「集団的自衛権行使」容認の動きを警戒
- 2012年 11月 13日
- 時代をみる
- 池田龍夫
安倍晋三氏の自民党総裁返り咲き、橋下徹大阪市長率いる「日本維新の会」の台頭、さらに石原慎太郎東京都知事の新党宣言によって、ますます右旋回していく時代状況が心配だ。特に、3氏が申し合わせたように「集団的自衛権の行使」容認の姿勢を示したことが気になる。そして安倍、橋下両氏は「現行憲法」改正を声高に叫び、石原氏の「現行憲法廃棄」の暴論には驚ろかされた。
米高官が「日本の政治家はウヨクばかりか」と心配
日経11月10日付朝刊は「(日本の政治家は)ウヨクばかりなのか。ワシントンを最近訪れる日本人は、米政府関係者から安倍自民党総裁の人脈について聞かれることが多い。『安倍首相』は東アジアの安保環境にどんな影響を与えるのか、オバマ政権は重大な関心を抱いている」と報じた。米政府も日本の右傾化を危惧しているのだろう。
自衛隊が米軍の日本防衛以外の作戦に直接協力できない理由として、従来日本政府は「憲法9条は国際紛争解決の手段としての武力による威嚇または武力行使を禁じており、自国の防衛以外に武力行使はできない」と説明してきた。安倍氏を含む歴代自民党政権も、この解釈を渋々踏襲してきた。米国側には「憲法を改正し集団的自衛を認めるべきだ」とする声もあり、国内でも呼応する人が少なくない。
そもそも集団的自衛権は同盟国が攻撃されるか、同盟国でなくとも自国の安全保障上不可欠な国の求めに応じて共同軍事行動を取ることだ。例えばグアムやハワイが攻撃され、自衛隊が米軍を支援するなら集団的自衛権の行使と言えようが、米国が本国の自衛でもなく、国連安全保障理事会の決議もなしに行ったイラク攻撃やユーゴ爆撃に日本が参加するのは集団的自衛の行使とは言えない。また憲法9条と同趣旨の威嚇と武力行使の禁止は、国連憲章・対日平和条約・日米安保条約にも規定されており、憲法を変えてもどうにもならないと考える。
石原氏の「平和憲法廃棄」の暴論は許せない
ましてや、石原氏の戦前回帰を思わせる「平和憲法廃棄」論など、とんでもない話。田中秀征氏は毎日新聞11月5日付夕刊で「現行憲法に廃棄なんて言葉は誤解を招く。憲法廃棄の法的手続きはないのだ。歴史的に憲法廃棄は、革命やクーデターしか起こっていない。そういう刺激的な物言いで、不安を抱く人はかなりいるだろう」と指摘していたが、石原暴言を許すことはできない。
「公務員の憲法尊重義務」(第99条)の重み
この際、現行憲法第99条で「天皇、国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員に憲法尊重義務が課されている」ことを 野田佳彦首相ら国会議員は心に刻み、不穏な時代状況を排除してもらいたい。
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