SJJA& WPO【西サハラ最新情報】590 ロイヤル・アトランティック・イニシアティブ(国王主導大西洋)
- 2024年 7月 20日
- 時代をみる
- トランプモロッコ国連平田伊都子西サハラ
銃撃された右耳にガーゼを貼ったトランプ米大統領候補が拳を突き上げ姿を現すと、ミミルウォーキー共和党大会は、大歓声に包まれました! 好き嫌いは別にして、世界中の誰もがトランプの大統領選挙勝利を予感しました。
ムハンマド六世モロッコ国王陛下は、トランプに早速、祝電を送りました。2019年12月10日、ホワイトハウスを去る直前、トランプはモロッコ国王に<西サハラのモロッコ領有権>を認めるサインをしたからです。
味を占めたモロッコは、その後、二国間だけの取引で<西サハラのモロッコ領有権>を承認させようと画策してきました。 ムハンマド六世モロッコ国王が考えた<ロイヤル・アトランティック・イニシアティブ(国王主導の大西洋)>はその延長上にあります。
① ロイヤル・イニシアティブ(国王の主導):
このところモロッコ国王は、<ロイヤル・イニシアティブ(国王主導)>の宣伝に力を入れている。目標は「西サハラはモロッコのもの」と、国連や国際社会に認めさせることだ。ハサン2世の後を継いだムハンマド6世は、先王が合意した<国連西サハラ人民投票>を拒否し、2007年、<サハラはモロッコの自治州>にするということで決着をつけようとした。が、西サハラ難民政府も国連も国連主導の和平解決を主張し、<モロッコの自治州案>は提案の一つとしかみなさなかった。しかし、モロッコは、モロッコ自治州案が最高の解決策と安保理が評価したと、勝手に宣伝し始めた。
モロッコ占領地・西サハラをモロッコ自治州として既成事実化するため、アフリカの数か国に賄賂と脅しで占領地のラユーンやダハラに、領事館を開設させた。占領地でリン鉱石などの鉱物資源を盗掘し、占領海域で魚を獲り、国王農場でトマトを作らせ、製品にモロッコ産のラベルを貼り、外貨を稼いだ。が、非合法なモロッコ占領地・西サハラの自治州を国際社会が認めず、2019年にトランプの娘婿でユダヤ・アメリカ人クシュナーの仲介でネタニヤフ・イスラエルとモロッコ国王が国交を正常化させると、モロッコはユダヤ化していった。
しかし、2023年10月7日、ネタニヤフがガザ戦争に突入し、残酷なイスラエルによるガザ・ジェノサイドが続くと、アラブ連盟の末席を汚すモロッコは、さすがに国際舞台で、「イスラエルと共闘」というわけにいかなくなった。そこで目先を変えて、<ロイヤル・イニシアティブ(国王主導)>を打ち出した。ただし、「裏では麻薬から武器まで、モロッコとイスラエルの関係は蜜月続行」と、フランス誌レセコが暴露している。
6月末から7月頭にかけて、モロッコは<モロッコで認定された外国の報道機関を代表するジャーナリスト>を、モロッコ占領地・西サハラに招待した。モロッコ占領地・西サハラを仕切るCORCAS(王立サハラ問題諮問評議会)は、「代表団にダハラを訪問させ、この地域の観光と経済的可能性について学ばせた。ダハラと王国南部州の新しい開発モデルを見学させ、この地域が成し遂げた進歩を実感させた。観光、ホスピタリティ、物流、再生可能エネルギー、漁業、農業の分野における主要な計画や設備を見る機会を与えた」と、招待取材の成果を国王に報告した。
② モロッコ国連大使 VS 西サハラ国連代表:
2024年7月1日、ニューヨークの国連モロッコ政府代表部は、「自治地区:外国直接投資の促進」をテーマにした国際研究セミナーを開催した。モロッコ代表部によると、セミナーには、著名な専門家や国連大使が数名、国連高官、国連公認メディアなど約50人が出席したそうだ。自治イニシアチブ(国王主導)に従い、自治地域(モロッコ占領地・西サハラ)への外国直接投資の促進に世界の注が集まったと、モロッコ代表部はモロッコ国王に報告したそうだ。モロッコの外交権と軍事権は国王が握っている
ヒラ―ル・モロッコ国連大使は、「安保理は、モロッコ・イニシアチブ(国王主導)を真剣で信頼できるものとして認定している」とした。 さらにヒラール大使は、「110カ国(?)以上がモロッコのサハラ地域紛争の解決策としてモロッコの自治案支持している、脱植民地化はサハラ南部が祖国の州になったことで完全に完了した」と、捏造した数字と根拠で。サハラはモロッコの植民地ではなくモロッコの領土と主張した。彼は1975年の国際司法裁判所の勧告は、モロッコの主権を確認したものに過ぎないとしている。
一方、オマル西サハラ国連代表はワシリー・ネベンジア・ロシア国連大使に書簡を送り、ヒラール・モロッコ国連大使のいい加減で根拠のない<モロッコのサハラ>を批判した。
書簡の中で西サハラ国連代表は、「1975年のIJC国際司法裁判所の勧告は、国連に記録されている通り、誰が見てもモロッコ国連代表の勝手な解釈は許されない。その勧告を紹介すると、<IJC国際司法裁判所は提出された資料や情報を基に、西サハラの領土とモロッコ王国またはモーリタニアの実体との間の領土主権の結びつきを確立するものではないということを確認した。したがって、本裁判所は、西サハラの非植民地化における国連総会決議第1514号(XV)の適用、特に、領土の人民の意思の自由かつ真正な表現による自決の原則に影響を及ぼすような性質の法的関係を認めていない>と、ある」と、記している。
