本間宗究(本間裕)の「ちきゅうブッタ斬り」(486)
- 2024年 11月 8日
- 評論・紹介・意見
- 本間宗究本間裕金融
FRBの利下げ
「米連邦準備制度理事会(FRB)は、9月18日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利を5.25%~5.5%から4.75%~5.0%へと、0.5%引き下げることを決めた」、そして、「FRBの利下げは、新型コロナウイルス禍を受けて臨時会合で政策金利を一気にゼロまで引き下げた2020年3月以来、4年半ぶりとなる」と報道されたが、この点には、大きな注意が必要だと感じている。
つまり、現時点の市場の理解としては、「実体経済の悪化を理由にして、米国の利下げが実施された」ということのようだが、実際には、「米国の財政破綻」に関して「時間稼ぎ」と「問題の先送り」のために、今回も、「国民の目くらまし」が実施された状況のようにも思われるのである。別の言葉では、時間の経過とともに増大する「米国の国家債務残高」から「国民の目」を逸らしながら、本丸である「デリバティブ」の問題が明らかにならないように目論まれている可能性のことである。
より詳しく申し上げると、現在、「35.3兆ドル」にまで達し、また、「3ヶ月で1兆ドルのペースで増加中」といわれる「米国の国家債務残高」に関して、今までは、「デリバティブを利用しながら、国債価格の暴落を防いできた状況」だったものと想定されるのである。別の言葉では、今まで、「実体経済の問題点」や「インフレやデフレの議論」などに、マスコミの意見を集中させながら、時間稼ぎが図られてきたものと思われるが、現在では、「時間の経過とともに、多くの人々が、問題の本質に気づき始めている状況」のようにも感じられるのである。
そして、この点については、「BRICS諸国の脱ドル化」、すなわち、「中ロなどの国々が、米国債を売却して金(ゴールド)や銀(シルバー)などを買う動き」が、世界的に顕著になり始めていることも見て取れるのである。つまり、今までの「信用本位制と呼ぶべき通貨制度」、あるいは、「デリバティブやデジタル通貨」に対する信頼感が、世界的に激減しているために、現在では、「金融システム崩壊後の新たな通貨制度」を模索する動きが、世界的に始まっている状況とも考えられるのである。
具体的には、「商品バスケット本位制」や「金本位制」などが復活、あるいは、新たに創設される可能性のことだが、この時の注意点としては、「貨幣の歴史」を研究しながら、「現在の通貨制度が、どのような経緯で出来上がったのか?」を、よく研究することのようにも考えている。(2024.9.21)
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貨幣の謎
「人類史上、いまだに、貨幣の謎を解いた人は存在しない」ということが、現在の「経済学」における定説でもあるようだが、この理由として考えられることは、「過去100年間の変化が、あまりにも急激だった可能性」が挙げられるものと感じている。別の言葉では、「過去100年間、人々が想像もできなかったような大変化に見舞われたために、いまだに、ほとんどの人が変化の内容を理解できていない可能性」である。
より詳しく申し上げると、「1600年前の西ローマ帝国崩壊」以降、「貨幣は、金(ゴールド)や銀(シルバー)である」ということが「当たり前の状態」であり、その結果として、「誰も、貨幣の謎などを考える必要性が存在しなかった状況」とも想定されるのである。つまり、「金や銀の残高」に大きな変化が発生しなかったために、現在のような「貧富の格差が広がる展開」が存在しなかったものと思われるが、この点に関して、大きな変化が始まったのが、「世界的な中央銀行の設立」だったものと考えられるのである。
具体的には、「貨幣は金(ゴールド)であり、その他はクレジット(信用)である」という言葉のとおりに、「中央銀行の設立以降、大量の不換紙幣が発行された状況」となっており、また、この点に関する「極めつけの手法」としては、「世界的なコンピュータネットワークの中で、単なる数字がデジタル通貨となり、世界中で、商品と交換可能な状況」とも言えるのである。つまり、「1971年のニクソンショック」以降、「世界の通貨は、それまでの常識が通用しない状況」に変化した結果、「貨幣理論」についても、ほとんどの人が理解できない状態に陥ってしまったものと考えられるのである。
