沖縄基地使用にもう一つ波乱要素
- 2010年 8月 24日
- 時代をみる
- 海の大人
鳩山内閣に続いて、菅内閣も「抑止力」と謂う有り難いお札によって、「沖縄基地の過重負担、普天間飛行場の国外・県外移転」と謂う妄想を封じ込めてしまいましたが、なかなか事態は簡単ではありません。
アメリカで海兵隊の機能の本格的再定義が始まるのと、時を同じくして、財政再建・消費税増税構想を思いつきで打ち出して参議院選挙に敗北し、来年度予算の概算要求基準として「一律10パーセント減額」を各省に求めた、菅首相の意向が新しい波紋を沖縄でまた一つ産み落としました。
琉球新報8月20日(金)の1面トップは「防衛省軍用地料初の減額提示」、「土地連反発、契約拒否も」と云う事です。リード部分と記事本文の冒頭だけを引用しておきます。
【東京】防衛省は19日までに、2011年度の県内の軍用地賃借料を今年度比0.2パーセント(1億8千万円)減の約908億円とする案を沖縄県軍用地等地主会連合会(土地連、浜比嘉勇会長)に提示した。県内の軍用地料の減額提示は初めて。前年度比3.19パーセント増の増額を要求していた土地連は、減額提示に強く反発し、次回の12年を最後に契約更新しない方針を伝えた。
浜比嘉会長らは19日、参議院議員会館で北沢俊美防衛相と面談した。浜比嘉氏は土地連三役の意思として「これまで日本の安全保障のため積極的に協力してきたのに、減額提示は国との信頼関係を損なう。12年の契約更新を最後に更新は行わない」と明言し、12年からの20年契約が切れる32年を最後に軍用地契約を結ばない考えを伝えた。(引用ここまで)
沖縄に行ったり、新聞を見ていれば分かる事ですが、沖縄社会の中で、軍用地問題の占める割合は経済的にも極めて大きな物です。街角にも新聞にも「軍用地売買」の案内があふれています。沖縄県のGDPは3.7兆円(2006年)、県民総所得は3.9兆円。この差額は軍用地料と軍雇用者所得ですから、3万8200人の軍用地主一人当たり年間およそ200万円(県民所得204万円)にも達する金額です。(地主数、一人当たり軍用地料、県民所得のみ以下のMSN産経ニュースの記事から引用)
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/100525/biz1005252104049-n1.htm
平均が県民所得と匹敵すると謂うのですから、問題の大きさは想像出来ると思うのですが、ともかくもその地主が、22年後には契約しませんと言い出したわけです。差当たりは駆け引きの為である事は明白ですが、これから、毎年軍用地料が減額されていく可能性が大きい事は間違いありません。
過去には反戦地主会の地代受け取り拒否闘争もありました。そうした事態が再燃する事は恐らくあるでしょう。天の時、地の利、人の意地が合体した時、何事かが起きる、そうした要素の一つが加わった、と謂う記事として、ご紹介して置きます。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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