SJJA& WPO【西サハラ最新情報】582 アメリカがICCもIJCも制裁する?!
- 2024年 5月 25日
- 時代をみる
- ICCネタニヤフ国際刑事裁判所平田伊都子西サハラ
2024年5月20日、ICC国際刑事裁判所のカリム・カーン主任検察官(英国出身)が、イスラエル戦争内閣のネタニヤフ首相とガラント国防相、さらにガザを実行支配するハマスの指導者3人、ヤヒヤ・シンワル指導者、モハメド・デイフ(カッサム旅団司令官)、イスマイル・ハニヤ(政治局長)への逮捕状を請求したことを,発表しました。 まだ、逮捕令状は出されていませんが、イスラエル戦争内閣とバイデン米政権は「マジ~~!」と慌ててます。
ハマス側は自分たちへの逮捕状に反発しつつ、ICC国際刑事裁判所主任監察官の行動は遅すぎると非難しました。
①カーンICC国際刑事裁判所主任検事のビデオ・メッセージ:
「法に従わない者たちが、私たちが確かな証拠に基づいて行動を起こしたときに、後か
ら文句を言ってはならない。その日が来たのだ。今日私たちは国際法と武力紛争法がすべての人に適用されることを、可能な限り明確な形で強調する。いかなる兵士も、いかなる指揮官も、いかなる文民指導者も、誰一人として処罰を免れることはできない」との声明を、カーンICC国際刑事裁判所主任検察官が5月20日に発表した。
さらにカーン主任検察官は、「証拠によると、イスラエルが食料や水、医薬品、エネルギーなど<人間の生存に不可欠な物資>の供給を制限し、組織的に民間人から奪っていたことがわかった」と、言及した。そのうえでネタニヤフ首相らは、イスラエルが故意に多大な苦しみを引き起こし、戦争犯罪として殺人を犯した責任を負うことになると強調した。またハマス指導者らは、集団殺戮や殺人、人質の拉致、拷問、レイプといった組織による犯罪行為の責任が問われているとした。
ネタニヤフ・イスラエル戦争内閣首相は猛反発し、「ICC検察官が、民主的なイスラエルと大量殺りくを行うハマスとを比較したことに嫌悪感を抱く。イスラエル国民を虐殺し、レイプし、誘拐したハマスと、正義の戦争を戦っているイスラエル軍兵士を比較することなどできるだろうか?逮捕状請求は不合理であり、イスラエル全体を標的にしたもので<新たな反ユダヤ主義>の姿だ」と、ハマスと同等に扱ったことに怒り狂った。
「ICC国際刑事裁判所は、加害者と被害者を同等に処罰しようとしている。我々はイスラエル占領支配の被害者だ。我々の抵抗は国際法が認める正当な武装闘争だ。」と、ハマス側は、今現在もガザの人々を爆撃し殺し続けるジェノサイド・イスラエルを糾弾した。
ただ、逮捕状を発行するかどうかは、ICC国際刑事裁判所検察局が提出された証拠に基づき、予審裁判部が判断する。逮捕状が発行されれば日本を含むICC加盟124カ国は、指名手配者が領土内にいる場合、直ちに逮捕する義務を負う。 しかしICC自身は逮捕状を執行する逮捕拘束部門を持っていない。米国とイスラエルはいずれもICC非加盟国で、ガザの戦闘に関するICCの捜査に反対し、逮捕に協力するつもりは毛頭ない。どんなに悪質な犯罪を犯しても、平気なんだ!
