Installation “HAGOROMO” のコンセプト
- 2010年 6月 13日
- 交流の広場
和紙に墨で、自動記述のようにアブストラクトを5000枚位描き一枚一枚丁寧に張り合わせたものを吊り下げました。
ニューヨークにいると、パワーとか、ストロングとか、ど派手とか、ぎらぎらのエネルギーとか、エログロとか、おニュウなこととか、まず目立たなければ相手にされない風潮があります。
「かそけきもの」、「そそとしたもの」、「奥ゆかしさ」、「控えめ」、なんて何の意味もありません。 この大都会の渦の中、過剰な“ノイズ”の中ではそんなものは直ぐにかき消されてしまいます。ただそれははっきりしないとか、弱いだけというようにとられてしまいます。そういう意味では、微塵の優しさもありません。 何事にも生き残ってやっていくことは、強靭な精神が必要とされます。 たとえ「fragile]や「delicate]や「gentle」をコンセプトとしても強くなければそれを表現し、遂行できません。
世界中の国から故国を捨てたもの、追われたものの移民の命がけの決断がそもそもの始まりなのですから。決して生半可なことではありません。
先住民や先住動物の殺戮を繰り返し、繰り返して建国をしてきた国です。良くも悪くも壮絶な戦いでおびただしい血と汗を流したことによって今を獲得している国です。 そして其れは今でも基層ではそうです。
かれらは、何かに付けて頻繁に “survival” と言う単語を使うことも、それで“合点”がいきます。
そして、誤解を恐れずに言えば、人種差別と偏見の上に成り立っている国です。 それは社会の構造として歴然とあります。ヨーロッパとは違う意味でのある種の階級社会です。
ご存知でしょうが、「WASP」です。
本論に戻りますが、その中で、そういう精神とは対極にあるものとして選んだ素材が、和紙であり、墨であります。
どちらも自然の素材でオリジンはアジアです。 いわば〝Counter Culture“ です。
和紙は、軽く、薄く、微風でさえも感じるしなやかさを持ち、湿度にも敏感に反応し、雨に当たればひとたまりもないほどたいへんフラジャイルな自然の素材です。
墨は、色を超えたイロ、限りなく白に近い灰色から漆黒の闇までです。
男の権力の象徴のような摩天楼やキラキラした超モダンな美しい最先端のビル群が並ぶ世界最大の高度資本主義の都市に対抗して、しなやかさソフトさ優しさとして天女と羽衣とを思いついたのです。
縦に突っ立って孤立化していくのではなく、シェアーして手を繋げていける横並びの暖かいhand in handの 感覚です。
世界を支配している男の権力闘争「Phallus Worship」 や 「Phallocentrisme」をひっくり返していく視座として「feminism」を美術家として表現しています。 そして提唱しています。
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