「内閣支持率急落43%、消費増税検討は賛否が拮抗」
- 2010年 7月 9日
- 時代をみる
- 瀬戸栄一
菅直人内閣支持率はわずか18日間で15・4ポイントも急落し43・4ポイントになった。不支持率は43・2%(13・2ポイント増)で、支持と不支持がほぼ並んだ。菅直人首相が消費税率引き上げについて、自民党公約の「当面10%」を参考に超党派で検討する考えを示していることについては「評価する」45・3%、「評価しない」46・8%と賛否がほぼ拮抗した。
これは共同通信が7月7、8両日に実施した第3回トレンド調査によるもので、第1回調査(6月12、13両日)から内閣支持率がひたすら急低落していることを示した。7月11日の参院選投開票結果を探る目的で共同通信が4、5、6の3日間実施した全国世論調査(4万4000人)で「与党、過半数割れか」との結果が出たのに見合うもので、民主党中心の与党が選挙区と比例代表の双方で苦戦している情勢を裏付けた形だ。
▽選挙区で自民党支持が追い上げ
トレンド調査は選挙戦の一定期間に有権者の関心度や政党支持がどう変わるかを、今回は目前の参院選に向けて連続3回実施した。第3回調査は全国の有権者1230人からの回答を基に行なった。第1回は6月12、13両日、第2回は19、20両日に実施した。菅首相が消費税率引き上げの超党派協議と「10%を参考に」と初めて表明したのは、同17日のことである。
菅内閣が発足したのは同8日。第3回調査までのわずか1ヶ月間でこれだけ支持率が急落した内閣も珍しい。
これを第3回←第2回←第1回の順に比較してみると、この内閣の急変ぶりがよく分かる。
「選挙区選挙ではどの政党の候補者に投票しますか?」との質問に対しては、まず民主党が「22・6%」←26・6%←30・6%。自民党は「20・9%」←16・5%←15・7%で、第1回では民主党の半数近くしかなかった自民党の追い上げぶりが分かる。みんなの党は「7・4%」←4・1%←3・2%と二倍以上に膨らんだ。
▽政権交代への期待感消えず?
しかし「比例代表ではどの政党またはどの政党の候補者に投票するか?」の質問には民主「23・7%」←26・3%←29・4%で、減少傾向はそれほど急激ではない。自民は「17・3%」←15・8%←14・5%で、漸増傾向にある。これは菅内閣への失望や批判の割には、昨年9月の政権交代による民主党政権にまだ政権を担当させたい、との有権者の微妙な心理を示している。
このことは「この参院選で与党が過半数を割った場合、どのような対応が望ましいか?」との質問への回答にも反映している。「首相が交代する」は「4・8%」←3・6%←3・1%と最も少ない回答である。民主党が参院選で大敗を喫し、菅首相が窮地に陥っても「辞めろ」という有権者は極めて少ないのである。
▽政策協調が最多
多いのは「野党との政策協調を進める」で「36・0%」←30・6%←33・5%と一貫して政策ごとの与野党強調を支持している。菅首相はもし参院選で本当に負けた場合、この世論調査を根拠に政策ごとの協議または自民党との「大連立」を働きかけるものとみられる。
▽解散・総選挙論は後退傾向
その次に多い答えが「衆院を解散し、国民に信を問う」で「31・7%」←42・2%←40・3%。むしろ参院選が近づくにつれて解散―総選挙を望む回答が減っていることが注目される。
与党民主党が敗北しても、すぐに解散―総選挙で信を問うべしとの声がかえって減ってきたのである。有権者は相次ぐ選挙で政治が混乱することよりも、与野党の政策協議や妥協によって当面は切り抜けるべし、と考えているのかもしれない。
▽リーダーシップに期待、減る
「あなたは投票に当たって何を基準にするか?」との問いには「首相のリーダーシップ」が「9・9%」←12・0%←16・2%と次第に減っているのも興味深い。この数年間、国民は安倍晋三→福田康夫→麻生太郎→鳩山由紀夫と在任ほぼ1年前後で首相が交代していることにうんざりし、「リーダーシップそのもの」への期待を失いかけているのかもしれない。
多かった答えは「政権の政策実績」22・7%←22・9%←25・1%や「候補者、政党の信頼度」25・9%←27・7%←24・0%などである。
▽過半数割れ期待が急増
しかし、当面の参院選結果については、「与党が過半数を維持したほうがよい」が41・7%←54・3%←55・3%と急減し、「過半数を割ったほうがよい」はこれに反比例して46・7%←36・7%←35・4%と増加し、投票日が接近するにつれて菅内閣は見離されつつあるようだ。
政党支持についても民主党39・7%←44・9%←49・6%とわずか1ヶ月足らずの間に10ポイントも支持を失った。ただし自民党も勢いよく支持を増やしているわけではなく32・1%←29・4%←29・5%で、わずかに3ポイントしか増えていない。やはり支持を増やしたのはみんなの党で7・8%←2・9%←4・1%と倍増した。逆に与党の一角を占める国民新党は0・3%←0・4%←1・6%と低空飛行している。
最後に菅首相が争点化した消費税率の引き上げについて「自民党の10%を参考に超党派で検討するとの考えを示したことを評価するか?」との問いかけに対しては「評価する」が45・3%、「評価しない」が46・8%と真っ二つに割れた。(了)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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