は辺野古の大浦湾埋めたての国の代執行が行われるので、これから、その抗議に参加する」と言われる。
さらに規制庁抗議闘争をした木村さんが来る。木村さんは経産省前にくる途中、アメリカ大使館前で、イスラエルとアメリカによるガザのジェノサイドをやめろ!アメリカはガザから手を引け!と叫んできたという。警備の警官に取り囲まれて、歩き始めたら、ついてきたが、途中から退いたそうだ。
規制委員会抗議は、いつもより人数が多く、志賀原発の被害を次々と後追いで小出しにしていることを抗議したそうだ。まったく、今頃になって津波が3mもきて被害があったことや油の流出があることを明らかにしている。ニュースでは志賀原発の再稼働問題で、地震・活断層について意見を言った石渡明委員が「今回の地震の余震の震源域は150キロかそれ以上。いくつかの断層が連動して動いている可能性がある」と言っている。おいおい!能登半島の活断層と地震は今回のような地震が予測できるものではなかったのか。輪島と志賀原発の距離は50キロそこそこだ。3月の再稼働の是非の時そういうことを言うべきだったのではないか。明確に再稼働に反対しなければならなかったのではないか。
木村さんは福島県水産課に対して、水産資源保護法や福島県漁業調整規則、水質汚濁防止法の観点から、原発汚染水の海洋放出の危険について追求しているが、今日も電話でいろいろ質問をしていた。遅番当番のWさん、Yさんも来て、今日は10人。今日は18時30分から新年1回目の東電本店抗議がある。みんながんばる!! (T・I)
◎ 外国人女性と脱原発エールの交換をした 1月11日(木)
Inさん、Yoさんと3人で設営。曇り空で気温が低く風も強い。女の子の絵のバナーを一度取り付けたが、風にあおられて危ないので外した。12:35、Kaさん登場、飴を2袋差し入れてくれた。最高裁への要請行動の帰りだという。13:30、月曜担当のSaさんが参加。辺野古基地反対行動に参加するつもりで官邸前に行ったが、誰もおらず、日にちを間違えていた(明日12日だった)ことに気付き、こちらに回ってきたという。
14:15、通りかかった外国人と思しき女性3人組が私たちの「NO NUKES」のバナーに興味を示し、少し離れた所からスマホで写真を撮り、拳を振り上げるポーズをしたので、こちらも拳を振り上げて応えた。
14:25、Taさんが参加、能登地震の話を糸口に珠洲原発反対運動に参加した体験談を語ってくれた。私は「フクシマを忘れない」のプラカードを掲げて経産省のまわりを4周した。14:40、Ok妹さんが参加、最初座っていたが、寒さに耐えられなくなったとみえて、歩道を行ったり来たりしはじめた。Taさんの話は日本の地震の頻発状況から日本古代史のうんちくに行き着いた。時間になりTaさん、Ok妹さんと3人で撤収作業し、4506日目の抗議行動を終えた。(M.U)
========投稿========= 今年の幕開けは能登地震だった (三上治)
年末は請戸のテントひろばに出掛ける予定だった。海岸から初日の出を見るのを楽しみにしていた。ちょっとした事情があって残念ながら断念した。これを提起した乱さんからは、なかなか素敵なことだったという報告があり、よかったと思う。我が家では年越しそばも、雑煮もカットした年始だったが、連れあいはいつものように「芸能人格付け」という番組を見ると言っていた。ただ、年始恒例のこの番組は能登半島地震の発性で中止になっていた。ほとんどのテレビが番組を切り替え、地震の報道をしていた。報道を見るともなく見ながら、いくつもの感想を思い浮かべていた。かつて友人と能登半島一周に出掛けたことがある。確か珠洲市から輪島に抜けるバスはあったが、珠洲市の先の先端(半島の先)をまわるバスはなかったように記憶している。記憶違いかもしれないが、そう覚えている。半島の先のところにランプの宿というのがあり、そこに泊まるか、どうかを話しった記憶もあるから、そこは歩いたのだと思う。
