日本の捕鯨船が得た*23億円の支援金は、国の震災復興資金から出た
- 2011年 12月 19日
- 評論・紹介・意見
- グローバー理恵
概説:ABC(Australian Broadcasting Corporation) News (12月9日付)
アダム・ハーヴィー(Adam Harvey)氏の記事
日本の捕鯨船が得た*23億円の支援金は、国の震災復興資金から出た。
日本政府が、捕鯨船団に23億円の支援金を、国の震災復興財源から支払っていた。日本の捕鯨船団は、国の震災復興資金の一部を支援金として頂戴するという特別待遇を受けたわけである。
そして、日本の捕鯨船3隻が、石巻港を出港し南極海へ向かった。 捕鯨船団は、この3ヶ月間に900頭の鯨を捕らえる計画だという。
日本の捕鯨船団は、先の捕鯨シーズンに、反捕鯨グループ、「**シーシェパード」に捕鯨を妨害されたため、捕鯨を途中で放棄しなければならなかった。そのために今回は、捕鯨船の警備態勢・護衛をずっと強化した。
しかし、この捕鯨船団への支援資金の出所が国の震災復興資金ということで、日本国内では抗議の声が上がっている。(***日本では、日本環境法律家連盟や消費者組合を含めた合計18のNGO(非政府組織)が、野田総理大臣宛の抗議書に署名した。)
日本水産庁は、「3月の地震・津波によって破壊された町のひとつが捕鯨船港であるから、震災復興資金から捕鯨船団のために23億円が支払われるのは正当な事である」と主張している。
グリーンピース・ジャパンの事務局長、佐藤潤一氏は、「捕鯨と地震を結びつけるなんて、かなり極度で無理な解釈の仕方であるし、復興とは全く関係のない事だ。捕鯨業自体が深刻な財政問題を抱えているために、この援助資金は、捕鯨業の債務を払うために使われているのだ。」と言っている。
一方では、「シーシェパード」の三隻の船が、この日本の捕鯨船を妨害しようと、Albany港とHobart港を出港するための準備を進めている。シーシェパード・グループの設立者、ポール・ワトソン氏は、「我々は、オーストラリア政府にも我々の反捕鯨活動を支援してくれるように頼んである」と述べた。
それに対して、オーストラリアのトニー・バーク環境大臣は、「南極海での捕鯨は間違っているし違法行為でもあるが、オーストラリアは捕鯨現場に税関や海軍艦船を送り出すプランはない。オーストラリアは捕鯨を阻止しようと、国際司法裁判所に訴えている。これは、世界のどの国よりも、我々が強硬路線を取っていることを示している。南極海は捕鯨サンクチュアリであり、そこで捕鯨する事は間違いである。」と言った。
日本水産庁が出した声明書には「我々が目指す捕鯨航海の目的は、科学的データを得る事にある」と述べられている。(****しかし、批判者は、こういった主張は単に商業捕鯨の隠れ蓑であると言っている。そして、鯨が絶滅寸前の動物であるという事を無視し、食用のために捕鯨を続けている日本人を非難している。)
今月末までには最初の鯨が捕獲されるはずである。そして、捕鯨シーズンは来年の3月まで続く。
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(注)*この23億円という数字は、(原文の金額がオーストラリア・ドルになっていたため)BBC Newsからとりました。
**シーシェパード環境保護団体(Sea Shepherd Conservation Society):通称シーシェパード、SSは、海洋生物保護のために直接行動を戦術として用いる国際非営利組織の海洋環境保護団体。本部はアメリカ合衆国ワシントン、フライデーハーバー。国際環境保護団体グリーンピースを脱退したカナダ人、ポール・ワトソンが1977年に設立した。アイスランドやノルウェーの捕鯨船を体当たりで沈没させるなど過激な行動で知られ、2005年からは南極海での日本の調査捕鯨を妨害するようになった。―ウィキベディアより
***「The Sydney Morning Herald 」記事から。
http://www.smh.com.au/environment/whale-watch/japan-uses-285m-in-disaster-funds-for-whaling-claim-20111207-1ohzc.html
****「BBC News 」記事から。
http://www.bbc.co.uk/news/world-asia-16064002
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion0727:111219〕
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