「外相に前原氏、国交相に馬渕澄夫氏、経済財政相に海江田万里氏―菅改造内閣が正式発足」「世論重視、脱小沢色を貫く」
- 2010年 9月 17日
- 時代をみる
- 瀬戸栄一
菅直人首相は17日、岡田克也氏の幹事長起用を正式に決める一方、後任の外相に前原誠司氏を、国土交通相の後任に馬渕澄夫氏を起用するなどの内閣改造人事を正式に決めた。同日午後、留任した仙石由人官房長官が閣僚名簿を発表した。14日まで党内を二分する代表選で火花を散らした相手の小沢一郎元幹事長については、盟友の輿石東参院議員会長とともに挙党態勢のための処遇を図る意向もあったと見られ、両者を代表代行に起用するとのうわさもあったが、菅首相は小沢氏らの処遇には一言も触れなかった。
内閣改造に当たっても「小沢寄り」に位置していたのは経済財政担当相に起用した海江田万里氏と経済産業相の大畠章宏氏の二人だけである。菅首相はこの新体制で9月の国連総会出席、10月の臨時国会、11月のオバマ米大統領訪日、12月の2011年度予算案と税制改正案決定を乗り切り、来年1月召集の通常国会に臨む。しかし、自民、公明、みんなの党など野党側がねじれ国会の中で菅民主党政権に協力する気配もメドもいまのところ見当たらず、そのうえに代表選で200人の国会議員票を集めた小沢グループの出方も不気味だ。菅首相は一連の改造人事で示された一般世論の支持を頼りに難局を乗り切る腹構えである。
▽親小沢はわずかに2人
17日午後、仙石官房長官が発表した菅改造内閣の顔触れは次の通りである。
総理―菅直人(63)▽総務―片山善博(民間・59)▽法務―柳田稔(参院・55)▽外務―前原誠司(48)▽財務―野田佳彦(留任・53)▽文部科学―高木義明(64)▽厚生労働―細川律夫(67)▽農林水産―鹿野道彦(68)▽経済産業―大畠章宏(62)▽環境―松本龍(59)▽防衛―北沢俊美(留任・72)▽官房―仙石由人(留任・64)▽消費者・少子化・国家公安―岡崎トミ子(参院・66)▽金融・郵政改革―自見庄三郎(参院・留任・国民新・64)▽経済財政―海江田万里(61)▽国土交通―馬渕澄夫(50)▽国家戦略―玄葉光一郎(留任・党政調会長・46)▽行政刷新・公務員改革―蓮舫(参院・留任・42)。
これに先立ち同日午前、臨時の両院議員総会が開かれ、岡田克也氏を幹事長に正式決定した。これまでの幹事長、枝野幸男氏を幹事長代理とすることも決めた。岡田新幹事長の希望によるものだ。さらに、政調会長の玄葉光一郎の留任も決定した。
▽馬渕氏起用でもたつく
改造でややもたついたのは、外相を務めていた岡田氏が留任を希望したこと、後任外相の前原氏が引き続き国交相の任務にこだわったこと、さらに国交相後任の馬渕氏に対し党内から「当選回数が少なすぎる」との疑問が出たことなどだ。
さらに小沢一郎、輿石東両氏に対し、菅首相が本気で代表代行就任を持ちかけたのかどうかもはっきりしていない。単なるリップサービスに過ぎなかったとの見方も出ている。(了)
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