「保安院 海への汚染水、ゼロ扱い」
- 2011年 12月 17日
- 交流の広場
- PeacePhilosophy松元保昭汚染水
みなさまへ 松元
きのう逸早く報道された東京新聞の「保安院 海への汚染水、ゼロ扱い」および「「冷温停止」「事故収束」と宣言した政府の大嘘」 の二つの記事をPeace
Philosophyがブログに掲載し、前者の海外向け英文記事を載せていますので、紹介させていただきます。
依然として犯罪者たちが権力機構の中枢に居座っている日本です。東電を裁くことなしに、新生未来は訪れそうにもありません。
======以下、全文転載======
Saturday, December 17, 2011
Japan’s Nuclear Safety Agency Regards Radioactive Water Leaks to the Ocean as “Zero.” 東京新聞記事「保安院 海への汚染水、ゼロ扱い」英訳
東京新聞独自の取材によるこの記事は非常に深刻な内容であり、海水汚染の問題であることから当然世界の問題であるし、現在世界中のメディアからも「冷温停止宣言」に対する疑問の声が上がっている(下記英文解説の最後のリンクを参照)ことから、急きょ英訳しました。海外に広めるために使ってください。
@Peace Philosophy
◆英訳は下段に掲載しました。ご利用ください。(紹介者)
■保安院 海への汚染水、ゼロ扱い
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2011121602000186.htm
東京新聞 12月16日
福島第一原発事故で、何度も放射性物質を含む汚染水が海に漏出したが、経済産業省原子力安全・保安院は「緊急事態」を理由に、法的には流出量は「ゼロ」と扱ってきたことが本紙の取材で分かった。今後、漏出や意図的な放出があってもゼロ扱いするという。政府は十六日に「冷温停止状態」を宣言する予定だが、重要な条件である放射性物質の放出抑制をないがしろにするような姿勢は疑念を持たれる。
原子炉等規制法により、電力事業者は、原発ごとに海に出る放射性物質の上限量を定めるよう決められている(総量規制)。福島第一の場合、セシウムなどは年間二二〇〇億ベクレルで、年度が変わるとゼロから計算される。
しかし、四月二日に2号機取水口近くで高濃度汚染水が漏出しているのが見つかり、同四日には汚染水の保管場所を確保するため、東京電力は建屋内のタンクに入っていた低濃度汚染水を意図的に海洋に放出した。
これら二件の漏出と放出だけで、原発外に出た放射性物質の総量は四七〇〇兆ベクレル(東電の試算)に達し、既に上限値の二万倍を超える。
試算に対しては、国内外の研究機関から「過小評価」との異論も出ている。
今月四日には、処理済みの汚染水を蒸発濃縮させる装置から、二六〇億ベクレルの放射性ストロンチウムを含む水が海に漏れ出した。
さらには、敷地内に設置した処理水タンクが来年前半にも満杯になる見込み。この水にもストロンチウムが含まれている。東電はできるだけ浄化して海洋放出することを検討している。漁業団体の抗議を受け、当面は放出を見送る方針だ。
保安院は本紙の取材に対し、事故への対応が最優先で、福島第一は損傷で漏出を止められる状態にない「緊急事態」だった点を強調し、総量規制を適用せず、四七〇〇兆ベクレルの漏出をゼロ扱いする理由を説明した。
「緊急事態」に伴う特例扱いは「事故収束まで」続くとも説明したが、具体的な期間は「これからの議論」とあいまい。
今後、仮に放射性物質を含んだ処理水を放出したとしても、ゼロ扱いを続けるという。
投稿者 Peace Philosopher 時刻: 3:32 AM 0 コメント この投稿へのリンク
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ラベル: Fukushima Nuclear Power Plants 福島原発問題, In English 英語投稿, In Japanese 日本語投稿, Media Critic
メディア批評, Nuclear Waste
Friday, December 16, 2011
■汚染水はいくら漏れても「ゼロ」扱いし、燃料がない圧力容器の温度を計って「冷温停止」「事故収束」と宣言した政府の大嘘
東京新聞が重要記事を出した。
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011121690070643.html
2011年12月16日 07時06分
福島第一原発事故で、何度も放射性物質を含む汚染水が海に漏出したが、経済産業省原子力安全・保安院は「緊急事態」を理由に、法的には流出量は「ゼロ」と扱ってきたことが本紙の取材で分かった。今後、漏出や意図的な放出があってもゼロ扱いするという。政府は十六日に「冷温停止状態」を宣言する予定だが、重要な条件である放射性物質の放出抑制をないがしろにするような姿勢は疑念を持たれる。
原子炉等規制法により、電力事業者は、原発ごとに海に出る放射性物質の上限量を定めるよう決められている(総量規制)。福島第一の場合、セシウムなどは年間二二〇〇億ベクレルで、年度が変わるとゼロから計算される。
しかし、四月二日に2号機取水口近くで高濃度汚染水が漏出しているのが見つかり、同四日には汚染水の保管場所を確保するため、東京電力は建屋内のタンクに入っていた低濃度汚染水を意図的に海洋に放出した。
これら二件の漏出と放出だけで、原発外に出た放射性物質の総量は四七〇〇兆ベクレル(東電の試算)に達し、既に上限値の二万倍を超える。
試算に対しては、国内外の研究機関から「過小評価」との異論も出ている。
今月四日には、処理済みの汚染水を蒸発濃縮させる装置から、二六〇億ベクレルの放射性ストロンチウムを含む水が海に漏れ出した。
さらには、敷地内に設置した処理水タンクが来年前半にも満杯になる見込み。この水にもストロンチウムが含まれている。東電はできるだけ浄化して海洋放出することを検討している。漁業団体の抗議を受け、当面は放出を見送る方針だ。
保安院は本紙の取材に対し、事故への対応が最優先で、福島第一は損傷で漏出を止められる状態にない「緊急事態」だった点を強調し、総量規制を適用せず、四七〇〇兆ベクレルの漏出をゼロ扱いする理由を説明した。
「緊急事態」に伴う特例扱いは「事故収束まで」続くとも説明したが、具体的な期間は「これからの議論」とあいまい。
今後、仮に放射性物質を含んだ処理水を放出したとしても、ゼロ扱いを続けるという。
(東京新聞)
