小出先生とアイリーン・スミスさん、「原発事故と水俣病はたいへん似ている、何十年たっても救済されない…」
- 2012年 2月 9日
- 交流の広場
- アイリーン・未緒子・スミス原発事故小出裕章松元保昭水俣病
みなさまへ 松元
小出先生の「たね蒔きジャーナル」2月7日、8日分の転送です。
8日はグリーンアクション代表で、ユージン・スミスさんとともに水俣病の写真集で著名なアイリーン・未緒子(みおこ)・スミスさんが小出先生との話、そしてその後のお話がありましたので紹介させていただきます。
小出先生もアイリーン・スミスさんも、「海外メディアに較べて日本のメディアは、ただ政府の言っていることを垂れ流すだけ」「不思議な国だ」と語っています。
長年、水俣の被害者と歩んで来られたアイリーン・スミスさん、「被害と被害者に対する企業、政府の対処の仕方、原発と水俣がたいへんよく似ている」と警告しています。
●「小出裕章非公式まとめ」に生の声がアップされています。
http://hiroakikoide.wordpress.com/
=====2月7日のお話=====
永岡です、毎日放送ラジオ「たね蒔きジャーナル」、今日も毎日放送アナウンサーの水野晶子さんの司会、毎日新聞ほっと兵庫編集長の平野幸夫さんの案内で放送されました。
このところの野田内閣のごたごたで、時事川柳もにぎわっています(笑)。また、平野さんは、米軍が岩国と言うのは観測であり、アメリカは現実的な選択で、このままでは辺野古移設は無理としびれを切らし+財政難で、日本にはチャンス、普天間閉鎖にかじを取るべきで、日本政府は梯子を外されたとの指摘がありました。アメリカの発表は13日の予定が早くなり、日本の混乱で早めたとのことでした。
原発のニュース、原発事故で圧力容器の圧力が高まった時に、ベントのためのフィルターを付けることが決定し、沸騰水型には付いているものの、フィルター付きはなく、放射能を取って外部に出し、出る放射能を1/1000に出来るとのことです。これで再稼働したいのです。
放射能汚染の砕石が工事に使われていたこと、枝野氏、基準の見直しをして、問題の砕石は1000か所以上で使われ、100か所で放射能が出ており、この基準です。
そして、小出先生のお話、2号機の温度上昇について心配している人が多く、50℃→70℃になり、ホウ酸を入れたのです。ホウ酸を入れるのは、核分裂の連鎖反応を抑える=再臨界の疑いあり、なのです。ホウ酸を入れて再臨界を防ごうとしても温度は下がらず=再臨界ではない(多分)、のです。見ることも、測定器もなく、小出先生もニュースを聞いて推理をしており、小出先生が間違っている可能性もあるとのことです。
平野さん、電流の変化で温度を測ると誤差が20℃あると指摘され、100℃になるとアウト、冷温停止で安定にしたいが、圧力容器に水を張り炉心があっての話で、水を液体で冷やせる、圧力釜の底が抜けて炉心は下にあり、残った炉心が泥のようになりあちこちにへばりついて、圧力容器の温度を上げているのでは?であり、温度計は3つあり、ひとつの温度が上がり、その付近に泥となった炉心があると思われるのです。
東電は注水量を増やすと言うものの、「直接には期待できない」、水を増やすと泥の位置が変わり、温度は部分的なところを測り、他のところは不明で、温度を参考に見ているだけなのです。
誤差が20℃あるということで、もし90℃の可能性もあり、他で100℃を超えているところがあるかも知れない(これが困るが、どうしようもない、ロボットも入れない)のです。原子炉内の様子は何も分からないのです。内視鏡で、水の位置すら分からないのです。何年経っても見られない、それが原発事故であり、国の収束宣言は、外国から呆れられているのです。
今日は、温度上昇の続きをお知らせいたしました。
=====2月8日のお話=====
