「与党過半数失う―参院選、民主が改選第2党に転落」「自民が1人区で圧勝、改選第1党に」「菅首相、続投を表明―党内から反発の動き」
- 2010年 7月 12日
- 時代をみる
- 瀬戸栄一
(2007年7月12日3:51差し替え)
第22回参院選は11日、投開票され与党民主党は選挙区選挙での不振が響き、50議席ラインを割り、40議席台半ばの44議席にとどまる惨敗を喫した。自民党は特に定数1人区で善戦し、改選議席数で第一党の座を占めた。民主党は44議席にとどまった反面、自民党は逆に50議席台の51議席を確保した。定数1人区で自民21勝民主8敗(沖縄と香川を除く)と圧倒した。これは3年前の参院選での民主20勝9敗の裏返しの勝敗だ。最後の1議席は12日午前3時すぎ、社民党が獲得した。
菅直人首相はこの敗北結果の開票が終わらないうちに、早々と首相続投の意思を側近議員の口を通して表明した。このあと、12日未明に記者会見し、「消費税に触れたのはギリシャ問題を財務相在任中に国際会議で何度も聞かされたからだ」とし、超党派の議論を呼び掛けたと釈明した。自分の説明は不十分だったが、今回の参院選結果は「真摯に受け止めながら責任ある政権運営を進めたい」と続投を表明した。
枝野幸男幹事長は自らの進退には「開票中」を理由に明言しなかったが、菅首相は幹事長更迭を否定した。
改選第1党の勝利を勝ち取った自民党の谷垣禎一総裁は、解散―総選挙を要求しながらも政策次第では民主党との協議に応じる発言を、開票中のテレビ・インタビューで口にした。比例代表と東京、神奈川、千葉各選挙区での若手新人当選で躍進したみんなの党は江田幹事長が民主党との連立を強く否定する一方、政策ごとの話し合いの余地を残した。
菅直人首相の本音は自民党との「一部政策大連立」にあるとみられる。政権発足早々に消費税率引き上げについて超党派の協議を打ち出す一方、「自民党の10%を参考にさせて頂く」と何度も述べたのも、自民党に対する消費税での「大連立」を念頭に置いた奇襲作戦だったようだ。
だが、2007年末に当時の小沢一郎代表が自民党の福田康夫首相に働きかけたのは重要政策全般についての本格的大連立だったようだが、菅首相が就任早々、1ヶ月足らずで打ち出したのは消費税に絞った「部分的な」大連立だったようだ。
▽小沢氏の報復的行動も
その小沢氏の心境は当時とは全く異なっていた。民主党代表、同幹事長として2007年参院選、2009年衆院選での民主党圧勝―政権交代を主導した小沢氏は、最終的に検察当局から「嫌疑不十分―不起訴」処分を勝ち取ったにもかかわらず、「政治とカネ」問題を国会で説明しないことを理由に、6月2日、鳩山由紀夫前首相との「抱き合い心中」で辞任に追い込まれた。
小沢氏は、辞任当初は「一兵卒として行動する」としおらしかったが、菅首相が「脱小沢人事」を材料に支持率をV字型に回復させたうえ、「しばらく静かにしていてほしい」と刺激的な牽制発言をし、さらに消費税引き上げを争点にしたため、選挙戦中に厳しい首相批判発言を声高に繰り返した。9月に予定される民主党代表選を機会に「菅おろし」に出る可能性がある。
▽衆院解散は引き延ばす
これに対し菅首相は、自民党などとの協議―妥協―部分連合を模索する一方、あと3年ある衆院議員任期中は解散せず、政権を手放さず、自民党やみんなの党のなどの「疲労困憊」を狙うと見られる。だが、参院選の半数改選とはいえ、これだけの敗北を喫すると菅首相の側が先に疲弊する可能性がある。野党が結束すれば予算と条約承認案件はことごとく参院で否決され、廃案となるからだ。
さらに、戦いとなれば「何でもあり」の小沢氏側が自民党への働きかけなどで素早く動き、菅氏らを孤立させるかもしれない。小沢氏寄りの細野剛志幹事長代理は開票中のインタビューで、民主党の敗因に菅首相の消費税発言もあることを示唆した。
▽みんなが躍進、公明抜く
11日深夜の段階での各党獲得議席は次の通り。
民主党44(比例は16)▽自民51(比例12)▽公明9(比例6)▽共産3(比例3)▽社民2(比例2)▽国民新ゼロ▽みんな10(比例7)▽たちあがれ日本1(比例1)新党改革1(比例1)。(了)
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