「原発無しでも電気は足りる!」の論拠
- 2011年 10月 19日
- 交流の広場
- 「平和と生活をむすぶ会」原発諸留能興電力供給
「水力発電と火力発電を稼働させれば、原発の発電が無くても供給に支障はない・・」という資料や説明が、小出裕章先生提供の資料をはじめ、既に幾つか報告されています。
例:関西電力サイト 会社案内「2004年の関西電力」のフラグ
確かに、「丼勘定式」に「全国統計レベル」では、「水力発電と火力発電を稼働させれば、原発の発電が無くても供給に支障はない・・」ということは、大掴みには間違いではない。しかし、既に周知のように、現在のわが国では、全国が10の電力会社によって分割独占され、それぞれの地域の電力会社によって、原発発電・火力発電・水力発電の占める割合や、電気の周波数の違いなど条件が異なるため、「水力と火力だけで原発無くても間に合う」の全国統計レベルの一言だけでは、説得力に乏しいと、かねてより思っていました。
この問題を、よりはっきりさせる為には、関西電力や東京電力など、それぞれの電力会社の管轄地域毎の、それら3者の構成比の実態を、より詳しく調査する必要を感じていますが、電力会社側の情報隠蔽の厚い壁に阻まれて、なかなか実態が不透明でした。
しかし、今回、「-若狭の原発を考える- はとぽっぽ通信」を通じ、その[2011年10月第186号4頁]に掲載されました「平和と生活をむすぶ会」の皆様が提供して下さった、以下の資料は、大変優れた調査内容と思われます。「平和と生活をむすぶ会」のご許可を頂き、以下に全文引用・転送します。
なおPCの皆様にはこの一覧表もエクセル形式で添付送信も可能です。ご希望の方はお知らせ下されば、エクセル表形式の資料も送信致します。
今後、関西電力以外の他の地域の皆様方も、それぞれの該当地域の原発・火力・水力の発電能力の比較調査にも、大いに役立つ。好資料と思われます。
全国各地の皆様が、原発廃止、原発不要運動を進める為の、より説得力のある、良い資料収集と作成、提供を心から期待します。
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関西の発電設備別電力供給量(認可最大出力)
【原子力発電】単位:万Kw
美浜原電 166.6
大飯原電 471.0
高浜原電 339.2
原発合計 976.8[A]
実稼働: 337.1[B]
(A/B)×100=34.5%
【火力発電】単位:万Kw
宮津エネルギー研究所 75.0
舞鶴 90.0
南港 180.0
堺港 200.0
多奈川第二 120.0
関空エネルギーセンター 4.0
姫路第一 144.2
姫路第二 255.0
相生 112.5
赤穂 120.0
海南 210.0
御坊 180.0
火力発電合計 1690.7[C]
【水力発電(揚水式含む)】単位:万Kw
富山県(24ヵ所) 146.26
長野県(20ヵ所) 53.39
岐阜県(23ヵ所) 85.92
福井県(1ヵ所) 4.57
滋賀県(10ヵ所) 2.07
京都府(11ヵ所) 63.6
奈良県(11ヵ所) 126.96
三重県(1力所) 0.04
和歌山県(14ヵ所) 7.13
兵庫県(2ヵ所) 321
水力発電合計 810.94[D]
火力と水力の発電能力総計:[C]+[D] 2501.65万Kw=[E]
○[A]÷[E]=0.3904(約40%)これが、世間で流布されている「関西では原発依存度40%だ」の論拠になっている!
原発実稼働[B]で計算すると[B]÷[E]=0.1347(14%弱)となる。
○奈良県と和歌山県に電源開発が61万Kwの水力発電能力有る。これに神鋼神戸発電所の石炭火力発電140万Kwの発電(この全部を関西電力に売電)を合わせると200万Kwの余裕有り[G]
○[E]と[G]を合わせると 2700万Kw以上[H]
が原発無しでも供給可能。
○参考までに、今年2011年9月6日現在の「でんき予報」によれば
使用電力2026万Kw
ピーク時電力2550万Kw
である。
○関西電力が堺市に計画中のメガソーラ、PPS事業者の電力自由化を広げれば、現在稼中の原発4基全部を停止しても電力供給は十分可能
「-若狭の原発を考える- はとぽっぽ通信」[2011年10月第186号4頁]「平和と生活をむすぶ会」提供資料
水力発電容量は「水力ドットコム」からの抜粋・集計
http://www.suiryoku.com/gallery/gallery.html
「原発が停止したり、無くなれば電気が不足するから・・」という風潮が、福島原発事故以後も、依然として後を絶たない。それどころか、またぞろ、そうした「神話」が復活する兆しすら高まりつつある。科学的根拠のある。より説得力のある資料を、市民大衆の力を総結集させて集め、「原発がないと電気に困る」の神話をうち破りましょう!
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