②ICC国際刑事裁判所を制裁しろと叫ぶバイデン米政権:
「逮捕状請求は言語道断だ!、、 検察官が何を言おうと、イスラエルとハマスの間には同等性など全くないということをはっきりさせておきたい。米国はイスラエルの安全保障について常にイスラエルを支持する!!」と、バイデン米大統領は5月20日の<ユダヤ・アメリカ・ヘリテージの会>でいつになく元気に絶叫した。米大統領選挙資金をあてにしたリップサービスだ。そして、ユダヤ系アメリカ人のブリンケン米国務長官は、5月21日の米上院外交委員会公聴会でイスラエル政府を代弁するかのように、ICC国際刑事裁判所への制裁を煽った。<戦争犯罪>のプラカードぺdを振りかざした傍聴人が、大声で、2度ブリンケンを中断させた。
米上院は、ICC国際刑事裁判所関係者に米国ビザを発給しないとか、米国内での資産凍結とかの制裁を既に用意していて、一週間以内にその採決が強行される。ジョンソン共和党下院議長は、在米イスラエル大使館の独立記念日の祝典で「近々、ネタニヤフ氏を米上下合同議会に招く」と、こちらも米大統領選挙に向けてのアドバルーンを上げた。
バイデン米政権の右往左往を、皮肉な目で静観していたロシアのペスコフ大統領報道官は21日、「興味深い」と、言った。米国はICCに加盟していないのに、自国の都合で口出しし、世界の裁判官か警察官のように傲慢に振る舞う。ICCが2023年春にプーチン大統領に逮捕状を出した際、バイデン大統領は正当な判決と後押ししたが、今回の逮捕状請求には「言語道断」と非難し、ICC職員に制裁を加えようとしている。ダブルスタンダードというか、支離滅裂というか、、そもそも、アメリカはICC国際刑事裁判所に参加していないんだから、口出しする権利はないし、ICC国際刑事裁判も口出しさせてはいけない。
ICCに参加しているフランスとベルギーは、逮捕状請求に賛成している。参加していても、1948年にパレスチナ人の土地に無理やりイスラエルを建国したイギリスは、アメリカに同調してICC国際刑事裁判所主任検察官の逮捕状請求に反対している。
IJC国際司法裁判所でイスラエルのジェノサイド裁判を続行している南アフリカの外務大臣ナレディ・パンドール女史はICCの逮捕状請求を歓迎した。彼女は南アフリカの各大学で講演し、「わが身が死に瀕してもガザの人々が支援するハマスは、占領政策と戦う解放組織だ」と、真実と正義を見つける努力を学生たちに促した。
そして、IJC国際司法裁判所は5月24日、南アフリカの要請で「ラファでの軍事作戦即時停止と緊急援助と分配の検問所廃止」という新たな暫定措置をイスラエルに命じた.バイデンはIJC国際司法裁判所も制裁するのかな?
日本は、赤根智子さんをICC国際刑事裁判所所長に送り込んでいる、、「いいね!」
バイデン米政権は赤根智子さんも制裁するのかな?
③ 無礼千万モロッコ国連大使:
ICC国際刑事裁判所のカーン主任検察官の逮捕状請求で、ネタニヤフ・イスラエル戦争内閣首相の悪口雑言が爆発した。それを真似て、いいえ、それ以上にヒラール・モロッコ国連大使の不愉快な暴言や悪口は、国連外交舞台で爆発し続けている。
日本はTICAD9横浜の準備に入った。8月24~25日と閣僚準備会議が東京で開かれる。前回のTICAD7では、モロッコの妨害でアフリカ各国の国旗を掲げることもできなかった。
TICAD8チュニスでも、西サハラを正式招待したとゴネてドタキャンした。うんざりだ!
2024年5月のカラカス国連脱植民地化第4委員会セミナーに出席したモロッコ国連大使は、アルジェリア国連大使を始めとする参加国連大使に向かって、「(西)サハラは神聖なモロッコ領土だ。アルジェリアの悪巧みに騙されて脱植民地化運動に担ぎ出されているのを自覚しろ」と、罵倒した。そして、「アルジェリアには表現の自由も、移動の自由も、集会の自由もない。すべての人権団体は解散した」とか「モロッコのサハラ砂漠問題とパレスチナの問題を、あんたは下品に混ぜ合わせた」と、アルジェリア大使を名指しで<脅迫外交>と、批難し、「パレスチナに寄り添っているのはモロッコ国王陛下だけだ」と、宣伝した。が、デモを禁止し、恐喝と汚職の 外交を繰り広げているのはモロッコのほうだ。
5月20日のスペイン紙エル・コンフィデンシャルが「モロッコ政権は、イスラエルの安全を維持するためにモロッコ兵をガザに派遣するという米国の提案を検討し始めた」と、伝えた。モロッコ国王が送ったモロッコ兵がイスラエル兵士としてパレスチナ人を虐殺することになる?!
5月22日、ノルウェー、アイルランド、スペインのヨーロッパ3カ国は、パレスチナを国家として承認する方針を発表した。ベルギーとマルタ、スロベニアも近く承認する。ノルウェーは1993年のオスロ合意を決めた<二か国共存>を承認の理由とした。西サハラ難民大統領を招待し支援を約束したアイルランドは、パレスチナの<民族自決権>を強調した。
1988年11月、パレスチナ解放機構(PLO)がアルジェでのパレスチナ民族評議会の会期中に宣言したパレスチナ国家は、現在、国連加盟国193カ国のうち142カ国によって承認されている。が、日本、アメリカ、イギリスなどは正式に国家と認めていない?なに??これ???
「私たちは多くの理由からパレスチナを承認するが、三つの言葉にまとめることができる。平和、正義、一貫性だ。」と、パレスチナ国家承認の演説を議会でやったペドロ・サンチェス・スペイン首相に大きな拍手が沸き起こったそうです。
「平和、正義、一貫性」という首相の言葉は、そのまま西サハラに適応してください。
サンチェス首相殿、 どうしてモロッコ植民地支配国に寝返ったのですか?
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2024年5月25日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye5252:240525〕
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