がれき受入決議へ警告:焼却の有毒性に関する2008年英国生態医学学会第4回報告
- 2012年 3月 29日
- 交流の広場
- 松元保昭焼却の有毒性英国生態医学学会
みなさまへ 松元
太田光征さんが、さとうさんという方からの英国生態医学学会第4回報告「廃棄物焼却炉の健康影響」の大要翻訳を転送していましたので、紹介させていただきます。
さとうさんは、大分県議会で明日予定されている「がれき焼却の決議」を思いとどまってもらいたく、医学的影響を理解していない県議たちへの抗議と学習を促す目的で翻訳され投稿されたようです。
※リンク先はまだ英文だけです。
=====以下、転送=====
2008年の英国生態医学学会の報告の抜粋訳を、お知らせします。
これは、焼却の有毒性について抗議する世界90数カ国で650にのぼる団体のネットワーク、
ガイア(GAIA :http://www.no-burn.org/article.php?list=type&type=65
<http://www.no-burn.org/article.php?list=type&type=65>
) から
送ってもらったPDF報告書の大要(ごく一部省略)です。
さとう
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https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=gmail&attid=0.1&thid=135e6d9687e1cc2e&mt=application/pdf&url=https://mail.google.com/mail/u/0/?ui%3D2%26ik%3D996dc1c9d9%26view%3Datt%26th%3D135e6d9687e1cc2e%26attid%3D0.1%26disp%3Dsafe%26realattid%3Df_gzglmx510%26zw&sig=AHIEtbSWj14luW-_DmuRkMcL9iaI66lZ7w
<https://docs.google.com/viewer?a=v&pid=gmail&attid=0.1&thid=135e6d9687e1cc2e&mt=application/pdf&url=https://mail.google.com/mail/u/0/?ui%3D2%26ik%3D996dc1c9d9%26view%3Datt%26th%3D135e6d9687e1cc2e%26attid%3D0.1%26disp%3Dsafe%26realattid%3Df_gzglmx510%26zw&sig=AHIEtbSWj14luW-_DmuRkMcL9iaI66lZ7w>
The Health Effects of Waste Incinerators
4^th Report of the British Society for Ecological Medicine
Second Edition June 2008
Moderators: Dr. Jeremy Thompson and Dr. Honor Anthony
■*廃棄物焼却炉の健康影響*
*英国生態医学学会 第4回報告 第2版 2008年6月*
モデレーター: ジェレミー・トンプソン博士 オナー・アンソニー博士
Executive Summary (大要)
[抜粋訳]
幾つかの大規模調査で、市町村の廃棄物焼却炉周辺での*成人・子どものガン、および出生児欠損の発生率の上昇*が見られる。その結果は、それらの結びつきに因果関係があることと一致する。いくつかより規模の小さい疫学調査はこの解釈を裏付け、かつ焼却炉が発生させる病気の範囲はさらにずっと広いかもしれないということを示している。
焼却炉からの排出ガスは、有毒金属および、発ガン物質・突然変異原・ホルモンかく乱物質を含む200より多い有機化学物質から成る、微細な煤塵の主要な発生源である。排出ガスはまた、*かつてダイオキシンに関してそうであったように、その潜在的有害性が現時点で分かっていない、他の未確認の化合物を含む。*廃棄物の性質が絶えず変化しているため、焼却炉からの排気ガスの化学的性質も、それゆえ*健康への悪影響の可能性も、絶えず変化*している。
現在の安全基準は、焼却炉のすぐ近辺における*急性の有害影響を回避することを目的*としており、それゆえ多くの汚染物質が*生物濃縮し、食物連鎖の中に入り、時間が立つにつれ、またずっと広範な地理的エリアにわたって、慢性の症状を引き起こし得るという事実を無視*している。
焼却炉は、当初の廃棄物の*30~50**%の量(圧縮される場合で)のボトムアッシュ(底灰)とフライアッシュ(飛灰)*を生み、埋立処分場までの*移送を必要*とする。今日の焼却炉における*低減装置はただ単に*、有害排気物とりわけダイオキシンと重金属のそれを、*浮遊状態から飛灰へと移すに過ぎない*。この飛灰は軽く、容易に風媒性となり、また大抵は粒子のサイズが低いものからなる。それはかなりの、そしてほとんど理解されていない健康被害を意味する。
米国における2つの大規模なコーホート(個体群追跡)研究は、他の諸要素を調整した後で、*微粒子(**PM2.5**)による大気汚染が総死亡率・心血管死亡率・肺ガン死亡率の上昇を引き起こすことを示した*。より最近の十分練られた、閉経後女性における疾病率・死亡率調査でこれが確認され、より高いレベルの微細粒子に暴露した女性たちにおいて*心血管性死亡**76%、脳血管性死亡83**%の上昇*が示された。
