ピンチの日本原電、電力各社が1200億円の救済資金
- 2013年 2月 28日
- 時代をみる
- 池田龍夫
電力会社の体質は、「3・11大惨事」以降も一向に改まっていない。原発を持つ9電力会社と日本原子力発電は、互いに支えあって〝原発王国〟を形成。情報を公開しないばかりか、虚偽報告までして〝企業防衛〟に走る姿は相変わらずである。
敦賀原発など3基再稼働のメド立たず
今度は、原発を専業とする日本原電の行き詰まりが表面化した。同社が保有している敦賀原発1~2号機と東海第2原発の3基を再稼働させるメドが立たないなかで、4月に返済期日を迎える借入金の借り換えが困難になったためという。
日本原電は1957年に電力各社の出資でつくられ、東京電力など5電力に電気を売る商売。このピンチを救うため、日本原電から電気を買ってきた東京・関西・中部・北陸・東北などの電力会社が1200億円もの資金繰りをする計画だ。
内輪の資金繰りは、筋違い
朝日新聞2月22日付朝刊は、「原発事故を起こして実質国有化された東電を除く4電力会社が1040億円分の債務保証し、返せなくなった時には返済を肩代わりする約束だ。電力各社は相次いで電気料金値上げを決めており、業界内の支援にカネを使うのは利用者の反発を招く」と指摘していたが、電力会社のもたれ合いの構図に愕然とさせられた。
地域独占に安住していたツケ
朝日は2月25日付社説でも取り上げ、「休止中の日本原電の原発3基は、敷地内で活断層の存在が指摘されており、運転期間の寿命とされる40年を過ぎたものもある。今後も稼働は困難と考えるべきで、事実上の清算処理を視野に入れざるを得ない。厄介なのは、使用済み核燃料の保管だ。本来は事業者が廃炉に必要な費用を積み立てておくのがルールだが、原電は十分な積立金を確保していない。地域独占に安住し、もたれ合いのなかで原発依存を進めてきたツケが回った形だが、一つのほころびが連鎖反応を呼びかねない。今後の原発政策全体をにらんで、原電の抜本処理を進めることが不可欠だ。だれが、どのように負担していくべきか。廃炉の技術や人材の確保を含めて、『原発の後始末』に早く着手しなければならない」と、厳しく迫っていたが、まさに正論である。
安倍晋三政権は、支離滅裂な原子力政策を何時まで続ける積りなのか。欧米諸国は、それぞれに「脱原発の年次目標」を掲げ、太陽光・風力・潮力・地熱発電などの研究・開発を急ピッチで進めている。日本政府の取り組みは、余りにも生ぬるい。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
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