本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(474)
- 2024年 8月 16日
- 評論・紹介・意見
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科学と宗教の現状
今から100年ほど前の「19世紀から20世紀への転換期」に起こったことは、「科学と宗教との闘争」であり、結果としては、「神は死んだ」というニーチェの言葉のとおりに、「科学の全面的な勝利」に終わったことも見て取れるのである。つまり、その後の世界では、「科学的に証明できないものは信用しない」というような認識が広まるとともに、「科学全盛の時代」が始まったことも理解できるが、一方で、「過去100年間の社会的な変遷」を調べると、違った意味が隠されている状況のようにも感じられるのである。
具体的には、「神」を信用できなくなった人々が、「新たな神」とも言える「貨幣(マネーやクレジット)」への信仰心を深めた展開のことであり、特に、「1971年のニクソンショックから始まった『信用本位制』と呼ぶべき通貨制度」においては、「紙幣」ではなく、「デジタル通貨」という「単なる数字」が本位貨幣となり、天文学的な規模にまで「金融資産と負債の残高」を大膨張させたことも理解できるのである。
つまり、大膨張し、堕落した「通貨や貨幣」が、「人々の精神」のみならず、「宗教組織」や「社会組織」までをも堕落させたことにより、現時点では、「世界中の人々が、宗教やイデオロギーによる闘争や紛争を繰り返している状況」となっているのである。具体的には、現在の「ウクライナ」や「ガザ」などの戦争のことでもあるが、この原因としては、ひとえに、「進化した自然科学の技術を使う人間性の未成熟さ」が挙げられるものと感じている。
別の言葉では、「三次元の世界」に留まっている「社会科学」が、いまだに、世界的な戦争や紛争を繰り返している状況とも思われるが、この時に、きわめて重要な役割を果たすのが、「大膨張した貨幣の消滅」とも想定されるのである。つまり、「文明法則史学」が指摘するとおりに、「1600年前の西ローマ帝国崩壊」と似たような状況が発生し、その結果として、「西洋の物質文明が崩壊する可能性」のことである。
また、一方で、勝利した「科学」については、その後、「物理学」を中心とした「次元上昇の波」に飲み込まれ、結果としては、「11次元の世界」にまで進化したといわれているが、このことは、今後、「科学と宗教との闘争」を再燃させる可能性も想定されるのである。つまり、今後は、「東洋の精神文明」が繁栄を始めるものと考えているが、この時に役立つのが、「大膨張したデジタル通貨」から産み出された「生成AI」であり、実際には、「四次元や五次元にまで進化した社会科学」が導き出す未来社会を利用した「新たな経済理論」のことである。(2024.7.8)
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アメリカ帝国の崩壊
現在、海外で、いろいろな識者が指摘し始めたことは、「アメリカ帝国の崩壊」であり、実際には、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊」などと同様に、「国家の財政破綻が、ハイパーインフレを引き起こすとともに、国家統治が機能不全に陥る状態」のことである。そして、現在の「西洋諸国の政治混乱」についても、「帝国崩壊の予兆的な事件である」というように認識されているために、今後の数か月間については、決して予断を許さない状況のようにも感じている。
より詳しく申し上げると、現在は、「政治家に対する、国民の信頼感の減少」が発生しており、実際には、政治家が実施してきた「ばらまき政治による権力の維持」に対して、「持続可能性に対する疑問」を、国民が抱き始めた状況とも言えるのである。つまり、「生活苦にあえぐ国民が、政治家の言葉を信用できなくなった状況」とも思われるために、今後は、「革命的な動きまでもが発生する可能性」が、海外で危惧されているのである。
別の言葉では、東洋学が指摘する「非理法権天」、すなわち、「非合理は合理に進化するものの、その後、法律に縛られた人々が権力の暴走を許す状態となるが、最後には、天地自然の理が復活する」という展開において、現在は、「最終段階」に差し掛かっている状況とも想定されるのである。つまり、「共同体の規模拡大に伴う統治形態の変化」を考えると、現在は、「1600年前の西ローマ帝国」や「1991年のソ連」などが参考になるものと感じているが、実際には、「国債の買い手が消滅した時に、ソ連の国家財政が破綻し、国家が分裂した状況」であり、また、「パンとサーカスの生活に慣れきったローマの人々が、財政破綻とインフレに悩まされ、大都市での生活が難しくなった状況」のことである。
そのために、現在の「世界的な政治混乱」、すなわち、「フランスやイギリス、あるいは、日本やアメリカなどにおける、政治家に対する国民の不満」については、今後、さらなる進展を見せる可能性も想定されるのである。具体的には、「政治家に対する不信感が、今後、通貨に対する不信感に変化する可能性」であり、その結果として、「1991年のソ連」などと同様に、短期間のうちにハイパーインフレが発生する展開のことである。
しかも、今回は、「約300兆ドルの世界債務残高」に加えて、「約600兆ドルのOTCデリバティブ」という「目に見えない金融ツインタワー」が、世界に聳え立っている状況でもあるために、これから想定される「世界的な金融大混乱」については、やはり、「人類史上、最大規模になる可能性」も考えられるようである。(2024.7.9)
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資本主義存続の必要条件
現在は、「核兵器を使用した第三次世界大戦の発生」までもが危惧されるほどの状況でもあるが、この理由としては、「2010年前後に完成したグローバル共同体の分裂」が挙げられるものと考えている。つまり、「1600年前の西ローマ帝国の崩壊時」と似たような状況とも思われるために、現時点で必要なことは、「共同体が、どのようにして発生し、また、どのような状況下で分裂を始めるのか?」の理解とも言えるようである。
別の言葉では、「人類の歴史」を辿ると、「500万年ほど前に誕生し、数万年の文明期を経た状況」とも理解されている状況でもあるが、「人類の発展」に関して、最も重要なポイントとしては、「分業による生産性の向上」が指摘できるものと思われるのである。つまり、「同じ価値観を共有し、力を合わせて共同作業をすること」であり、その結果として、「共同体の規模拡大」が発生した展開のことである。
より具体的には、無人島に一人で住んでいる場合には、共同体が存在しないものの、そこへ、もう一人が流れ着いた場合には、「殺し合いか、それとも共同体の結成か?」という問題が発生してくるのである。そして、いったん、「共同体」が結成されると、その後は、「分業による生産性の向上」と「専門家による盲目状態」が、同時に発生することも見て取れるが、現在、必要なことは、「西暦400年前後の西ローマ帝国崩壊時に、どのような社会変動が発生したのか?」、あるいは、「西暦2000年前後までに、どのような過程を経て、グローバル共同体が形成されたのか?」の理解のようにも感じられるのである。
具体的には、「西暦400年から1200年までの約800年間」については、「仏教を中心とした東洋の精神文明の勃興と形骸化の時期」であり、この過程で認識されたのが、「神への畏敬」であり、また、「人々の間における信用の重要性」だったようにも思われるのである。そして、その後の「西暦1200年から2000年までの約800年間」については、「西暦400年前後の西ローマ帝国」と同様に、「西洋の物質文明が発展、成熟し、マネーの大膨張や大都市の文明がピークを迎えた時期」だったことも見て取れるのである。
しかし、現在では、共同体の存続に必要不可欠な条件である「殺し合いをせずに共同作業を行う態度」が失われた状況であり、その結果として、今後は、「共同体の分裂」が加速するとともに、「信用を基に大膨張したデジタル通貨の完全崩壊」も想定されるのである。つまり、「自分さえ良ければいい」という態度と「目に見えるもの」を求める行動が産み出した「お金(資本)が、最も重要(主義)である」という価値観の崩壊である。(2024.7.10)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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