そんな半島だから、地震で孤立する集落が出るのは、何となくわかる気がした。そして、そこへの支援体制や行動が困難を極めているだけでなく、無策であるのを、あれこれと想像した。能登半島では珠洲市を中心に地震が起こっており、大きな地震は予測されていたのに、その対応策というか、それはほとんどなされなかったのだと思う。気候変動対策はそれによって引き起こされる災害への対策があまり考えられていない。同じことがここにもあるのだと思う。防災服だけは着て、記者会見するという首相のパフォーマンスを見て「何やっているのだ」という思いをしたのは、僕だけのことではないと思う。具体的に必要なことは直ぐにわかるはずだし、それを迅速に取り組むべきなのであるが、そんなことは対応策やマニュアルとして、できていて当然のことである。岸田内閣が何もできない、しない内閣であるのは致し方ないが、この内閣は勝手に不必要というか、人々に害をおよぼすことはどんどんやる内閣だ。昨年の汚染水の海洋放出(8月24日に強行)はその一例だが、沖縄辺野古新基地建設における代執行もあげられる。
この地震で僕らがすぐに思いをめぐらしたのは、志賀(しか)原発への影響である。北陸電力は志賀原発2号機の再稼働を画策しているし、その認可にあたって原子力規制委員会は活断層問題を無視した。だから、今度の地震についても「安全に問題はない」という、その影響を小さく見せる発表を行った。いつもの隠蔽報道である。またか、またそうだろうという僕らの予測通りだった。我が国の企業や政府機関は、本当のことをいつになったら公表するようになるのか。かつての大本営の発表は、形を変えて、いまも続いているのである。権力や体制の情報は、いつもそうしたことが付きまとうのであり、これは情報に政治的判断を付与するためである。事実を情報として報道する。その認識や判断は情報受け取る人がする。
事実を情報として開示するというのは、わが国の権力や体制が苦手とすることかもしれないが、権力や体制の判断ではなく、人々の判断が優先すべきことであるという原則が、そこにはないからだ。「権力や体制から出てくる情報については、疑い、疑念を持つべき」というのは歴史的な事態の中で、僕らが教えられたことだが、このことはいつも肝に命じて置くべきことである。志賀原発についての情報は、権力や体制は隠そうとしていたことが、隠しきれず、事態の真相がみえてくると思う。そうだとしても情報に対してシビアな目で接すべきだろう、と思う。
昨年から引き続き明らかにされていることに、自民党の安倍派を中心にする政治的裏金つくりが暴露され、議員逮捕にまでことは進んでいることがある。政治的パーティーで集めた政治的資金を政治的資金として記載せずに、政治的裏金(違法な闇金)として集め使ったということだ。これは違法な行為である。検察はこの摘発をどこまでやるのは、予測はつかないが、中心的な政治家たち(安倍派幹部や森喜朗)にまでは行かないのではないのか。この突如としての捜査は検察(官僚)の安倍政治への反発があるのだと思う。安倍首相の政治が政治と官僚との戦後的秩序に介入し、その秩序の再編を企てたことへの官僚の側から反撃といえる。黒川人事問題を想起すればいいと思う。ただ、この動きは現在の政党の矛盾というか、闇を露呈させたことは間違いない。検察の動機とは別に、現在の政治の矛盾が明るみに曝され、だから、この問題を認識し、現在の政治体制への批判を考える契機として僕ら前に投げ出されてあるのだと思う。
岸田首相は、この問題が政党への国民的信頼を低下させているとして、信頼回復のために刷新本部を自民党の内に立ち上げた。派閥解消を掲げたりするが、そんなことは茶番であり、誰も信じてはいない。彼等にこの問題の本質にメスを入れ、切開することなく出来るはずがないのだ。同じ穴のムジナという言葉があるが、これを切開することは自民党政治にメスをいれることであり、自ら血を流すことである。そんなことができるはずはないのだ。政治資金規制法の改正や派閥解消くらいは出来るかも知れない。そんなのは小手先であり、表面的な繕いである。
