エコの国のエゴ
- 2013年 1月 15日
- 交流の広場
- とら猫イーチ
エネルギーの問題は、先入観を排して、全てを等身大にして科学的に検討すべきでしょう。 私は、自然エネルギー(再生エネルギー)を完全に否定している訳ではありません。 ただ、原発に代替が可能とは思っていません。 風力にしても、太陽光にしても其々に相応しい使い道があると思っているだけです。
風が無ければ、種子を運べず、太陽光が無ければ、全世界の農業が不可能になり、人間は、大自然の恵みを口にすることが出来ません。 そもそも、生存が不可能になることでしょう。 風も、太陽も、地球の生態系の中で重要な役割を果たして来ました。 人間の都合で、生態系を乱してまで、それらの利用をすることは、必ず、大自然からの報復を受けるであろうと思うまでです。 日本でも、風力発電の陰で、風車に依る公害が生じています。 自然エネルギーのプラス・マイナス面も聖域無く考究する必要があるのではないでしょうか。
特に、エコ大国のドイツの実態を正確に観ることが必要でしょう。 私は、長年、環境関連の職場に居ましたので、廃棄物関連では、ドイツに見習うべき多くの面があることを知りつつも、暗部もあることに気づいています。
ここでは、あるブログ主が、正確にドイツの自然エネルギー導入に伴う暗部を指摘されておられる事実を御紹介します。 それは、「『ドイツを見習え』派の人たち」に対して、自己中心的なドイツの環境政策の実態を明らかにされたものです。
まず、欧州の電力輸出入の構図からですが、「ヨーロッパの国々は、国境を超えて送電網が張り巡らされており、水が高い所から低い所へと流れるように、電力は多い所から少ない所へと自動的に流れる仕組みになっています。ドイツを例にとると、ドイツ国内で電力が不足気味になると、周辺国で余裕のある所から電力が流れ込み、逆に電力が余ると、周辺国に溢れ出すわけです。」
そして、「再生可能エネルギーの割合が高いドイツでは、発電量の振幅が大きく、調整能力も限られています。需要を上回る電力を作れば事故になりますが、ドイツの場合余剰電力は周辺国に溢れ出します。結果として周辺国は、ドイツから押し売りされた不要な電力を処理するために、余計なコストをかけてこまめに発電量を調整するなど、電力の最終調整を強いられているのです。」
http://meinesache.seesaa.net/article/309497257.html
電力輸出国ドイツの実態 Meine Sache 2012/12/24
同ブログ中の引用記事は、「ポーランドがドイツの風力電力を拒絶」という、フランクフルター・アルゲマイネ紙の記事です。ドイツの電力輸出に対し、ポーランドやチェコが送電を停止するようドイツ側に求めているというのです。
この記事に対するコメントに、「われらの崇高なるエコ電力をいらんとは、ポーランド人とチェコ人はけしからんな。わざわざ深夜にプレゼントしているというのに…。」と云うのがありますが、エコの国の「エゴ」を云い得て妙です。
Polen wehrt deutschen Windstrom ab
大ドイツ帝国の東欧諸国への「差別」ではないのか、との声が挙るのにも理由があるでしょう。
http://agora-web.jp/archives/1497640.html
海外の論調から「ドイツの風力発電による負荷で、東欧諸国が停電の危機」-米通信社報道 アゴラ編集部
「経済的に弱く、新参者である東欧諸国に、エネルギー面では負担を押し付ける傲慢な態度を示していた。 ドイツの自然エネルギー礼賛、そして脱原発は自己中心的な側面を持ち、決して美しいものではない。」
この問題では、NHKが、(珍しくも)衡平な観点からドイツの自然エネルギー政策の問題点を報道していましたので、御参考に。
http://www.nhk.or.jp/worldwave/marugoto/2012/08/0821.html
揺れるドイツの自然エネルギー政策 NHK特集 2012/8/21
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