永岡です、毎日放送のたね蒔きジャーナル、今日も水野晶子さんの司会、毎日新聞専門編集委員の近藤勝重さんの案内で放送されました。辺野古に関して、近藤さんは、アメリカ政府が、日本政府が沖縄を説得する力はないと見ていると言われました。また、政府は消費税、TPPというものの、震度5のたびに国民はおびえているのであり、最もやらないといけないことから政府はずれているとの指摘がありました。
原発関係のニュース、定期検査で停止している大飯の再開、ストレステストは妥当と保安院は判断し、3,4号機について、IAEAの勧告も踏まえて妥当としたものの、市民は別室での傍聴で、抗議しているものの、市民は水素爆発への備え、格納容器の耐震性への批判がありました。政府は、地元の理解を得ないといけませんが、福井は微妙です。
そして、小出先生のお話、今日はグリーンアクションのアイリーン・スミスさんが来て、小出先生はアイリーンさんとお馴染みで、アイリーンさん、地震が心配で、福島での地震を心配しており、大きな地震で、4号機の使用済み燃料のことが聞きたい、地下水の汚染について聞きたいと言うことで、小出先生のお話、4号機のプールは宙ぶらりんで、東電は補強したものの、猛烈な被曝下であり、余震が来たら小出先生も東電も不安で、工程表で4号機の燃料を取り出したいのに出来ない(3~4年と東電は言うものの、これについては不明)、大きな余震が来ないように祈るしかないのです。
地下への汚染、日常的に漏れており、建屋の地下、トレンチが割れていないはずはなく、一刻も早くタンカーに移せと言ったのに、1年放置されているのです。
アイリーンさん、経産省の前で座り込みをされており、小出先生は政治に絶望と言われているのですが、原発問題への関わり方は、アイリーンさんが自分よりエライ、活動的と小出先生言われました。
アイリーンさん、小出先生は政治に絶望と言われても、行動は希望を持ってと言われていると指摘され、小出先生が活動的と言われました。
近藤さん、原発と何十年向き合ってきたお二人であり、3・11以前は認識できていなかったとの水野さんの指摘に、技術過信の時代に関して、多くの人が発言し、膨大な空白を過ごしていたと指摘され、原発誘致の自治体がハコモノを建ててもらい、地元の思いもあるものの、住民の命を担保にして金が流れ、東大の原子力村に金が流れている、金にまみれて実態があるのに、それが続いているこの国の在り様に、痛みを覚えず走る役所があるなら、国民を幸せにしてくれるとは到底思われないと言われました。近藤さん、絶望もせず、限界を感じつつ立ち上がると言われました。
3・11はアイリーンさん、アメリカにおられて、当時、海外は警告していた市民のインタビューを受けたのに、日本のメディアは接触がなく、警告してきた学者へのインタビューがなかったのです。外国は、日本を地震国と見て、ドイツは原発の延命を止め、しかし、事故の起こった国での選択は注目されているとのことです。
小出先生、海外の人の取材を受けて、「日本は不思議」と思っており、マスコミ、ジャーナリズムが政府の報道を垂れ流すのはなぜかと小出先生が聞かれて、答えられないのです。日本のマスコミ、ジャーナリズムの人に、考えてほしいのです。
今日は、アイリーンさんと小出先生の対話をお知らせいたしました。
=====アイリーン・未緒子(みおこ)・スミスさんのお話====
永岡です、たね蒔きジャーナル、続いて、水俣病の写真集で話題を呼び、脱原発運動にも関わられているグリーンアクションの代表、アイリーン・未緒子(みおこ)・スミスさんのお話がありました。スタジオに来られて、小出先生とのお話に続いて、水俣病と原発事故のことについて語られました。
ご主人のユージン・スミスさんと一緒に、水俣のことを発表されたアイリーンさん、水俣病と原発事故が似ていると言われて、その意味、被害が出た後の国のやり方であり、ユージンさんと一緒に行ったのは公式発表の15年後(72~74年)、今55年経っているのに、救済されていないのです。
