SJJA& WPO【西サハラ最新情報】585 アルジェリアが助けるアフリカ最後の植民地
- 2024年 6月 15日
- 時代をみる
- アルジェリアモロッコ国連平田伊都子西サハラ
「グローバルサウス諸国を、日本とともに成長し未来を作っていくパートナーと位置付けている、、グローバルサウス諸国との産業協力を強化する、、この内容を6月末の<骨太の方針>に盛り込む」と言い残し、岸田総理は専用機に乗り込みました。 そのグローバルサウスの根幹であるBRICS外相会議が、6月11日と12日にロシアのニジニ・ノブゴロドで開かれました。 が、岸田総理の専用機はグローバルノース諸国の形骸特権サロン<G7>イタリアに向かったのです。
<G7>イタリアは、テブン・アルジェリア大統領も招待しました。
①国連安保理ガザ停戦決議でのアマル・ベンジャマ・アルジェリア国連大使:
2024年6月10日の国連安保理で、パレスチナ・ガザの戦争停戦に向けて、アメリカが草案した<3段階休戦>を、賛成14、棄権(ロシア)1で可決した。<3段階休戦>は5月31日にバイデン米大統領が発表したものだ。バイデンは<イスラエルの案>と、ハマスも呑めと迫したが、イスラエル自身がそんなこと言ってないと否定したから、これは嘘だ。
10日の国連安保理でも、アメリカ国連代表がイスラエルは既にこの休戦案を呑んでいるのだから、ハマスもすぐ吞め」と、タテガミを振って脅した。が、イスラエル国連代表部が「ハマス無条件降伏まで戦闘続行」と言ったから、これも嘘だ。
「ハマスが和平も拒む」「ガザ市民の虐殺はハマスが人質を盾に取っているからだ」「なんでもかんでもハマスが悪い」と、ハマスを悪玉にしイスラエルを善玉にしようとする、アメリカ・ハリウッドのシナリオに、日本の懸命な論客諸氏が惑わされませんように、、
6週間を期限とする<3段階休戦>の第一段階では、即時休戦しイスラエル軍は撤退を開始し人質の一部を解放、第二段階では残りの人質を解放し恒久的に戦闘停止、第三段階ではガザ復興の開始、とある。イスラエル占領軍に人質となっているパレスチナ収監者たちの開放はどうなっているのだろうか?言葉だけの休戦案は、モレモレで不誠実だ。
アマル・ベンジャマ・アルジェリア国連大使は、アラブグループを代表して、とりあえず休戦案を出した隣席のアメリカ国連大使に謝意を表した。そのうえで、「パレスチナ人の戦火に晒された命を考えると、とにかく、即時に永劫の停戦が必要だ。イスラエル・シオニストのおぞましい虐殺と虐待に一刻も早く終止符を打ち、国連安保理はパレスチナを正式に国家承認しなければならない。シオニストがヌセイラト避難所で犯した<240人避難民虐殺で4人質奪還>という類の作戦には断固、反対する。アルジェリアはパレスチナの民族自決権と反植民地運動を変わらず支持する」と、述べた。
「22,000人の女子供を含む、シオニストに虐殺された37,000人のガザの人々は、天国から我々を見ている」と、語ったベンジャマ大使の言葉が心に残る。
1951年にアルジェリアのスキクダで生まれたアマル・ベンジャマ国連大使は、
2001年から2005年まで駐日アルジェリア大使を務めていた
②AUアフリカ連合10カ国首脳委員会が国連安全保障理事会改革を検討:
ベンジャマ・アルジェリア国連大使は6月6日の国連総会で、第79回 国連総会の副議長に選出された。議長に選出されたフィレモン・ヤン。カメルーン元首相と共に、2024年9月~2025年9月の国連総会をアフリカ勢が指揮する。
6月10日、アルジェリア首都アルジェにあるアブデ・ラティフ・ラハル国際会議センターで、アフリカ連合10カ国首脳委員会の安全保障理事会改革に関する閣僚会議が、開幕した。アルジェリア外務省のルネス・マグラマネ事務総長は6月9日に、「この委員会は、アフリカ連合(AU)加盟55か国の共通の意志を反映した重要な機関であり、特にアフリカ大陸に対する歴史的な不正義を正すことを目的としている」と、述べた。
アフメド・アタフ・アルジェリア外務大臣は安保理改革会議で、「アフリカは安保理に課せられた長年の不正義に対処し、国連機関の役割を損なう対立と分裂から守るため、安保理の改革を望んでいる」と、宣言し「安保理内でアフリカを脇に追いやったことが、国際機関全体を無用の長物にした」と、強調した。
安保理改革は日本も同様に、宿願としている。ただし、アルジェリアがアフリカ大陸全体のために安保理を改革しようとしているのに対し、日本は自国の国連安保理常任理事国入りを目指しているのだ。しかも、ドイツ、ブラジル、インドを束ねて4か国の常任理事国という構想だから、今時、無理がある。いくらTICAD(アフリカ経済開発会議)に貢いでも、アフリカの55票が日本側に流れて来るとは思えない? 安保理新常任理事国はアフリカから誕生する!
