瓦礫の実態!緊急情報!!
- 2012年 4月 4日
- 交流の広場
- 守田敏也放射能汚染瓦礫諸留能興
「明日に向けて」の守田敏也氏から
「明日に向けて(443)
岩手県における放射能汚染の実態
(がれき問題によせて)」
の重要な情報が送られてきています。
被災地の放射能で汚染した瓦礫の実態の深刻な報告です。
政府や自治体の汚染瓦礫に関する情報が、いかにデララメなものであるか、国民から真実を隠そうとするものであるか・・を、改めて再確認して下さい。
阪神淡路大震災の時のような震災瓦礫と、今回のような放射能で汚染した震災津波瓦礫を、混同させ、「一緒くた」にし、「瓦礫処理に反対する者は非国民だ!」と、公言して憚らない政府、自治体・・・
また、これらの無責任な政府や自治体情報を鵜呑みしているだけで、自分自身のアタマで何も考えようとせず、安心しただけの気持ちから政府や自治体の数値を安全値だから‥‥と盲信しているだけの、多数の国民、一般市民たちが、政府の瓦礫受け入れを押し進めようとしています。
しかし、それは、放射能汚染を更に全国的規模で拡大させることに、手を貸すことに他なりません。
放射能は原発から出たものである以上、その本来の所有者である東京電力に返却するのが本筋です。
事故発生後丸1年以上経過した現在でも、未だに誰一人責任も取らず、放射能の処理だけを全国的規模で、国民全員に押しつけようとしています。
高度の最先端の科学技術を備えている、原子力関係の専門施設である、原子力発電所や核燃料再処理施設においてでさえ、そこで生産され、蓄積され、環境中に拡散され続けている放射性物質(放射能)ですら、満足に処理できすに苦慮している実情だというのに、それら放射能対策など最初から全く備わっていないで設計、建設された全国自治体の一般のゴミ焼却場で、放射能に汚染した瓦礫を焼却し、さらに、その残った灰も、全国自治体内の土地に、埋めるなどというのは、言語道断です。
原子炉の放射能の後始末、「尻ぬぐい」を、日本全国、日本国民全体に拡大させることにほかなりません!
民間企業が発生させた公害物質(たとえば日本窒素会社水俣工場の有機水銀で汚染した工場廃液)を、全国自治体が受け入れ、貴方の住む地域に埋め立てるなどということは、今までの我が国でも、起こったことはありませんでした!
まさに、前代未聞の蛮行が、行われようとしています。有機水銀で汚染した工場廃液どころか、何万年、何億年も続く危険な放射能を、全国委拡大させることは、孫子の代まで、その危険を残す無責任なことです。
守田敏也氏も語っているように、
「がれき問題に関する資料をたくさん集めて解析中ですが、調べれば調べるほど、なんとも胸が痛くなる情報ばかりがでてきます」
以下の守田氏の調査報告を、じっくり読んで下さり、瓦礫処理受け入れが
以下に危険で、筋違いなことであるかを、一人でも多くの皆様にお伝え下さい。
—–以下、守田敏也氏の調査・報告——-
岩手県における放射能汚染の実態があります。
これは環境省の「広域処理情報サイト」の中の、「岩手県と宮城県の災害廃棄物の安全性について」というページを批判的に検討する中でいきついたものです。というのは環境省はこの中で、次のように述べています。
「広域処理のご協力をお願いする岩手県と宮城県の沿岸部の災害廃棄物は、処理の過程で健康に影響を及ぼさないという安全性が確認されたものだけが対象となっています。」
そしてその横に、東北沿岸部の諸都市と、関東・愛知・大阪の空間線量を表示し、「岩手県及び宮城県沿岸部の空間放射線量は高くありません」と表示してたったそれだけで、これらの地域の廃棄物が安全かのように粧っています。これについては以下のページからみれます。
http://kouikishori.env.go.jp/howto/
しかし、実際に焼却灰の調査から見ていくと、岩手県にも非常に大量の放射能が降ってしまった現実が浮かび上がってきます。焼却灰の調査は、各焼却場毎に行われているだけで、必ずしもどこに沿岸部のものが持ち込まれて焼却されているかは分かりにくいのですが、沿岸部がさまざまな被害を受けたことを考えると、内陸部の焼却場でもこれらが燃やされたことも考えられます。
各焼却場のデータは以下の資料を見ると分かります。
一般廃棄物焼却施設における焼却灰の放射性物質濃度の測定結果について
