オバマ大統領がイラン最高指導者に警告 イランは進退窮まる。
- 2012年 1月 15日
- 時代をみる
- イラン情勢浅川 修史
オバマ大統領はイランの最高指導者、高位(アヤトラ=アッラーの徴という意味)のイスラム法学者、ハメネイ師に、秘密裏に警告のメッセージを伝えた。ニューヨーク・タイムズが報じた。
オバマ大統領のメッセージには2つの重要な意味がある。ひとつは宛先が国民の選挙で選ばれるイラン大統領ではなく、終身その地位にある最高指導者であること。二つ目は、米国が主導するイラン包囲網に呻吟しているイランにとって、最後のカードともいうべき「ホルムズ海峡閉鎖」を決して許容しないという強いメッセージを送っていることだ。
これで、イランは進むことも、退くことも困難になり、窮地に立たされた。
バザール商人のように驚異的な自制心と忍耐力で何年も米国の圧力をかわしてきたイランだが、ついに米国から交渉のクロージングをかけられた形である。
もし、イランが米国の圧力にさられて、ウラン濃縮を含む核開発をいっさい放棄したとする。イスラム法学者が統治する政権のメンツは丸つぶれになるだろう。そのことは国民から軽蔑をかうことになる。政権は危殆に瀕する。
ただ、これだけ米国とイランが衝突する材料が山のように出ているのに、マーケットの反応が鈍いことは気にかかる。もっと、奥深い情報を知っているのかもしれない。
こうした中で、イランが、IAEA(国際原子力機関)の調査団を受け入れるというニュースが1月15日に入った。IAEAの調査団がイランの核開発について調査(査察)に入ることはこれまでもたびたび行われているが、土壇場でのイランの調査団受け入れ表明は、イラン側の硬軟とりまぜた交渉戦略が続いていることを物語る。もし、調査団受け入れが決まれば、この期間中は米国のイラン核施設攻撃はほぼないことは明らかだ。
しかし、米国の対イラン戦略がIAEAの調査結果に影響されるとは考えにくい。イランの窮地から抜け出すことは容易ではない。
「オバマ大統領がイラン最高指導者に警告」
http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012011301001688.html
「イラン、IAEA調査団受け入れ 外務省報道官が表明」
http://www.47news.jp/CN/201201/CN2012011501001046.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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