テント日誌10/10日 経産前省テント広場―396日目…季節も政治も温度の変わる時
- 2012年 10月 11日
- 交流の広場
- 経産前省テントひろば
日中は温かい日も多いがやはり夜になると結構寒い。週末には多摩川に出掛け、少し遅れ気味だと伝えられる彼岸花を楽しんできた。むかし、田舎の畦道などに咲いていた彼岸花の強烈な印象が記憶にあるせいか、街中でも見かけるものは不満だったのだが、群生しているものはそれらしい雰囲気があって満足だった。彼岸花は秋を代表する花だろうが、それを感じさせてくれるのはやはり嬉しいものだ。その秋だがどうも今年は短くて冬の訪れが一気にやってくるらしい。それを空気その変わり方に実感している。波だ寒い気温《空気》にそれを感じているが、もう一つ気になるのは政治的空気の変化である。
尖閣諸島の問題は中国側の態度も含めて日中感の政治的・経済的対立を長引かせそうだ。中国の知識人の声明が新聞等に出ていたがナショナリズム一色の感の中でホットする記事だった。この問題での日本と中国の民衆の連帯の道(武力による紛争解決ではない道)の可能性と基盤を暗示させるものと思える。だが、私たちはこの尖閣問題が日本の政治的空気を変えていることを知らなければならない。対中国というナショナリズム的な空気がそれなりに浸透しているのである。自民党総裁選での安倍の再登場の契機になり、メディアが恥ずかしげもなく扇動的記事を垂れ流しているのも一例だが、ここには尖閣諸島問題が生み出した政治的空気の変化がある。石原慎太郎などはここまで想像してはいなかったろうが、尖閣諸島問題の結果しているものをよくよくみておかなければならない。これとの闘いがおきな政治的闘いの枠組みをなしている。
3・11以降に大きな政治的空気となった脱原発の意識に対抗する空気の流れであり、それが今の日本の政治的な闘いとなっている。国会や永田町周辺は選挙をめぐる政局のことで頭が一杯だろうが、彼らを取り包んで政治的空気の変化がある。何処まで意識していたかはともかく、尖閣諸島問題は原発の生み出した国民的な政治意識に対抗しようとし、ある程度成功しているのである。幸いなことは脱原発や普天間基地移設要求(オスプレイ問題を含む)の運動はこれらを媒介した国民の政治的空気も持続しており、ナショナリズム的な政治的空気と対抗し得ていることだ。その点では福島や沖縄などの抵抗、また毎週金曜日に首相官邸から全国に広がっている脱原発等の展開は尖閣諸島問題が生み出しつつある政治的空気を再度変え、解体させることができる。私たちは歴史の流れの本流がこちらにあることを自覚しつつ闘いを持続せねばならない。背後の政治的空気を意識した闘いが必要なのだ。11月11日の国会や霞が関包囲行動は国民的な政治的空気を変える重要な位置を持っているのであり、歴史的な位置を持つものといえよう。今一度、3・11以降を振り返りまた先を展望しながらこの行動に参加したいと思う。
週の初めは比較的穏やかな時間が流れるのがテント周辺である。朝方に寝たのだがテントの中にも太鼓の音が聞こえる。夢かうつつかとおもいながら、そのここちよいリズムに身体を合わせていたのだが、先月から断食を続けるFさんを支援する日本山妙法寺の尼さんの打つものだった。今度はしばらくその横に座っていたが、荻窪の若い女性がテントを訪ねてきて歓談する。熊本から上京された人、富山からやってきた人と次々とテントを訪ねてくる。富山では11月23日に講演会等をやるらしいがそのチラシをもらった。全国の様々の動きが伝えられるが、それをまた発信できるといいのかもしれない。大間原発の中止を訴える小笠原厚子さんたちが経産省への申し込みにやってくる。院内集会も開かれていた。相変わらず雑誌社などの取材も続き、テントは穏やかだがいろいろのことがそこには流れている。 (M/O)
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