③アルジェリアの国連外交を妨害するヒラール・モロッコ国連大使:
アマル・ベンジャマ・アルジェリア国連大使の大活躍を妬む、オマル・ヒラール・モロッコ国連大使は、5月31日、国連安全保障理事会の議長とメンバー国に悪口雑言の手紙を送った。手紙の中でヒラール大使は、「モロッコ王国は、2024年5月30日に安保理が主催した世界の難民・避難民の状況に関するブリーフィングで、非常任理事国アルジェリアのアマル・ベンジャマ大使が、モロッコ・サハラ(西サハラのモロッコ呼称)問題に関しアルジェリアの偏見に満ちたアピールの場に利用したことを悔しく思っている。50年以上もの間、 アルジェリアのチンドゥーフ収容所に隔離された人々の、悲惨な状況を懸念している。アルジェリアはチンドゥーフ収容所(難民キャンプ)の住民を決して歓迎していない。モロッコ王国の領土保全に対する絶え間ない敵対政策に、彼らを利用してきただけだ、、アルジェリア大使は、これらの住民は、国際社会や本理事会からの行動を待っていると主張し、彼らが自発的に彼らの土地に戻ることを許している、、アルジェリアは半世紀にわたりUNHCR(難民高等弁務官事務所) の法的任務に違反しており、難民の登録を禁止している、、チンドゥーフ収容所の住民は、アルジェリア軍のいくつかの警備非常線に囲まれていて、キャンプを離れることを禁じられている。アルジェリアはチンドゥーフ収容所の住民をモロッコのサハラ砂漠に帰還させ人民投票の対象とすることで、国際人道法を政治化している、、アルジェリア大使が言及した人民投票は、安保理と国連事務総長によって、既に葬り去られた。アルジェリア大使は、安保理決議が人民投票に言及していないことを、気づいていないふりをしている、、第3ラウンドテーブルに参加するよう呼びかけているがアルジェが拒否し、アルジェリアがこの政治プロセスの再開を妨げている、、アルジェリアはサハラ難民のニーズに応える努力を惜しまないとアルジェリア大使が言うが、嘘だ、、アルジェリアは、分離主義武装グループ・ポリサリオの指導者とアルジェリア赤新月社の責任者を手なずけ、国際人道支援物資をネコババしている。。」と、ヒラール・モロッコ国連大使は書いた。そして、「アルジェリアは西サハラ難民キャンプをテロの温床にしている」と、誹謗中傷の手紙をくくった。因みに、ヒラールは一度も難民キャンプを訪れていないし、モロッコ占領下の被占領西サハラ住民に会ったこともない。
6月12日、国連本部で始まった<植民地諸国および人民への独立の付与に関する宣言」の実施に関する状況特別委員会(C20)>で、ベンジャマ・アルジェリア国連大使は、ヒラール・モロッコ国連大使に、サハラ紛争の歴史的真実と国連決議を強調することで、西サハラの脱植民地化のプロセスについて再び、丁寧に、ヒラールを諭した。そして、ベンジャマ大使は、脱植民地化と西サハラの人々の自決と独立の権利に関するアルジェリアの揺るぎない支援を繰り返し強調した。
ロイターがバイデン米大統領の休戦合意提案に対して、「ハマスによる6月12日の<前向きな>回答によって休戦合意に達する道が開かれたと表明したが、ハマスもイスラエルも合意を約束してない」と、<合意なし>を報じました。
米国務長官でネタニヤフ特使のブリンケン・イスラエル・アメリカ人は、国連安保理でバイデン休戦案が可決され、大喜びでヨルダンやカタールなどに飛び、<ハマスの無条件降伏>を迫りました。 バイデン政権は、<諸悪の根源はハマス>の結論に向かって猪突猛進です。 が、、
<諸悪の根源>は、1948年、パレスチナ住民を虐殺し追放してイスラエルを建国したユダヤ・シオニストです。
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2024年6月15日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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