水俣病って過去の話と思っている人は多いが、今年、来年が正念場であり、人々の救済がなされるか(1956年公式に認められた)なのです。何が原因か特定されるまで時間がかかり、水俣湾の魚に毒があることが分かっていたのに、対策をやらず、何万人も被害を受けたのです。
これは福島と同じで、水俣は原因が分からないのに、魚に問題があるのは分かっているのに、国が動かず、それは言い訳であり、水俣湾の毒が全て毒と言う証明がなく放置された。福島も、子供たちの住んでいる地域の7割は、原発なら子供が立ち入り禁止なのに、今まで1ミリシーベルトの被曝を、20ミリにしたこと、誰も責任を取っていない(安全委員会、文科省も認めていない)。これ以下は、自主避難しても補償がなく、被曝を減らすことが大事で、食べ物を安全にしないといけないのに、被害が大きいと見せたくないので、対策を取っていない、水俣と同じで、水俣はこれで被害が拡大した、福島も同じと思われるのです。
福島の事例、チェルノブイリより日本の基準がひどく、ソ連だと5ミリで避難であり、1~5ミリでの避難でも補償が出たのに、日本はしていない。旧ソ連より日本が進んでいると思われているのに、実態は日本が遅れているのです。
近藤さん、足尾銅山の田中正三の闘いと似ていると言われて、症状がないと認めないことから始まり、議員立法が出来たのが2004年の最高裁判決以降で、排水規制の責任が認められ、半世紀かかり、損害賠償を求めている人は、これで納得していない。最高裁判決でも、国は責任を認めていないのです。
アイリーンさん、福島の事故は、1年近く経って、10年後をどう見るか、30年後をどう見るかで、水俣は子供だった人が今50代で裁判を闘っている、福島も、30年後に裁判を行うことにアイリーンさんはなってほしくない、大人たちは何をやっていたかと言われないように、子供が放射能の影響を受けないように、とのことで、子供を守りたい、出たい人は出られるように、と言うことです。
近藤さん、菅政権が情報を隠匿しており、それをオープンにしたらかなり防げる。議事録がないと済ませられない、菅元総理を国会に呼んで、何を認識していたか、海外の新聞に応じるくらいなら、今オープンに出来る資料を公開せよ、10年20年後では遅いと言われました。
アイリーンさん、脱原発立ち戻ることにしたら日本はすごいと思われるものの、このままナアナア、ストレステストを通したが、福島の事故がどうなったか分からないのに、再稼働を認めるのは、若狭湾の原発銀座で問題であり、ナアナア+運転再開=もう一回の事故で日本破滅、なのです。
アメリカ人は事故なら80km離れろと言われており、若狭湾から80kmなら、事故の際に大阪も入るのです。
リスナーより、水俣病と原発事故は、棄民政策で同じという意見があり、棄民政策で経済繁栄、犠牲を出す国に未来はあるのかと質問があり、アイリーンさん、その通りで、それを変えないといけない、福島に住んでいる、汚染のひどいところに住んでいる人はみんな被害者で、政府は被害者同士が対立するように(父と母が大事に子供を育てても、父は大丈夫、母は危ないと喧嘩している、政府が上手く混乱するように、何を信じたらいいか分からないようにして、卑怯である)しており、これは水俣でもあった。自分が被害者になったら、一生懸命考える、かわいそうというのは失礼なのです。
公害企業で、そこで働いていたら会社が大事となるのですが、女性の、命が大事との感覚が大切と、近藤さん言われて、貧困も女性が多い、女性の言っていることを評価する社会が大事(政府、電力会社は男ばかり、コミュニティが大事と言うところは男女のバランスが取れている)のと指摘がありました。
近藤さん、男と女の考え方の違いについて、親子の情、母親が子供を抱きしめるのが大事と言われました。女性の出番、将来を守るとアイリーンさん締めくくられました。
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