大飯原発再稼働の野田政権へ怒り爆発 -さようなら原発集会に17万人-
- 2012年 7月 17日
- 時代をみる
- 「さようなら原発」デモ岩垂 弘脱原発
1945年7月16日は、米国がニューメキシコ州のアラモゴード砂漠で世界最初の原爆実験に成功した日だ。それからちょうど67年後のこの日、東京の代々木公園で脱原発を目指す大規模な集会が行われた。「さようなら原発一千万人署名市民の会」主催の「さようなら原発10万人集会」である。全国から集まった参加者は17万人(主催者発表)にのぼり、主催者側のあいさつや、参加者が掲げるプラカード、のぼりなどでは、大飯原発を再稼働させた野田首相への抗議が目立った。
さようなら原発一千万人署名市民の会は、内橋克人(経済評論家)、大江健三郎(作家)、落合恵子(作家)、鎌田慧(ルポライター)、坂本龍一(音楽家)、澤地久枝(作家)、瀬戸内寂聴(作家)、辻井喬(詩人)、鶴見俊輔(評論家)の9氏の呼びかけでつくられた団体。市民の会は、1000万人署名を達成しようと、昨年9月19日には、東京・明治公園で「さようなら原発1000万人アクション」を開催し、6万人を集めた。
市民の会は今年6月15日までに751万人の署名を集め、うち645万人分を、この日、野田内閣に提出した。市民の会はこれを1000万人まで引き上げようと、「さようなら原発10万人集会」を計画した。
この日、関東地方は30度を越す猛暑。その中を、人々は早くから会場の代々木公園へ向かった。私がJR原宿駅に着いたのは正午だったが、駅を出ると、会場に通ずる道路はすでに会場に向かうおびただしい人々で埋まり、なかなか前へ進めない。20数分かかって会場の入り口にたどりついたが、メイン会場の第1ステージはもう満杯で入れず、第2ステージの近くで拡声器から流れる声に耳を傾けざるを得なかった。周辺の道路も人、人、人で埋まり、移動すらままならない。
参加者の数は、昨年9月の、明治公園における「さようなら原発1000万人アクション」をしのいだ。のぼり、旗、プラカード、横断幕などから類推して関東各県からの参加者が多かったが、北海道、福島、新潟、福井、大阪、滋賀、兵庫、岡山、島根、山口、沖縄からの参加もあった。
参加者の内訳だが、労組員、生協組合員、政党(共産党、社民党、新社会党)関係者、平和団体・護憲団体・女性団体などの関係者が目についたものの、圧倒的に多かったのは、いわゆるごく普通の老若男女だった。子どもを連れた家族もいた。昨年9月の「さようなら原発1000万人アクション」に比べて、一般市民色が一層強まったように思われた。
これらの参加者がそれぞれ掲げていた、のぼりやプラカード、ゼッケンに書かれた文字は実にさまざま。「脱原発」「反原発」「原発ゼロ」「原発NO」「原発なくせ」「原発いらない」「サヨナラ原発」「脱原発の一歩」…… といった具合だ。そこには、ゆうちょうな「脱原発」への願いでなく、その単純、簡潔な表現に、いますぐ「原発の稼働を止めてほしい」というせっぱ詰まった思いが込められているように思われた。
そのせいだろう。野田政権による大飯原発再稼働容認は認めがたいという空気が会場を覆っていた感じで、首相の顔写真に「野田はNOだ!」という文字をあしらったプラカードもあって、人目を引いた。
集会は午後0時55分から始まった。呼びかけ人の坂本龍一、内橋克人、大江健三郎、落合惠子、澤地久枝の各氏らがあいさつしたが、坂本氏は「こんなにも多くの人が脱原発のために集まり、感無量。音楽を通じてさらに脱原発のメッセージを発信します」と述べた。
内橋氏は「福島原発の事故が収束していないのに原発を再稼働を急ぐなんて許せない。政府は、大飯原発に続いて愛媛県の伊方原発、次いで北海道の泊原発を再稼働させようとしている。絶対に許してはいけない」と訴えた。
大江氏は「野田内閣の官房長官に750万人の署名を手渡した直後、野田首相は大飯原発を再稼働させた。私たちは政府に侮辱されたのだ。私たちは、原発の恐怖と侮辱の外で生きようではないか」と話した。
落合さんは「私たちにとって最も大切なものは命です。原発はその命を破壊する。私たちはひるまず、原発いらないと闘い続けなくてはいけない。野田首相は、私たちの声を『大きな音』と言っている。私たちの声で原発再稼働を挫折させましょう」と訴えた。
澤地さんは「私たちがやっていることは、未来のためです。核に脅かされて細々と生きる地球にはしたくない。子どもたちの未来のために頑張りましょう」述べた。
参加者は午後1時半から、原宿、渋谷、新宿までの3コースに分かれてデモ行進に移った。炎天下、各コースとも長い長い列が続いた。
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