民主党代表選挙はこうなるのが一番いい形である
- 2010年 8月 26日
- 評論・紹介・意見
- 三上 治
今年の夏は酷暑と真夏のミステリーとでもいうべき高齢者の消息不明が後世に記憶されることになるのかも知れない。それに比して民主党代表選挙はどうだろうか。小沢一郎の立候補情報が伝えられ民主党代表選挙としてはもっともいい形になった。そうはいっても代表選挙をめぐる動きは外部の人間には何をめぐる対立なのかはっきりしない。鳩山と小沢のダブル辞任に首相の座についた菅であるが、「カネ」の問題を抱える小沢一郎を政権の周辺から遠ざけたことは誰もが知っていることである。しかし、これがマスメディアの流す情報に乗っかった選挙を前にした人気対策であったことは明らかであった。「政治とカネ」について明瞭な見識に基づいた対応でなかったことは明瞭である。勘ぐれば「カネ」の問題で小沢や鳩山を追い込んだ検察やアメリカに取り込まれた結果であると言えなくはない。
政治的題目を与えられれば素晴らしいスピーカーぶりを発揮するのが菅首相であるが、自分で政治的題目を提起できる力はない。つまり、自分で政治的構想を創出しやり抜く力はない。この間の菅首相の動きはそれを示したし、その意味では僕は小沢一郎にまだしも期待がある。大きな枠組みで言えば、戦後の日米関係を見直し変えて行くことに着手する政治家を必要としており、菅首相では無理であると言えるのだ。小沢一郎には未知数なところもふくめて期待できるところがある。この根本的な政治的役割からすれば「カネ」、しかも過去の政治資金の収得のことなどはたいしたことではない。政党政治とカネ、特に野党のカネの問題を詳しく論じてもいいが、その点からもさしたることではない。
アメリカも諸矛盾の中で政治的・経済的危機の中にあるが、アメリカを目標とし模倣してきた日本社会は「失われた20年」というべき状態の中にある。中国などのアジア諸国や新興国の経済発展(経済成長)に救われ息をつないでいる。戦後の日米関係を見直し、日本は政治的にも、経済的にもその模倣から脱することが要請されている。大きなデザインでこれを構想し、日本の舵を切り替えていく必要がある。これは中国との関係を見直すことにもなるだろうが、ここへ踏み出す政治家を日本は要求されているのであり、小沢がその任を果たせるかどうかは明瞭ではないが、菅よりは可能性があるのではないのか。この場合の中心的役割を担うのは沖縄ではないか。唐突に聞こえるかも知れないがアジア諸国と日本の明治以降の関係を超えて行く要をなすのは沖縄だからだ。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion102:100826〕
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