自民党総裁選をめぐる過剰報道に物申す
- 2012年 9月 27日
- 時代をみる
- 池田龍夫
民主・自民両党の党首選挙をめぐる狂騒、領土問題に関する日・中・韓3国の対立が連日マスコミ報道を賑わしている。福島原発事故やヨーロッパ経済危機、そして中東の相次ぐ事件報道などが軽視されているように思われる。
特に党首選挙に対するマスコミ報道の過剰さに、些か辟易した。民主党は野田佳彦氏が圧倒的支持で再選を果たしたが、自民党5候補のツバ競り合いを新聞やテレビが連日大々的に報じたのは異常だ。自民党総裁は9月26日午後、決戦投票で安倍晋三氏に決まったが、その間のマスコミ報道は煽り過ぎではなかったか。日本記者クラブ主催による5候補の公開討論会は認めるが、その後マスコミ各社が競うように同様の討論を企画し、大幅に紙幅を割き、長時間放映していたことに違和感を覚えた。そもそも自民党総裁選には、国会議員と党員・党友の一部しか関与できず、一般有権者にはもちろん投票権がないからだ。
同工異曲の会見記事を繰り返し報道し続けたのは、余りにも安易ではなかったか。特に保守的体質の各候補の主張が気になって仕方なかった。憲法改正と集団的自衛権を声高に叫ぶ姿を、マスコミが過剰報道した点が気がかりである。ポピュリズム政党「日本維新の会」台頭と相まって〝保守色〟が鮮明になってきた時代状況が心配だ。果たしてマスコミの過剰報道に問題はなかったか。各社はどう考えて報道したのか、問いたいと思う。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye2054:120927〕
「ちきゅう座」に掲載された記事を転載される場合は、「ちきゅう座」からの転載であること、および著者名を必ず明記して下さい。