http://ftp.www.pref.iwate.jp/view.rbz?nd=4406&of=1&ik=1&pnp=50&pnp=2648&pnp=4406&cd=37948
特にこの中の9月14日発表の情報が重要なのですが、そこにあげられた各焼却施設のうち、三陸海岸にあるものをみていくと、まずもっとも北部の青森県境の近くにある「久慈地区ごみ焼却場」で、飛灰からセシウム134と137が合計で604ベクレル計測されています。主灰からは31ベクレルです。それぞれの1キログラムあたりの値で、以下も同じです。(6月30日)
ちなみに飛灰とは、飛び散り舞い上がった灰のことで、バクフィルターなどの集塵機で集められたもののこと。これに対して炉の底部に残ったものが主灰です。温度の問題等から、セシウムはおもに飛灰に集まる傾向があります。
さて続いて岩手県沿岸部の中部にある「宮古清掃センター」をみると、飛灰に同じく240ベクレル、主灰に31ベクレル計測されており、(7月21日)さらに南に下がり、釜石市にある「岩手沿岸南部クリーンセンター」をみると、飛灰で1128ベクレル、スラグで30ベクレルが出ています。(7月5日)
さらに南に下り、陸前高田市のすぐ北の大船渡市にある「太平洋セメント(株)大船渡工場」を見ると、飛灰に905ベクレル、主灰に194ベクレルが出ています。(7月5日)
三陸海岸の焼却場で、飛灰だけで240ベクレル(宮古)から、1128ベクレル(釜石)と非常にたくさんのセシウムが「がれき」に含まれていることが分かります。このことをみただけでも、空間線量で「安全」を粧う、環境省HPの発表の嘘が見えてきます。
ただよりショッキングなのは、内陸部の一関市周辺でとても高い値が出ていることです。一関市狐禅寺にある「一関清掃センター」では、7月22日に、飛灰からなんと30000ベクレルが計測されています。主灰にも1550ベクレルです。
同じく7月5日には、飛灰で26000ベクレル、主灰で1640ベクレル。8月24日には飛灰で14700ベクレル、主灰で1830ベクレルと、とんでもない数値の連続です。
また一関市の北方にある奥州市の「胆江地区衛生センター」でも、7月9日に飛灰で10100ベクレル、7月13日に10500ベクレルが計測されています。この数値は9月2日には5700ベクレルに下がっていますが、これらのことは、岩手県民に広く伝えられないままに、行われてきたのではないでしょうか。
この一関や奥州ののデータから、すでにこの焼却場の職員の方たちに、甚大な被曝が起こっていることが懸念されます。大変、深刻です。職員の方たちは、十分な被曝対策をしてきたでしょうか。ガラスバッチなどはつけていたでしょうか。つけてないと思います。
また一関の7月22日と8月24日の数値が倍もちがっていること、奥州でも7月9日と9月2日の数値がやはり倍もちがっていることをみるとき、焼却灰の放射能汚染に関するデータは、1日とっただけではまったく不十分なことも同時に見えてきます。ここに記載された以上のセシウムが出ていたことも十分考えられます。
いやそれだけではない。このように焼却灰から大量のセシウムが出てくるのはその地域が深刻に被曝していることの証左です。なのになんの目立った対策もされていない。被曝の話は福島県に集中してしまっている感が否めません。さらにその上に焼却場からの二次被曝が起こっている可能性が大です。
このように、岩手県の焼却場の灰に含まれる放射性物質のデータをみるならば、がれきが安全などころか、岩手県が深刻な被曝を受けていながら、政府や環境省がまったくそれらを放置してきていることこそが浮かび上がってきます。
人々を放射性物質の降下、食べものによる内部被曝、さらに焼却場からの被曝と、二重三重の被曝の中に晒しながら、「岩手・宮城を救うために廃棄物の広域処理を」と言い出しているのが政府なのです。
自分で人々を苦しめておきながら、その苦しみを軽減するのに協力せよと言っているわけです。こんなことを許せるわけが到底ありません。私たちは、がれき受け入れ拒否にとどまらず、岩手県・宮城県での放射線防護を徹底せよ、これ以上、東北の人々を被曝させるなという声をこそ上げていく必要があります。
がれき問題で見抜いていかねばならない重要な点です。
人々に被曝をおしつける政府に、東北の人々と手を携えて、立ち向かっていきましょう!
—以上守田敏也氏の文、オワリ——
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