「緊急事態」であると、通常の規制値の20万倍の放射性物質漏えいがあっても「ゼロ」にしてしまう。こんなことが許されるはずはない。東電政府は311以来、緊急事態を理由にどれだけの基準底上げを行ってきたか。市民に1ミリシーベルト以上の被ばくはさせないとの方針が20ミリシーベルトになってしまった。原発労働者は100ミリシーベルト(5年間に渡り。単年で50ミリシーベルトまで)から250ミリシーベルトに。放射性廃棄物の埋め立てはセシウム1キログラムあたり100ベクレルから8000ベクレル、さらに10万ベクレルに。
そして、野田首相は12月16日、「冷温停止」宣言をした。本来は「冷温停止」とは健康な原子炉、燃料が水に入っている状態での燃料の温度である。燃料が圧力容器を突きぬけ「メルトスルー」し、容器内にないのに、政府東電は、容器内の底の温度が100度以下なら「冷温停止」だということにしてしまおうと、定義自体をすり替えた。もうひとつの条件として「放射性物質の抑制」を挙げているが、上記のニュースのように汚染水問題を完全になかったことにしている。また、「放射性物質の抑制」というが、避難基準変更にとって大事なのは既に落ちて地表に堆積している放射性物質である。原子炉の状況だけを取り出して避難解除計画をタイアップすること自体が間違っている。
野田氏は16日の会見でなんと「原発事故そのものが収束した」とまで言ったのだ。福島県知事までもが「収束していない」と反論した。廃炉までに最長40年かかると発表した矢先にである。「よくこんな嘘が言えますね」と官邸ホームページの意見欄に書いて送った。一人でも多く直接声を届けてほしい。国会議員は国会の場で問いただしてほしい。
汚染基準、被曝基準、原子炉収束基準がどんどん歪められて行く中で一番歪んでいくのが倫理的基準、即ち良心である。今、この危機に立ち向かう私たち一人一人の良心が試されている。諦めないで戦い続けたい。
以下はツイッター@Peace Philosophyより(一部修正あり)。
NYTフラッカー記者再び鋭い記事。政府東電が余震のリスク、再臨界の可能性がまだ残り、燃料が溶け落ちてしまっている原子炉を定義に逆らって冷温停止「状態」と呼び、汚染の拡がりから目をそらそうとしていることを鋭く世界に発信。
ニューヨークタイムズ記事「深刻な疑問が続出する中で日本は原子炉制御を宣言しようとしている」
http://www.nytimes.com/2011/12/15/world/asia/japan-set-to-declare-control-over-damaged-nuclear-reactors.html?_r=1&emc=tnt&tntemail0=y
(下方参照)
ニューヨークタイムズは、「冷温停止状態」宣言の前に「これだけ専門家から疑問の声が上がっているのに」、との踏み込んだ記事を出したが日本メディアはこぞって大本営発表になるのだろうか。
(このNYT記事はこちらに日本語訳があります。)
野田氏は「発電所の事故そのものの収束に至った」と言ったと報道されている。信じがたい。今後水素爆発等何が起こっても隠ぺいの圧力が何倍にもなるだろう。大余震が起きたらどうなるのか。汚染水問題はもうなかったことにされている。今まで9カ月の悲劇以上の惨事が待ち受けているかもしれない。
CNN: 福島第1原発の冷温停止宣言、「安全になったわけではない」と米専門家
http://www.cnn.co.jp/world/30004950.html
CNNから: 米国で原発の運営にかかわった専門家のマイケル・フリードランダー氏は「原子炉が現在のような状態にある中で冷温停止2 件を宣言するのは、現状に対して正当とは言えない。現在の状態が6月に比べて安全になったわけではない」と指摘する。
野田氏は「発電所の事故そのものの収束に至った」と言ったと報道されている。信じがたい。今後水素爆発等何が起こっても隠ぺいの圧力が何倍にもなるだろう。大余震が起きたらどうなるのか。汚染水問題はもうなかったことにされている。今まで9カ月の悲劇以上の惨事が待ち受けているかもしれない。
最近政府官僚東電メディアによる情報操作、隠蔽にも慣れっこになってしまっていたが、今日の野田氏の「事故収束」を聞いて、まだショックを受けられる自分が残っていることに気付いた。嘘に感覚を麻痺させてはいけない。嘘は嘘だと訴え続けなければいけない。
今のところ「冷温停止」に批判的な記事を出しているのはニューヨークタイムズやCNNといった海外メディアである。日本メディアも大本営発表にとどまらず、おかしいことはおかしい、嘘は嘘だと伝えてほしい。
@PeacePhilosophy
===以下、「保安院 海への汚染水、ゼロ扱い」の英訳===
Tokyo Shimbun, a bloc newspaper in Tokyo, which many regard as one of the few newspapers in Japan that honestly report what is going on at Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant, ran an important, and serious article yesterday, with their own investigative interview with NISA, Nuclear and Industrial Safety Agency, a division of METI, Ministry of Economy, Trade, and Industry. Here is a quick translation of the report. This is a critical article that calls for further investigation, particularly in the wake of Japan’s PM Noda’s “Cold Shutdown” declaration, to which questions have been raised by experts and international media (See New York Times, Bloomberg, CNN, Xinhua) @PeacePhilosophy
Tokyo Shimbun report
Japan’s Nuclear Safety Agency Regards Radioactive Water Leaks to the Ocean as “Zero.”
Original article in Japanese at:
