カダフィ氏、拘束後、殺害される。なぜシルトにいたのかなど残る疑問
- 2011年 10月 20日
- 時代をみる
- カダフィ氏死亡リビア浅川 修史
(21日8時55分掲載)
カダフィ氏の死亡が確認された。リビア国民評議会が10月20日(現地時間)発表した。生まれ故郷のシルトで銃撃戦の末、国民評議会側に殺害された。拘束されたとき、カダフィ氏は生存していたが、兵士によって殺害されたという。カダフィ氏死亡が確認された。
カダフィ氏が隠れていたとされる下水管は、「ネズミのカダフィの場所」と落書きされた。カダフィ氏を「英雄」「殉教者」にしないための印象操作の一つのように見えた。
産経MSN 「生け捕りにした後に殺害した」 10月21日報道
http://sankei.jp.msn.com/world/news/111021/mds11102101270003-n1.htm
一方、読売はカダフィ氏が逃走中に、NATOの空爆に遭い、死亡したと報道する。
YOMIURI ONLINE
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20111020-OYT1T01038.htm?from=top
オサマ・ビンラディン氏とカダフィ氏は、本来なら裁判にかけるべきだが、慌ただしく殺害されたという点で共通している。
ビンラディン氏殺害後、「ビラデンィン氏が隠れ家にポルノDVDを多数保有していた」と報道された。スンニ派原理主義者には、「あってはならないこと」で、これもイメージダウンを狙った印象操作の一つに見える。
サダム・フセイン元大統領は裁判にかけられ、処刑された。途中、無精ひげのやつれた姿が世界に報道された。おしゃれといわれ、高級スーツと靴に身を固めていたサダム氏にとっては、耐え難い扱いだったはずだ。
カダフィ氏がなぜ、リビア南部からシルトに危険を冒して移動したのか。移動の途中でNATO軍に発見されなかったのか。素朴な疑問は多い。
カダフィ氏はリビアの事実上の元首だった。外国の介入に抵抗して、地下に潜り、最後まで戦ったことは、エジプトやチュニジアの元首とは違う気骨を見せたことになる。
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(20日23時53分)
アルジャジーラ、「カダフィ氏拘束」と報道、生まれ故郷のシルトで。リビア国民評議会最高司令官が死亡を確認?
カタールの衛星放送アルジャジーラは、10月20日(日本時間)リビアのテレビがシルトでカダフィ氏を拘束したと伝えた。カダフィ氏は両足を負傷している、という。どれも未確認情報である。その後、アルジャジーラは、リビア国民評議会最高司令官がカダフィ氏死亡を確認したと報じた。
カダフィ氏はリビア南部に潜伏しながら、反撃しているのという見方が有力だった。なぜ、地中海沿岸の都市、生まれ故郷のシルト(Sirte)で拘束されたか、不明である。
10月19日時点でシルトのカダフィ側は700平方メートルという狭い範囲に押し込められていた(AFP)。ここにカダフィ氏がいたとすれば命運は尽きていた。
10月18日、リビアを電撃訪問したクリントン国務長官は、「米国はカダフィ大佐が近々、拘束されるか殺害されることを望む。そうなれば、カダフィ大佐を恐れる必要がなくなるからだ」と語っていた。
この時点でカダフィ氏の所在を把握して可能性も高い。識者によると、NATOはかなり早い段階で、カダフィ氏の所在を把握していたという。
10月20日、ロイター通信は、「カダフィ氏死亡」を伝えた。
ロイター通信が死亡説を報道
http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-23730920111020
アルジャジーラ、拘束報道の後、「リビア国民評議会司令官がカダフィ氏死亡を確認」
http://english.aljazeera.net/news/africa/2011/10/20111020111520869621.html
もし、カダフィ氏が負傷したとはいえ、生きたまま拘束されたとすれば、イラクのサダム・フセイン元大統領のように、裁判にかけられ、世界に報道される。ある意味で、欧米主導の「見世物」になるが、いろいろ欧米にとって不都合なことも証言されるリスクもある。
カダフィ氏最後まで抵抗して亡命しなかったことは、エジプトのムバラク氏と異なり、生命や財産を最優先する俗物でなかったことを物語る。
アルジャジーラ英語版 リビアのテレビがカダフィ氏拘束と報道
Libyan TV reports ‘capture’ of Gaddafi
Unconfirmed reports say that toppled leader is in a critical condition and the head of his armed forces has been killed.
Libyan TV is reporting that Muammar Gaddafi has been captured by NTC fighters in Sirte.
Jamal abu-Shaalah, a field commander of NTC, told Al Jazeera that the toppled leader had been seized, but it was not clear whether he was dead or alive.
Gaddafi is captured and is wounded, Abdel Majid, another NTC official, told the Reuters news agency.
“He’s captured. He’s wounded in both legs … He’s been taken away by ambulance,” the senior NTC military official said.
Majid also said that Abu Bakr Younus Jabr, the head of Gaddafi’s armed forces, was killed during the capture of Gaddafi.
The news came shortly after NTC claimed capturing Sirte, Gaddafi’s hometown, after weeks of fighting.
NATO and the US state department said it cannot confirm the reports of Gaddafi’s capture. He has not been seen since NTC fighters seized Tripoli, the Libyan capital.
Meanwhile in Benghazi, crowds gathered in the streets to start celebrating the reports of Gaddafi’s capture.
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye1672:111020〕
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