相次ぐ米兵の不祥事、日米政府の鈍い対応
- 2012年 11月 29日
- 時代をみる
- 池田龍夫
米軍普天間飛行場から海兵隊員1人が脱走していたことが明らかになった。深夜外出禁止令に背く事件が立て続けに起きた事態に輪をかけて、隊員の規律保持に対する県民の疑念は深まるばかりだ。
情報連絡が遅すぎる
今回の脱走認定は11月9日だったが、在日米軍から外務省に連絡が入ったのは1週間後の16日。同省から関係都道府県、さらに関係関係市町村に伝わるまで12日も要した。内容も「米兵1人の脱走を米軍が9日に認定した」というだけで、名前や年齢、性別はおろか、脱走した日が9日かどうかも「よく分からない」(外務省筋)のが実情。これでは脱走米兵は高飛びしているに違いなく、米軍はもとより日本政府の対応の遅さに呆れる。
地位協定改定に本腰を入れよ
琉球新報11月25日付社説は「米軍は日頃から『良き隣人』を掲げ、事件が起きるたびに『綱紀粛正』を強調するが、米軍の情報公開や連絡体制には誠実さや真摯な姿勢が欠けていると言わざるを得ない。深夜外禁止令も掛け声に過ぎず、米軍の統率力は機能せず、軍紀が乱れている。米軍の『綱紀粛正』など、沖縄では誰も信じない。本気で信頼回復を望むなら、地位協定の抜本的改定か、米軍が沖縄から出ていくしかないと、日米両政府は肝に銘ずべきだ」と主張していた。
米海軍は、厳しい夜間外出禁止令を出したが…
米海軍横須賀基地でも11月23日、漫画喫茶店で酔った米海軍兵が全裸で徘徊する不祥事が発生。このため同基地内の全兵士を対象に「午後10時~翌朝8時の夜間外出禁止令」を出した。先に在日米軍が通達した「午後11時~翌朝5時」より厳しい縛りで、米海軍佐世保基地でも同様の禁止令が出たそうだが、米兵の順法精神が果たして蘇るだろうか。とにかく「治外法権」的な地位協定をいいことに、勝手放題の傲慢さを許すことはできない。
「沖縄独立問題」もシンポジウムで論議
法政大学沖縄文化研究所(屋嘉宗彦所長)が主催する本土復帰40周年記念シンポジウムが25日、同大学で開かれたことを沖縄県紙で知った。元沖縄大学学長の新崎盛暉氏、元県知事の大田昌秀、稲嶺恵一両氏がそれぞれ講演し、本土復帰の意味と基地問題などについて議論が交わされた。米軍普天間飛行場返還、オスプレイ配備など基地問題や経済問題に対応するためには日本への同化ではなく、沖縄の自己決定権が必要として独立論も提起され、「すぐに実現するとは思わないが(独立の)理念を持って行動しなければ、自己決定権は確保できない」との主張に〝沖縄県民の苦悩〟を感じた。
大田氏は復帰後も米軍基地が集中する現状の根幹が琉球処分まで遡ると主張。当時の日本政府について「沖縄を日本の同一民族として迎え入れようとしたのではなく、軍隊を置くための土地を欲したと指摘されている。土地接収が沖縄戦後の米軍による強制接収につながった」と指摘したという。
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