より高レベルの微粒子は最近、*ぜんそくと慢性閉塞性肺疾患のさらなる拡大*と関連づけられた。
焼却炉において*有害金属と有害有機物(発がん性があることが分かっているものを含む)の存在下で形成される微粒子は、それらの汚染物質を吸収し、血流と体細胞へと運び込む。*
*有害金属は体内で蓄積*し、子どもにおいては*自閉症や失読症、注意欠陥多動性障害(**ADHA**)、学習困難症および非行を含む幅広い情緒・行動上の諸問題*に、大人においては*暴力、痴呆、抑鬱、パーキンソン病を含む諸問題に、関連づけられている*。
化学物質への感受性は、遺伝上のおよび後天的な要素次第で様々に異なり、最大の影響は*胎児*に起こる。急性の暴露により敏感症となり、一生の間、低量化学物質敏感症になり得る人たちも一部いる。
*複数の化学物質の結合についての有毒性は、これまでほとんど検査されておらず、またたとえ*この検査が行われた場合でも、多数のケースにおいて、*相乗的な影響が実証*されている。この相乗性が、放出される公害物質の*有毒性を多大に増大させる恐れがあるが、この危険性はこれまで評価されていない。*
工業化に伴い*ガンとぜんそくはどちらとも容赦なく増*大しており、*発ガン率は有害廃棄物処理施設および化学工業の存在のどちらとも、地理的な相関関係*があることが示されており、我々の暴露を減少させる緊急の必要性を指摘している。
*英国では一部の焼却炉で、放射性粒子を生む放射性物質を燃やす*。吸引によりこの放射性物質が体に入ると、*その後アルファ線とベータ線を放出する可能性*がある。これらのタイプの放射線は体外では危険性が低いが、*体内では大変に破壊的*である。*これらの放射性ガスが持つ健康への危険性を評価する研究はこれまで行われていない。*
*ポリ芳香族炭化水素*のような一部の化学汚染物質および重金属は、遺伝子上の変化を引き起こすことが知られている。これは現在の世代のそれだけでなく、将来の世代へのリスクを意味する。
(*注:PAH 多環式方向族炭化水素
アントラセン、アズレン類、ベンズアントラセン、ベンゾシクロヘプテン、フルオレン、インデン、ナフタセン、ナフタレン、フェナレン、フェナントレン、ピレン、スパイロ化合物 )
焼却炉のモニターはこれまで、厳格さの不足、モニター回数の低さ、測定される化合物の数の少なさ、受容可能と見なされるレベル、生物学的モニタリングの不在から不十分であってきた。 これまで新規施設の承認は、*計測に使用される方法が公害物質レベルを正しく予測する確度がわずか**30**%*しかなく、*副次的粒子と化学的相互作用という重要な問題を無視*しているにも関わらず、安全性についての科学的測定とされているモデリングデータに基づいてきている。
今の*様々な低減処置が焼却炉からの排出ガスを安全にするとの主張が行われてきているが、この主張は確立することが事実不可能*であり、さらにたとえ確立されても、*標準的な稼働状況かで発生する放出ガスにのみ当てはまる*ものであろう。*より強い懸念の対象は、短時間のうちに大量の公害物質が放出される始動時と停止時を含む、非標準的な稼働状況*である。最も有害な放出ガスのうちの二つ―*微粒子と重金属*―は、比較的に、*除線への抵抗性がある。*
*新規の焼却炉設置の安全性は事前に確立することができず*、またもし*厳格な健康モニタリングが独立機関で行われるならば、今後数年以内で胎児と幼児への悪影響の疑いが高まるかもしれない*が、そのタイプのモニタリングはこれまで行われておらず、さらにたとえ行われても短期間の調査では、個別の焼却炉設置について統計的に有意な数値に達しないであろう。成人ガンのような他の影響は(結果が出るまで)少なくとも10年~20年かかる恐れがある。
それゆえ、この点においては*用心の原則を用いることが適切*であろう。…….(中略)…….
廃棄物焼却炉は現在、*国連人権委員会、特に欧州人権条約の生命への権利、またストックホルム条約および**1990**年の環境保護法によって明言された基本的人権に違反*する。*胎児、幼児、子どもが最も焼却炉からの排出ガスからの危険にさらされている*。それゆえ彼らの権利は無視され、侵害されており、それは公正な社会という概念と一致しない。さらにまたその概念と一致しないのが、焼却炉を恵まれない地域に設置する現在の政策である、なぜなら彼らは健康への影響が最悪となる立場にあるからだ。このことは緊急な再検討を要する。
第2版のため文献を再読して、我々のこれ以前の結論を確認した。最近の研究は、調査が行われている焼却炉からの基準外放出に加え、微粒子や粉塵に関する研究や、焼却炉のコストを含んでおり、*焼却炉の害毒は以前認識されていたよりも大きいということを実証*した。
焼却炉の健康リスクに関して集まっている証拠は大変強力なものであるため、無視できないものであり、今や、より良く、より安く、遙かに害のない廃棄物処分方法が利用できるので、*焼却炉の利用は正当化できない*。(*)
我々はそれゆえ、*これ以上の焼却炉は認可されるべきではないと結論する。*
(*この処分法とは、再利用、リサイクル、コンポスト、資源節約などを指す)
(訳:さとう)
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(以上、転送終わり)
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