経産省前テント日誌“破滅へと向かう「収束宣言」と、テントひろばでの「地下大学」”(12/17)など
- 2011年 12月 19日
- 評論・紹介・意見
- Q経産省前テント日誌
<テント日誌 12/16(金)>
椎名さん、福島からテントへ帰還、テント全体会議
―― 経産省前テントひろば 97日目 ――
12月16日(金)曇のち晴 座り込み97日め。
泊まり込みは2回目、見張り初めての方が来られ、この寒空のもと夜が明けるまで外に座っていらっしゃいました。
足元に暖房器具をお持ちしましたが、温かいね、と呟いていらっしゃいました。奥で誰が休んでいるものやら、大事な用件があり、小生、真夜中に帰り、立ち寄ってみた夜のことです。
経産省総合庁舎防火管理者よりテントの会代表に『防火管理上の禁止行為等について』 という文書が届きましたが、15日付になっているようです。とても容認できる内容ではなく、反論抗議をすることになります。文書照覧希望の方は,記者までご連絡下さい。経産省テント前広場のメール@へ。
16日午前11時半頃、福島県から椎名さんが、霞が関テントへ帰還。さっそく脱原発とTPP加入阻止の談話会を主催されたようです。椎名さんの手稿頂きましたので、ここに紹介致します。
「今日の女テントは『脱原発への時代、TPPとは? その本質とは』の学習会。知ってか、知らぬか、女テントに集まってきたのは10人近くで、ほぼ3時間熱心なレクチャー・トークの場になった。火気のないコタツも、10人近くのヒザ小僧と熱気で、ほの温かい!?
ここに、すでに女性性をもった孕み,生み……という特質をもった”空気”がテントいっぱいみなぎり始めているという確信をもった。この日時局は、東電福島原発第一の事故対策の冷温停止・収束宣言を告げる。スワっと緊張が走り、硬直した空気がみなぎる。テント広場でもあるが、女テントは、始まったばかり。浮足立つことなく、どっしりと構えたい。いのちという生体性、固有性、創造性・・などこの受難ののりこえという課題にからませながら、存在実感に基づく行動が多様に、しなやかに、折れることなく、生まれることを期待しながら!」 (椎名千恵子)
夜、拡大テント会議が7時より。主題は、正月休みを中心とするローテーション問題。第一テントは、徐々になんとか支障なく進行していますが、第二テントは、干渉しないよう(さわらぬかみにたたりなし)している分だけ、どうしたらよいのやら。椎名さんは、つまるところ、自然生成的に運営したいと発言されました。暮れから正月休みにかけて、脱原発を主題として、あれこれ、イヴェント、パフォーマンス、コラボ、ワークショップとテント広場は、企画盛りだくさんですが、経産省前テント座り込みによる闘争勝利という課題をはたす布陣とそうしたテント前企画の主催者は、協力関係はあるにしても、あくまで独立的にあることを淵上氏は強調。 マニアックなイデオロギーあるいは宗派性によってヒステリックに方向喪失していくように「闘争的」にならず、脱原発に関心を持ち、いかに脱原発を実現するかをゆたかな裾野を切り開きつつ、優しく招き容れ、脱あるいは反原発の真実を確信できるよう誘導することの重要性を、江田氏は語った。記者は福島原発事故にみまわれた被害者のかたがたの臨在感をなくさぬように、と要望した。2時間半になる会議も多くの課題をひきつぎ持ち越されるが、ポジティブな前向きな姿勢は変わることはないだろう。 会議終了後、江田さんは平和のピアニスト池邊幸子さんのアポをとり、クリスマス・コンサートの実務をひまわりさんこと高橋幸子さんに任せた。池辺さんは演奏の舞台づくりを高橋さんにあれこれ確認されているようだった。 ブームつきのマイクスタンドをどなたかお貸しいただけないでしょうか? 被爆{曝}者をめぐっての演奏とお話は、第2テント、12月24日午後2時開場実現目標で進行中。 収束宣言、除染予算、避難裁判、海外輸出、がれき廃棄物問題など、緊迫した推進側の攻勢にたじろがず抵抗戦線の充実を!
(Q記)
<テント日誌 12/17(土)>
破滅へと向かう「収束宣言」と、テントひろばでの「地下大学」
―― 経産省前テントひろば 98日目 ――
12月17日(土) 快晴 寒い。
日比谷公園のかもめ広場の噴水に薄氷が張っている。ここは、福島女性、全国女性座り込みの最終日、みなで手をつなぎ合って、原発事故などの被ばく事件の再び起こらぬよう、子どもや弱者に放射能禍が及ばぬように、団結と連帯を誓い合ったところ。
暖房完備の部屋住まいには分からぬ自然の移り変わり。
毎朝、ここを散歩する小生には、日々の政権側、東電側の情報は、愚民を欺かんとする、労働者を搾取するパワー・ポリティクスしか感じない。エネルギーとは質量にかけること速度の2乗であれば、昨日の「収束」は、その速度に於いて、天文学的破壊力の誇示しか意味しない。累乗的な速度で破滅に向かう国家を救おうと言うのだから、テントにこそ義があると信じている。
原子力資料情報室などが力を入れる「原子力の終焉」集会に於いて、田中三彦氏は、破壊された原子炉の低温冷却などありえぬ妄言であると断言されたそうである。チェルノブイリの現地放射能汚染研究者は、除染にはなんの意味もないから、と福島事故以後の日本の研究者たちに訴えたそうである。
原子力を管理する能力や資格はともかく、広島・長崎・第五福竜丸の被爆(曝)経験国が、福島原発事故の大惨事の後で、世界で最も最先端の核開発に於ける挫折としての今回の事故の工学テクノロジーを深切に根底的に再検討しない愚かさには、つける薬がないところまできている。
日比谷公園の烏は、奇妙な咳をして人間に大気の異常を教えてくれているのに。
この日は、記者はツイッタ―デモに出たので、テント広場の地下大学には参加できなかった。 第2テントで、午後3時から6時の予定が夜10時まで続いたそうだ。
翌日、記者は、『新宿どまんなかデモ』で、地下大学出演者の阿部さんにお会いした。
「今回の旅は、テント広場での地下大学での講演と『新宿デモ』が主要目的です」と真剣な表情。スピーチにも力がこめられる。
テント日誌へのメッセージとしては、「田中防衛局長などの『犯す』などの暴言をめぐる資料は、すべて経産省前テントに寄贈してきたので、是非、テントで、最近の沖縄問題をつぶさに見て頂きたい。手稿をお渡しする時間的余裕は今回ありません」とのことだった。
福島への、沖縄への不感無覚の落し前の恐ろしさを察知しての福島、沖縄からの捨身飼虎としての使者。首都の人間のなんというおごりと罪深さ! 首都の人間は、熱帯の海浜のように、ただ口をあけていれば、魚も果実も頂けると云うような風情ではあるまいか。海を汚していることまでも知らずに! (Q記)
この記事は、たんぽぽ舎「地震と原発事故情報 その274 」より転載させていただきました。
なお、「経産省前テントひろば」のサイトのURLは、http://tentohiroba.tumblr.com/です。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion0728:111219〕
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