連帯・共同ニュース 第61号
- 2010年 7月 13日
- 評論・紹介・意見
- 三上治参院選憲法日米同盟
参院選挙は終わったが普天間基地移設問題は出直だ
2010年7月12日
■いつもよりは苦渋に満ちた顔の菅首相の記者会見を見ていた。彼は参院選挙の敗因を「消費税を持ちだしたことが唐突だったという印象を与えたのではないか」と述べた。選挙直前に消費税増税問題を持ち出したことを敗因として認めている。彼が弁解がましく持ち上げていたのはギリシャ問題であった。ギリシャの財政赤字問題を他山の石とすべきだというのだ。こういう手法そのものが政治主義的である。ギリシャの財政赤字問題と日本の財政赤字問題は同じようにみえても大きな差異がある。現在のような管理通貨体制のもとではどこの国家も財政赤字を抱えるがその国の経済的力の基盤とどう関係しているかで意味は異なる。ギリシャの場合は経済力に見合わない過剰な国家財政であり、赤字で信用を失えば継続的な資金調達は不可能になるということだ。EU諸国などの財政支援を不可避とする。日本も膨大な財政赤字であるが、その意味する国債(国家の借金)が自国の経済力とのバランス(均衡)はまだ保たれているのであり、ギリシャのように危機になることはない。そこを無視した財政再建(消費税)議論は唐突すぎるし、思いつきの域をでない。丁寧な説明が不足していたというよりは、問題の理解そのものが不足していたのだ。これには普天間基地移設問題などを選挙の争点から隠そうとした焦りがあったのだ。
■普天間基地移設問題での旧政権の日米合意{辺野古新基地建設}に決断した理由に鳩山は朝鮮半島での緊張とアメリカ海兵隊の抑止力を挙げていた。鳩山が哨戒艇の沈没事件をめぐる朝鮮半島の緊張を持ち出してき時の唐突さと、菅がギリシャ問題を持ち出す唐突さは類似している。政治主義的な手法だ。これは簡単に通用しない時代であることを菅や民主党の面々は理解すべきである。参院選挙の重要な争点であるべき普天間基地移設―日米関係見直し問題は首相の交代劇で巧みに隠された。だが、8月末には辺野古新基地の場所や工法が決定される。これで一件落着か。そんなことはあるまい。ここから次のステージの戦いがはじまるだけのことではないのか。「日米同盟―抑止力」という曖昧な言葉がマスメディアでは踊り、挙句の果てに「仕方がない」という言葉が勝手に流されるのかも知れない。あきらめなさいというわけだ。僕らはこの問題はそれこそ、スタートラインにあると言いたい。僕らはこの問題の歴史的意味や展望、積み重ねてきた運動の反省に立ちながら次を準備していくしかない。8月末の日米合意に基づく辺野古新基地の場所や工法の決定を注視し、反撃を準備して行こう。
(文責 三上治)
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion061:100713〕
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