テント日誌4/10日 経産前省テント広場―213日目 再稼働の動きに増す緊迫度
- 2012年 4月 12日
- 交流の広場
- 経産省前テント村住人
朝起きてテントから外をのぞくと白いものがチラリほろりと舞っている。さては雪かと錯覚してみんなに笑われた。経産省の構内の桜が散り始めて白い花弁がテントやテント前を埋めはじめているのだ。それにしたってあわただしい気分でゆっくり花見もできない。テントもテント前もどちらかというと平穏な光景の中にあるが、みんなの気持ちは緊張感があるのだ。稚拙で即席の再稼働の動きがそれぞれの気分に反映しているのだ。
テントにはいろいろの人が訪れる。これは何度も書かれていることだが、留学先から帰国中の女子学生が来ていろいろと質問をうける。僕とMさんやFさんに熱心にあれこれ聞いてくる。繰り返しになるのだけれど、テントの設置の経緯やその後の展開についてそれぞれの立場や観点から答える。熱心にメモをしながら質問をしてくる。今度はイスラエル出身の若い奥さんを連れたお母さん(姑さん)がやってきて同じような話をする。僕らが一方的に話すことになりがちだけれども、相手方から気づかされることもあり、対話になる時は楽しい。時間が取れての話は内省も含めてこちらに返ってくることも多い。テント広場の動きがDVDになったものがある。このDVDは個人で作られたものだが、今までの動きがよく分かる。テントを訪れた人は声をかけて欲しい。
今日も官邸前には人々が集まり、再稼働の動きに対する抗議行動がなされている。また、経産省前でも抗議行動が展開されている。ただ、再稼働だけを急ぐ政府の姿勢に危機感や怒りを持った人々が矢もたまらない思いで駆けつけてきている。話を聞くたびにそれを実感するが、国民の意志と政府の意志の食い違いということに意識はいたる。この食い違いは何だ、そこを解決する道はあるのかという自問を繰り返しやっている。4閣僚の会合や決定と言ったって背後に官僚(霞ヶ関)や大手企業の後押しがあり、実質はそちらに決定力があるのだろう。「生活が第一」ということは国民の生活や存在が第一ということであり、それを公約で選ばれた面々が背反する政治(意思決定)をやることへの疑念と怒りがふつふつと湧いてくる。我々はそれに異議申し立てをする意志表示しか手はないのか。自問が深まるだけ暗い気持ちになるが、どこかそれを超える道模索している。
再稼働の焦点である大飯原発3・4号機がある現地では原発に通ずる1本道(大飯町大島南浦)に三つの監視テントが建った。再稼働阻止の運動には大きな弾みになることだが5月5日まで続けられる。大阪の関西電力本社前では原子力学者の小林圭二さんがハンストに入った。再稼働を急ぐ政府に対して、大阪市や滋賀県、京都府の反発は強まり、大阪市では「再稼働のための8条件」を政府に突き付けている。近県の地域住民の再稼働反対の動きも高まっている。
大飯原発のある福井県や近県の地域住民の再稼働反対の声は日増しに高まるが、テント前ひろばはその連携を深めつつ、リレーハンストなどを引き継ぎながら、11日(水)日比谷公園での集会での「ハンスト宣言」、17日(火)正午からの記者会見と「集団ハンスト」への準備に入っている。何らかの形でハンストに加わる人、サポートの人、現在テントではメンバー登録している。是非参加を。テント前と経産省の周りでの「集団ハンスト」を中心にした大行動に加わって欲しい。
官邸前や経産省の抗議行動を終えた人、第二テントでのハンストト会議を終わった人などが集まりテントの中では例の通り議論が消灯時間まで続く。これは第一段階で、後には不寝番の人で議論が続く。このテントで初めて出会った人たちが多いのだが、運動が議論の上に成り立ってくれたらいいと思う。議論よりも沈黙が好きなのは日本人の性向であり、議論は上手くないのであるが、議論が運動の根本にあること、議論を経て理解し同意を得たりすることが重要であることは間違いない。議論の楽しみがテントの存在意義の一つでもあるのだろうな、と思った。 (M/O)
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