【追加更新】政治の情報戦への転換のなかで、ポピュリズムの台頭にも注意を!
- 2024年 12月 1日
- 時代をみる
- アメリカ大統領選挙トランプ加藤哲郎
- 2024.11.13 ● アメリカ大統領選挙結果が決まりましたので、追加更新。米国民主党系メディアの後追いが多い日本のメディアの予想に反して、共和党のドナルド・トランプの圧勝でした。接戦で、1ヶ月は開票の正当性をめぐり暴力沙汰を含む政争が続くのではと言われていましたが、投票総数でトランプ50.2%、カマラ・ハリス48.1%、激戦と言われた7州はトランプの全勝で、州毎の選挙人数では312対226,民主党のハリスは、現職バイデンから途中で代わったにわか作りでカラードの女性、世論調査では、かろうじて女性はハルス、男性はトランプと出ていましたが、黒人とヒスパニックでの民主党優位は大きく切り崩され、世代別でも、Z世代に強固なトランプ支持層が生まれていました。私にとってショックだったのは、民主党のブルーであふれていた常勝カルフォルニア州でのカウンティ(郡)別投票結果。かつて住んだことのある「多様性のるつぼ」カルフォルニアで、民主党のブルーは大都市部に追いやられ、共和党のレッドが虫喰い状に増えていました。
- ● ひょっとしたらと思って、全米のカウンティ別結果を見ると、レッドの大きな海の中に、点々と小さなブルーの島が浮かんでいる状態です。かつてワシントンDCで体験した2016年選挙のトランプ登場時とは、大違いでした。アメリカ社会における深い分断、政党支持分布線の引き直しは、歴史的で深刻です。客観的存在としての労働者階級は、人種別・性別・世代別を問わず、いまや民主党の安定した基盤ではなくなったのです。上院も下院も共和党が多数で、トリプルレッドの時代に入りました。政党配置は違いますが、おそらく日本でも、似たような地殻変動が起こっているはずです。アメリカでも日本でも、インフレ・物価高など国民の生活危機こそ、政治転換の深層の誘因でした。トランプには、落ち目の日本など眼中にありませんから、「アジアNATO」などといった自民党石破政権の牧歌的希望が通るはずはありません。せいぜい防衛予算目当ての軍需が「ディール」の対象となるくらいでしょう。自民党政権の敗北で、兜町の株価は動きませんでした。トランプのアメリカでは、フェイクニュースも蔓延しますから、通貨変動が激しくなります。これからの日本は、トランプに翻弄されることでしょう。不気味ですが、冷静に見続けましょう。
初出:加藤哲郎の「ネチズン・カレッジ』より許可を得て転載 http://netizen.html.xdomain.jp/home.html
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