Global Head Lines:(多分)答えたつもりの兵役 ピストリウスのドイツ連邦軍の計画
- 2024年 6月 15日
- 時代をみる
- Tagesschauドイツ連邦軍の新たな徴兵モデルピストリウス国防相荒井敏生
ピストリウス国防相はドイツ連邦軍の新たな徴兵モデルを計画している。13年前に停止された徴兵制の登録を新しい徴兵制モデルに再構築したいと考えている。連邦議会国防委員会に報告された案には様々な疑問がだされた。2024年6月12日のテレビニュースTagesschauはこれについて報じた。
ピストリウス国防相は、ベルリンで「新兵役」という概念を発表した際、「制限要因」について何度か言及した。限界を設定する要因とはドイツ連邦軍の訓練能力を意味していた。大臣は政治的に実現可能なことの限界については語らなかった。
何か月もの間、国防省は現在提示されている概念に取り組んだ。この間ピストリウスは脅威の増大という状況の変化には、新しい形のドイツ連邦軍の徴兵が必要であると繰り返し語っていた。大臣は軍隊が計画をたてることが重要であると明言した。
ドイツ連邦軍は、この計画で年間に必要な新兵を確実に獲得できるはずだ。これをより確実にするために、ピストリウスは新しい兵役モデルには必須の要素も含まれるべきであると考えている。国防相はスウェーデンの徴兵モデルのファンであることを公言しているが、そこでは自発性に焦点が当てられている。しかし、スウェーデンはそれを義務化することもできる。
しかし、連立与党には義務兵役に抵抗があり、ピストリウス自身も信号機内閣全体、そして彼自身の政党SPD,さらには首相府で過半数を獲得することはできないことを認めざるを得なかった。
ピストリウスの提示したものは、スウェーデンのモデルと似ているが、何の義務も必要としない。ドイツの兵役に見られる唯一の義務は、若い男性が18歳で受け取る質問票に記入しなければならないことである。また、案内を受けた場合には検査の日付の申告も必須。
これを国防省は選択的兵役と呼んでいる。発令権限も適用されている。質問票は男性と女性のグループのすべての18歳に送られる。男性は答えなければならない。女性は答えることもできるが、義務ではない。アンケートで、連邦軍の人事は彼らがドイツ軍での勤務が想像できるかどうか知りたがっている。年間40万人の若者がいると想定され、そのうち4人に1人が軍隊での勤務に興味を持っている可能性があると予想している。その後40,000人に招集が案内され、最終的に5000人だけが徴兵される。ピストリウスはこれで十分な照応者が見つかると確信している。そうでない場合は?
連邦議会国防委員会の専門家や政治家はドイツ連邦軍の採用問題がこの方法で解決できるのか疑問視している。というのも首相が数週間前に提示したことに反して問題は見通せない。今後数年間で兵士を18万人から20万人に増やすのであれば、2万人の兵士の乖離をどう埋めるのか。
現在の人員数を維持するために、連邦軍は信頼できる採用方法を必要としている。また中長期的には予備役も急増する見込みである。連邦軍は有能な期間兵士と職業軍人を必要としている。兵役を通じて、より長期的、恒常的な兵役に見合った利益を獲得することが期待されている。これは、自発性に依存する兵役モデルで実現できるのだろうか?
NATOのドイツ連邦軍に対する要求も、ロシアの脅威を考慮して増加するだろう。ドイツ連邦軍のマルセル・ボーネルト中佐にとって、現在の提案は「第一歩」であり当面の間軍を支援する「最小公約数」である。ところが、結局のところNATOの東側には予算の40%を戦争経済に投資し、兵站を補充するロシアという敵があり、その意図は100%明確というわけではない。
結局、新しい兵役で十分な志願兵が見つからない場合、義務化されなければならないのか?これを軍事的正義とどのように調和させることができるのか、そして拒否の可能性とそれに伴う代替奉仕も必要ではないのか?ピストリウスが今回提示したものは、これらの質問に対する限られた答えしか提供していない。必要な法改正の草案では、国防省はより具体的でなければならない。国防委員会の最初の反応は、この草案が連邦議会で確実に成功するわけではないことを明らかにしている。信号機内閣を構成するすべてのグループに疑問と懐疑がある。
それにも関わらず、ボリス・ピストリウスがドイツ連邦軍の採用のための新しい基盤を求めて努力し、現在彼のコンセプトで推進していることは正しい。これまでのやり方ではドイツ軍の人事問題を解決することはできない。
さらに国防省はこれまで全く欠けていたアンケート、軍人登録から重要なデータを受け取ることができる。しかし大臣の視点からみると、現在提示されている計画は、新しい兵役の概念の始まりにしか過ぎない。全般的強制的なサービスがより必要になる可能性は十分にある。ピストリウスは一般的義務兵役が中期的に来ると信じていると、SPD国会議員ジョー・ワインガルテンは国防委員会でのピストリウスの発表のあとで述べた。
「その数字が達成できるか見てみよう。また社会民主党員の中には根本的な理由だけでなく、軍事的な配慮から最終的に強制兵役に賛成する人が多い。」とワインガルテンは強調した。しかし、そのような義務を議会が果たすまでのみちのりは長くなりそうだ。現代的にするには男性と女性を含まなければならない。ドイツ連保軍の採用保障にはおそらく連邦政府の任期を超えて政治に付きまとうだろう。
Tagesschauが述べるほど悠長な課題なのか。日米軍事同盟の強化という米軍の自衛隊の取り込みの中で、より高度、実践的な訓練で自衛隊の事故が絶えない。志願者が減るのは少子化のせいではないだろう。日本でも質問票というあいまいなやり方からはじめるのだろうが、義務化までの道のりはそう遠くないように思われる。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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