本間宗究「ちきゅうブッタ斬り」(10)
- 2011年 10月 25日
- 評論・紹介・意見
- デモ本間宗究金金融
フラクタルから見る「金相場」
9月21日の「FOMC」以降、大量の「売り叩き」が、「貴金属」や「株式」の相場で起きたが、一方で、「先進国の国債価格」については、史上最高値圏に位置し、実質上、「まったくの無傷」の状況でもあった。そして、「何故、このような事が起きたのか?」が、今後の相場を見る上で、きわめて重要な点だと考えているが、基本的には、「プログラム売買」による、「国債の買い」と「株式の売り」が、大量に行われたようである。また、多くの人が、「リーマンショックの再来」という恐怖心に怯え、「再び、貴金属や株式が急落する」と考えたようだが、この点については、「金のチャート」に関して、「日足」と「月足」とを比較すると、「今後の展開については、おおよその予想が付く」ものと考えている。
具体的には、「2011年の7月から9月の日足チャート」と「2007年から2008年の月足チャート」を比較すると、「ほとんど同じ波動を描いている」ということが見て取れるのだが、このことが、いわゆる「フラクタル(相似形)」と呼ばれるものである。つまり、物体において、「宇宙」と「細胞」とが、同じ構造をしているというように、「時間」や「現象」においても、「往々にして、同じような波動が現れる」ということが、私自身の「過去の経験則」から感じていることである。
そして、このことから判断できることは、今回の「相場の下げ」は、「2008年と比較して、約8分の1程度の規模である」ということと、「すでに、最悪期を脱し、今後は、2009年以降の相場が、短期間のうちに、繰り返されるのではないか?」ということである。より具体的には、「金価格は、今後、本格的な上昇期を迎える」ということが予想されるのだが、この点については、「再度、新高値を取る」という状況になった時に、はっきりと見え始めるものと考えている。
また、この「フラクタル」が正しいとすると、今回の混乱については、「2008年とは、まったく性質が違ったものである」ということが理解できるのだが、具体的には、「今回は、株式や商品の問題ではなく、国家財政や国債バブルが、大きな注目点になっている」ということである。つまり、「金融混乱の規模が、民間銀行や民間企業のレベルから、より大きな国家のレベルに移行した」ということだが、同時に、「アメリカのデモ騒動」からも理解できるように、「多くの国民が、混乱の本質を理解し始めた」ということである。そして、このような状況こそが、「混乱の最終段階」であり、かつ、「通貨価値が、最も激変する時期」だと考えているが、このことは、今後の数ヶ月間で、はっきりと見えてくるようである。(10月5日)
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アメリカのデモ騒動
世界的な「民衆の反乱」は、いよいよ、「アメリカ」にまで及び始めたが、今回の騒動については、大きな注意が必要だと感じている。つまり、「国民の不満が高まり、その不満の対象が、ウォール街に向けられている」という状況であるとともに、この「元凶」となっているのが、「FRB」だと考えられているからである。別の言葉では、「1971年のニクソンショック以降、マネーの大膨張が起きた」ということが、「生活苦の根本的な原因である」ということに、多くのアメリカ人が気付き始めたのである。
そして、この動きは、今後、より大きなものになると考えているのだが、重要な点としては、この時に、「アメリカの金融政策が、どのような影響を受けるのか?」ということである。つまり、今までは、「QE1」や「QE2」、あるいは、「ツイスト・オペ」というような、「本質的な解決策」ではなく「単なる時間稼ぎの政策」しか行ってこなかったのだが、今後は、このような「誤魔化しの金融政策」が実施できなくなる可能性が高まっているのである。
別の言葉では、現在のような、「借金爆弾が、日に日に、大きくなっている状況」が、国民の「不安感」や「不満」を増大させ、一方で、「国民の生活」が、きわめて厳しい状況となっているために、今回のデモ騒動が起きたものと思われるのである。そして、「次に、どのような展開が考えられるのか?」ということが、今後の注目点になるのだが、この点に関しては、「日本の明治維新」が、大きな参考になるようだ。
具体的には、「和を貴ぶと言われた日本人」が、「物価上昇による生活苦」で、「世直し」を求めて「打ち壊し騒動」を引き起こしたのだが、この時には、なんと、国民の一割以上が、この動きに参加したのである。つまり、「ええじゃないか」や「おかげ参り」と呼ばれている騒動のことになるが、このような動きが数カ月間続いたのちに「大政奉還」が起き、結果として、「幕藩体制」が崩壊するとともに、「明治維新」が起きたのである。
このように、「世の中が行き詰まりを見せ、人々の不満が高まる」ということは、「世の中が、大転換期を迎えている」ということを意味しているものと考えているが、その後の「日本の躍進」については、説明するまでもないようである。つまり、「一つの時代が終わる」ということは、「新たな時代が始まる」ということを意味しており、このような観点からは、現在の「金融動乱」は、「大きなピンチ」であるとともに、意欲のある人々には、「大きなチャンス」でもあるようだ。(10月5日)
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金融システムの崩壊!?
10月に入り、いろいろな識者が、危機的なコメントを述べ始めている。具体的には、著名な投資家である「ジョージ・ソロス氏」が、「2008年以降の金融危機は、ソ連崩壊前と似た状況である」とか、あるいは、「IMFのアドバイザー」である「シャピーロ氏」が、「有効な手を打たない限り、10月中にも、世界の金融システムは崩壊する可能性がある」と述べているのである。また、「ECBのトリシェ総裁」も、シャピーロ氏と同様の意見を述べているのだが、このことは、今までに申し上げてきた、「金融のメルトダウン」が、本格的な動きを見せてきたことが、根本的な原因だと考えている。
つまり、今回の金融混乱については、「デリバティブ」と「日米の国債」が、「混乱の元凶」であり、この点に関して、「抜本的な解決策」が必要だということである。換言すると、「ギリシャ問題」は、単に「氷山の一角」であり、本当の問題は、いまだに、表に現れていないのだが、現在では、時間の経過とともに、徐々に、「金融混乱」が、世界的に伝播しつつあり、間もなく、「ある瞬間に、全ての問題が表面化し、金融システムが崩壊する可能性が高まっている」ということである。
そのために、今回は、金融に精通した人々が、これほどまでの危機的な表現を使っているのだが、このことが意味することは、「たいへん近い将来に、本格的なハイパーインフレが、我々を襲ってくる」ということでもあるようだ。別の言葉では、「膨大に膨れ上がった現代のマネーが、堰を切って、我々を襲い始めるのではないか?」ということだが、この点については、「アメリカのデモ騒動」が、象徴的な動きとも言えるようである。
つまり、「生活に困り始めた国民が、金融の象徴であるウォール街を占拠しようとしている」ということだが、このことは、今年の初めから始まった「世界的な暴動」が、ついに、アメリカまで押し寄せたということを意味している。そして、今後は、この動きが、ますます、加速するものと考えているが、このことが意味することは、「政府」のみならず、「現在の富」に対して、国民からの信用が失われ、その時には、大量に存在する「現代の通貨」が、「市場で暴れまわる」ということである。
別の言葉では、「富の象徴」とも言える「日米の国債ツインタワー」が崩壊し、その後の「約6カ月間」に、最も厳しいインフレの時期が訪れるものと考えているが、やはり、このような状況下では、「金や銀を保有し、かつ、6か月分の食料を備蓄する」という方法が望まれるようである。(10月14日)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion0661 :111025〕
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