この問題の本質は何か。結局、自民党という政党の活動の本質が金によっているということであり、金によって票を獲得するという政治から脱し切れていないとことである。それはむかしの話しでしょう、と思うかもしれない。「金による支配って一時代まえの政治(保守政治)だろう、今はちがうはずだ」と思うかもしれないが、自民党の根の部分は、これが今でも支配的なのだ。「政治に金が必要だ」と一般的に言われる。確かに、政治に金は必要である。政治活動は、生産的行為ではなく消費的行為である。その必要な金の取得と支出を、生産的な方法でなく、やらなければならない。議員などの公的な政治家になれば、報酬(職業的な報酬)を得るだろうが、それは一部分である。政治活動全体から見れば、膨大な金を必要としている。だから、政治資金の獲得と支出において議員報酬という枠組みを超えた金が必要である。
それは、献金と呼ばれる資金の収得と支出のことである。このことは政治資金規制法として枠組みが決められている。今回の事態は政治資金規制法枠組みを超えた裏金(政治資金)の獲得が問題になっているのだが、そのためには「政治に金が必要だ」ということが言われる。これは自民党員の内部では暗黙了解事項なっているようにみえるが、この必要な金とは選挙、とりわけ票を買う金である。属にいう裏金である。問題はここにあるのだ。
印刷などの宣伝費、人件費(事務体制費など)、会食費などが、主な政治的支出である。これは現在必要とされる政治活動費であるが、これは大幅に削減できるというのが田中秀征の見解だった。多分そうだろうと思う。今、一般にいわれる政治に必要な金というなら、この範囲の金であるし、政治活動を合理化して解決出来るのだと思う。現在の政党活動では、タブーとなっている裏金は、この範囲の政治活動に必要な金ではない。裏金が必要なのは、表には出来ない政治活動あり、それは選挙における金(裏金)、票を獲得するために使われる金である。河井法務大臣の選挙での買収問題が露呈したのは、氷山一角で、これは水面下では進行していることなのだ。この金問題は自民党の派閥問題ともつながることだと思う。
派閥は政策の幅を広くするという意味で、自民党の政治活動としては有用な存在でもあった。だから、派閥を問題にするなら、金の問題の側面を取り出さなければならない。「政治と金」の問題は、ギリシャ時代から連綿として続いてきたことである。地獄の沙汰も金次第というのは、連綿として続いてきた政治でも言えたことである。現在も、政治を闇から支配しているものである。安部政治の支配力が裏金つくりであったことが今、暴かれているのだと思う。ある新聞のコラムで「この問題の露呈は、好ましい政治を望むひとにとっては、絶好の機会である」と述べられていた。そうだと思う。金に支配される政治ではなく、理念(公的利益や公共性)に基づく政治ということになるが、ここが問題なのだ。現在、直面している難しい問題である。理念に基づく政治が結果したものより、まだ、金の方がましだというのが、続いてきた歴史であるからだ。
僕らは、この問題に直面している。好ましい政治として構想出来るものが、不在なのだ。ここに僕らが好機を好機にしにくいことがある。僕らはここで自問自答を強いられているのだ。僕らに向かって、サイが投げかけられているは確かなのだが。
=====添付資料=====
原発週報2024. 1.3-2024.1.9 編集:漆原牧久
=========デモ、集会==========
◆1月19日(金) 新春としはじめ経産省前抗議集会
17時~18時(毎週行います)
◆1月21日 (日) 脱原発青空川柳句会
12時より 経産省前テントひろば 選者;乱鬼龍
◆1月24日(水)月例祈祷会
会場:経産省前テントひろば JKS47士
14:30 ~ 芸能の時間 「月例祈祷会」
前版で祈祷会を1月15日(月)としたのは誤りでした。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye5184:240114〕
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