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2011121690070643.html
December 16, 2011
According to Tokyo Shimbun’s interview with NISA (Nuclear and Industrical Safety Agency), the agency has regarded the radioactive water leaks from the Fukushima Daiichi reactors as “zero” in their legal term, for the reason that it is a “state of emergency.” They plan to continue to regard any future leak or intentional release as “zero.” The Japanese government plans to announce “cold shutdown” on December 16, but it is a questionable attitude for the government to neglect one of their criteria of “cold shutdown,” which is “radioactive release being under control.”
According to law, electric companies are required to set the maximum amount of total radioactive release into the ocean per year for each nuclear power plant.
That amount for Fukushima Daiichi is 220 billion becquerels (Cesiums, etc), and when the year changes, they reset to “zero.”
On April 2, highly radioactive water was found leaking from Reactor No.2, and on April 4, TEPCO intentionally released radioactive water with lower contamination into the ocean, in order to make room to store more contaminated water.
With these two incidents only, the amount of radioactive release outside of the nuclear plant is
4,700 tera-becquerels (according to TEPCO estimate),
20,000 times of the allowable limit.
This TEPCO estimate has been criticized by experts in and outside of Japan as “underestimation.”
On December 4, water contaminated with 26 billion becquerels of radioactive Strontium leaked into the ocean from the equipment that vaporizes and condenses processed contaminated water.
It is estimated that the tanks to store processed contaminated water within the plant will be full by early next year. Water stored in those tanks contain radioactive Strontium too. TEPCO has been considering further cleansing the water and releasing into the ocean. With opposition by fishery organizations, they have decided to postpone it.
NISA, in the interview with Tokyo Shimbun, emphasized the fact that their priority has been dealing with the accident, and the damage at the Fukushima Daiichi plant was a “state of emergency,” one in which radioactive leaks could not be prevented. That was their reason for not applying the maximum allowable total amount of radioactive release and regarding the leak of 4,7000 tera-becquerels of radioactive material as “zero.”
NISA has stated this special treatment due to the “state of emergency” may continue until “the accident is brought under control,” but they are ambiguous on when that exactly will be , saying it is a “matter to be discussed.”
NISA has said that even when (TEPCO) releases radioactive water into the water, they will continue to regard the release as “zero.”
Tokyo Shimbun
(以上、転載終わり)
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