さらにオマル西サハラ国連代表は、「1983年9月27日、モロッコのハッサン2世国王が、第38回国連総会に先立って、<モロッコは、明日にも、人民投票を実施する準備ができている。モロッコは、停戦と公正、公平かつ真の協議が行われるよう、オブザーバーにすべての便益を与える用意がある。そして、モロッコはその人民投票の結果に従うことを厳粛に約束する>と、語っている。モロッコ国連大使は、前国王が西サハラを人民投票にかけ、その結果を厳粛に受け入れることを約束したこと、そしてその後、特に国連が2000年1月に有権者の暫定リストを両当事者が検討した時、人民投票を反故にしたことを否定できない。結局、人民投票を操作しようとする試みに失敗し、2002年に事務総長が報告したように、モロッコには和解計画を進める意思がないのだ」と訴えた。
SJJAは、1998年から1999年にかけて、この有権者暫定リスト作りを取材した。YouTubeユーチューブの「人民投票」日本語版URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLcを参照してください。
1997年から2004年まで西サハラ事務総長個人特使を務めたジェームズ・A・ベーカー元米国国務長官は、2004年8月19日のPBSインタビューで、「人民投票の実施に近づくほど…モロッコは、人民投票に勝てないかもしれないという不安が高まった」と、語った。
国連のヘリコプターに、パレスチナ旗に似た西サハラ旗を掲げる西サハラ難民兵
③ ロイヤル・アトテイック・イニシアティブ(王家主導の大西洋)とは:
ロイヤル・アトテイック・イニシアティブ(王家主導の大西洋)とは、モロッコ国王が内陸のアフリカ諸国に西サハラをハブ中継点に利用しろと売り込んだ企画だ。7月12日に、モロッコ占領地の漁港ダハラで催された催しに招待されたアフリカ大使の数名が、「サヘル諸国は、ロイヤル・アトランティック・イニシアティブがもたらす複数の機会をつかむよう求められている」と、モロッコの宣伝に一役買わされたことをばらしている
モロッコ占領地・西サハラを仕切るCORCAS(王立サハラ問題諮問評議会)は、「ロイヤル・アトランティック・イニシアティブ(国王主導の太平洋)が国王陛下によって立ち上げられたことを鑑みると、成功する可能性が高いです」と、保証した。
ロイヤル・アトテイック・イニシアティブ(国王主導の大西洋)は、国王の仲間、イスラエル首相ネタニヤフが発した、<ヨルダン川から地中海まで>を連想させる拡張主義だ。
もしトラがほんトラになりトランプ米大統領が再選されたら、西サハラは?パレスチナは?どうなるのだろうか??と、限りなく不安な思いで、大統領当選祝いさながらに異様な盛り上がりを見せる共和党大統領指名大会のトランプ一族に目を凝らした。
いた!やっぱりいた!!蛇の目をしたトランプの娘婿でユダヤ人のクシュナーが、背後霊のようにトランプの後ろで前に出るチャンスを窺っていた。この男が、ムハンマド6世と共謀して、イスラエルとの国交正常化と引き換えに、西サハラのモロッコ領有権を認める署名を、トランプ米大統領(当時)にさせたのだ。
クシュナーの横にはトランプを裁判で裏切った娘イヴァンカがうるさいバックミュージックに合わせて一人、踊っていた。夫婦はトランプ爺ちゃんの気を引こうと、子供たちの背中を押した、、クシュナーは、ネタニヤフの大親友だ。ユダヤ教に改宗したイヴァンカは、国連の反対を無視してエルサレムをイスラエルの首都とし、テルアビブにあったアメリカ大使館をエルサレムに移転させた。
トランプジュニアの娘でトランプ爺ちゃんの孫娘カイ(17)は、「私のお爺ちゃんを悪い人だと決めつけ、誰もが、地獄に落とそうとしてきた。でも、お爺ちゃんは誰にも優しい、愛情深い人だ」と、名演説をして、涙と笑いを巻き起こしました。
「イスラエルによるパレスチナの土地の占領は事実上の併合であり、イスラエルの入植活動は国際法違反とみなしている、、イスラエルは占領地の入植活動を速やかに停止するように」と、IJC国際司法裁判所は7月19日に勧告を出しました。 この勧告は、西サハラにも適応されます。
トランプ爺ちゃん、孫娘の期待を裏切ㇻないよう、パレスチナ人にも西サハラ人にも優しい人でいてください。
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「サラー西サハラ難民アスリート」の出版情報です。
著者:平田伊都子、写真構成:川名生十、画像提供:アマイダン・サラー、SPS、
定価:本体1,800円+税、
発行人:松田健二、
発行所:株式会社 社会評論社、東京都文京区本郷2―3―10、電話:03-3814-3861
同じ「社会評論社」が出版してくださった「ラストコロニー西サハラ(2015年)」、「アリ 西サハラの難民と被占領民(2020年2月)」にも、お目を通してください。
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Youtube2018年7月アップの「人民投票」(Referendum)もご案内。
「人民投票」日本語版 URL :https://youtu.be/Skx5CP3lMLc
「Referendum」英語版 URL: https://youtu.be/v0awSc25BUU
Youtubeに2018年4月アップした「ラストコロニー西サハラ」もよろしくお願いします。
「ラストコロニー西サハラ 日本語版URL:https://youtu.be/yeZvmTh0kGo
「Last Colony in Africa] 英語版URL: https://youtu.be/au5p6mxvheo
WSJPO 西サハラ政府・日本代表事務所 所長:川名生十 2024年7月20日
SJJA(サハラ・ジャパン・ジャーナリスト・アソシエーション)代表:平田伊都子
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
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