本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(453)
- 2024年 3月 22日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
統計数字の信憑性
現在、世界的に、「統計数字の信憑性」が問題視されているが、具体的には、「米国の雇用統計」や「中国のGDP」などが、ほとんど信用できない可能性のことである。つまり、「頻繁に改定されたり、あるいは、明らかに嘘とわかるような数字が報告されたりしている状況」のために、多くの金融専門家が、統計数字そのものを、ほとんど信用してないものと理解できるが、私の経験則からは、「1980年代から、すでに、このような事態が頻繁に発生していた状況」だったことも思い出されるのである。
より詳しく申し上げると、当時の米国では、「ほとんどのファンドマネージャーが、統計数字を信用せず、また、発表数字に、一喜一憂することもなかった」というような状況だったのである。そして、その後の問題点としては、「西暦2000年前後からのマネー大膨張」、すなわち、「デリバティブバブルの発生」により、「市場価格そのものが、政府やメガバンクによってコントロールされる展開」となったことも理解できるのである。
つまり、「金利」のみならず、「株価」や「為替」、あるいは、「商品価格」までもが、さまざまなプログラム売買によりコントロールされ、そのために、「統計数字」のみならず、「市場価格」そのものまでもが、信用できないような状態に陥ったことも見て取れるのである。別の言葉では、「日銀のイールドカーブ・コントロール(YCC)」などに象徴されるように、「国家の債務問題を先送りするために、力任せに、金利を操作した状況」だったが、現在では、その反動が出始めている状況とも言えるのである。
具体的には、「政府や中央銀行」への「信頼感の喪失」であり、その結果として、すでに、「金利や物価の上昇」が始まっていることも見て取れるが、これから予想される問題点としては、「最後の貸し手」と呼ばれる「中央銀行」の「資金繰り」とも考えられるのである。つまり、今までは、ありとあらゆる手段を講じることにより、「問題の先送り」が実施されてきたものの、現在では、「紙幣の増刷」か「CBDC(中央銀行デジタル通貨)の大量発行」しか、手段が残されていない状況とも考えられるのである。
しかも、このような状況については、世界的な理解が進むとともに、「BRICS諸国」を中心にして、「米国を中心とした西洋諸国の動き」を、注意深く見守っている状況とも思われるのである。つまり、「西洋諸国が、『1991年のソ連』のような状態に陥る可能性」を、鵜の目鷹の目で監視しているものと思われるために、今後の「金融政策の実施」に関しては、大きな制約が付く状況が想定されるものと感じている。(2024.2.16)
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誰もが驚く価格
米国では、「マイクロソフト一社の時価総額が、フランス一国のGDPを超えた」と報道されているが、このことは、まさに、かつての「日本の土地バブル」を彷彿とさせるような出来事だったものと感じている。つまり、今から35年前の日本では、「日本を売れば、日本を除いた、全世界の土地が買える」といわれるほどの状況だったが、実際には、この時が「バブルのピーク」であり、その後は、きわめて悲惨な状況に陥ったことも有名な逸話として、世界中の人々が認識しているのである。
別の言葉では、「万人が呆れ果てたる値が出れば、それが高下の境なりけり」という相場の格言のとおりに、「誰もが驚くような価格」が出現したときが、後から考えると、「大天井」や「大底」だったというものであり、私自身も、「過去48年間に、数多くの経験をしてきた」という状況だったことが思い出されるのである。具体的には、「1980年の銀(シルバー)価格」であり、この時には、「ハント兄弟が、全世界の銀を買い占めようとした」とも報道されたのである。
あるいは、「38915.87円」を付けた「1989年の日本株」の時には、「全ての銘柄が、1000円以上にまで上昇するのではないか?」とも言われるほどの熱狂を見せたが、「最後の最後で、新日鉄が1000円に届かなかった」というような記憶も存在するのである。そして、反対に、「2009年」には「日経平均が7000円を割り込んだ」という状況となり、この時にも、上記の格言が思い出される状況だったが、実際には、多くの金融専門家が、「日本株が上がるはずがない」と決めつけるほど、きわめて弱気の状況だったことも記憶に鮮明に残っているのである。
また、数年前の「記録的な日本株の低PBRの状態」に関しても、実際には、「多くの投資家が日本株を売り、米国株に投資した状況」の結果として生まれた現象だったものの、現在では、「国策で、PBRの上昇が目論まれている」というように、きわめて異常な事態が発生していることも見て取れるのである。つまり、「割安なものには、その後、資金が流入し、自然な価格上昇に繋がる」、あるいは、「その反対の動き」についても、「当たり前の価格メカニズム」が働いている証拠とも理解できるのである。
そのために、今回の、「米国のマグニフィセント7」に関しては、反動が気にかかる状況でもあるが、実際には、「何でもバブルの最終章」である「実物資産の価格が、今後、誰もが驚くような値にまで上昇する可能性」のことである。(2024.2.17)
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堪忍袋の緒が切れる時
「自民党の裏金問題」については、「日本国民の不満が高まっている状況」であり、実際のところ、「税金一揆」などの言葉までもが、マスコミで報道されるような状況となっている。また、このような「国家債務の問題」に関しては、「米国」でも、同様に国民の不安や不満が膨らんでいる状況であり、特に、「34兆ドルを超えた米国の国家債務残高」に関しては、「間もなく、行き詰まりを見せるとともに、壊滅的な展開が始まるのではないか?」というような意見が増えていることも見て取れるのである。
そして、このような「国民の不安や不満、あるいは、憤りや恐怖心」に関しては、「ウクライナやガザの人々」が、より痛切に感じているものと思われるが、現時点では、「イスラエルのネタニヤフ首相に対する怒りや憤りが、世界的に噴出している状況」であり、また、「ロシア国内でもプーチン大統領に対する不満が充満している状況」のようにも感じている。つまり、現在は、「世界各地で、さまざまな問題が噴出するとともに、国民の生活が苦しくなっている状態」とも想定されるために、間もなく、「いろいろなところで、人々の堪忍袋の緒が切れ始める可能性」も想定されるのである。
具体的には、「ネタニヤフ首相に対する不満が、ユダヤ人の内部からも噴出し始める可能性」であり、また、「ロシア国内で、プーチン大統領への反発が高まる可能性」、あるいは、「中国国内で習近平体制への不満が高まる可能性」などである。また、「米国をはじめとした先進諸国」においても、「金利上昇などがもたらす生活苦」への不満が高まるとともに、さまざまな金融混乱の発生も想定されるが、実際には、「貧富の差が拡大することにより、多くの人々が、大都会での生活に問題が発生している状況」のようにも思われるのである。
そして、いまだに「マイナス金利」が継続している日本においても、「円安」がもたらす「負の局面」が顕在化している状況とも思われるが、実際には、「食料品などの価格上昇により、エンゲル係数が高まり、生活が苦しくなっている状況」とも理解できるのである。つまり、「GDPが世界第4位となり、日本全体の体力が落ちている状態」であり、この点に関する注意点は、「日銀のバランスシート」だと考えている。
具体的には、現在、「日銀のバランスシート残高」が、史上最高額を記録しており、この原因としては、「政府や外国銀行からの借り入れ」が指摘できるが、より深刻な問題点としては、「増え続ける国家の借金に対する日本国民の不安や不満」が爆発し始める可能性が挙げられるようにも感じている。(2024.2.19)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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