そのために、現時点で必要なことは、「過去100年、あるいは、200年余りの期間に、どのような変化が、世界の通貨や金融システムに発生したのか?」を、具体的な数字でとらえる努力とも言えるのである。別の言葉では、「どのような主体が、どのような方法で通貨発行益を得たのか?」、あるいは、「バランスシートの非対称性」を理解しながら、「どの主体に、どのようなメカニズムで不良債権が発生し、資金繰りの悪化が発生したのか?」を考えることである。
ただし、この結果として得られる答えは、「金(ゴールド)が、過去5000年間、貨幣として通用してきた事実」、そして、「現在のデジタル通貨が、間もなく、雲散霧消する可能性」とも思われるが、同時に理解できることは、「過去50年余りの期間が、貨幣の謎が解明されるために必要な時間だった可能性」とも言えるようである。(2024.9.24)
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デリバティブとCBDC
日本では、ほとんど議論されていないが、海外では、現在、私と同様に、「金融システムや通貨制度の崩壊を危惧する意見」が増えており、しかも、この時に、「デリバティブとCBDC(中央銀行デジタル通貨)の関係性」が指摘され始めている。つまり、「約600兆ドルものOTCデリバティブ」については、いまだに「バブルの崩壊」を象徴するような事件が発生していないものの、水面下では、「大事件の発生後に、不良資産の受け皿となるCBDCの大量発行が、世界的に目論まれている状況」とも認識されているのである。
また、この点については、「BRICS諸国の新通貨計画」が急速に進展している状況であり、実際には、2024年に実用化段階に入るといわれている「BIS(国際決済銀行)が主導するmBridge」、すなわち、「各国の中央銀行デジタル通貨(CBDC)システムを相互接続させるプロジェクト」を利用した「新たな通貨制度」のことである。そして、この決済システムの実施により、「大量のCBDC」が発行されるとともに、「その資金の活用により、デリバティブの残高消滅が計画されている可能性」も想定されるのである。
より詳しく申し上げると、「西側諸国の民間銀行が簿外で大量創造したデリバティブ」については、現在、「バブル崩壊の隠ぺいが難しくなっている状況」であり、そのために、前述の「mBridgeプロジェクト」が計画されたものと考えられるのである。ただし、この時の問題点としては、「CBDCの大量発行が、紙幣の大増刷と同じ経済的な効果を持つ事実」が指摘できるために、実際には、「政府や通貨への信用が完全消滅することにより、世界中の人々が、一斉に、実物資産への換物運動を始める可能性」も想定されるのである。
しかも、「80億人の換物運動」が始まった時には、「CBDCが紙幣に交換され始める展開」も想定され、この結果として発生するのが、「金融界の白血病」、すなわち、「紙幣がコンピューターネットワークの中を流れることができない事態」であることも理解できるのである。つまり、現在の「デジタル通貨」に関しては、「世界中の人々が、通貨に対する絶大な信用を保持している状況下で誕生した事実」が指摘できるが、今後の世界的な金融大混乱期には、「デジタル通貨が、全面的に価値を失う可能性」も想定されるのである。
そして、このことが、現在、多くの中央銀行が、現物の金(ゴ-ルド)を買っている理由であり、また、「国債と金を巡る戦い」、すなわち、「先進諸国が先物の金を売り、国債を買い支えている動き」が発生した原因でもあるが、今後の注目点は、やはり、「デリバティブの崩壊」と、今までの残高の「巻き戻し」が急激に発生する状況のようにも感じている。(2024.9.29)
本間宗究のコラムhttp://www.tender-am.com/column.html より許可を得て転載。
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