尖閣諸島沖の中国船不法事件について
- 2010年 9月 24日
- 交流の広場
尖閣諸島沖の中国漁船(?)による不法行為に端を発した事件では、中国政府は、同諸島は自国領土であり、我が国の海上保安庁巡視船が不法に漁船(?)を拿捕したとの主張を行っている。 彼らの論理からは、近年の経済発展と軍備拡張を基礎にした大国意識と一党独裁制による独善的国家意識が表出し、日中が、対等互恵の関係により友好的に国際社会の一員として親善を深めようとする意思が伺えず残念である。
そもそも、中国周辺の諸国は、同国の独善的領土若しくは利権の拡張政策によりチベットのように侵略を受けたり、北朝鮮のように属国になるかをしない限り、絶えず緊張を強いられる事態になっているのが現状である。つまり、彼らは、遠友近攻を旨とした政策を採っているかのようである。 自国の利権の拡張には、自国が政治理念としている「社会主義」も「共産党」も何等の関係も持たず、ベトナムへも侵攻した過去を有する。 インドのように、軍によって中国の不法侵攻を排除することを厭わない限りは、彼らの主張は段階的にエスカレートし、遂には属国に与される事態を迎えることとなろう。
問題は、我が国政府の対応である。 今のところ日本の国内法に照らし処断するとの正論が主流であるが、民主党内の親中国派や一部の中国に媚びる識者の動向や、対して、闇雲に中国を敵視する政党政派によって、政府の対応が右顧左眄することがないであろうか。 普天間のような失態は絶対に許されないのである。 揺るぎの無い対応が政府には求められるのである。 それと言うのも、尖閣諸島での事件を巡る対応は、周囲を海に囲まれた我が国にとっては、竹島での対韓国や千島諸島での対露関係に共通した基本に関わる国家の自尊自立が問われるからである。 アメリカ頼みのような対米従属国家丸出しの情けない姿を晒しては、中国以外の他国にも足元を観られることとなろう。 民主党政府も、この際に、腹を括って、自国の国民と領土と主権は、国民自らが守る以外には無い事実を訴える必要がありはしないのか。
欧州北部に親日的な小国で知られるフィンランドがあるが、この人口僅か数百万の小国が、数度に亘って超大国ソ連と、絶対絶命の祖国防衛戦を行った事実を我が国の国民は余り知らない。 「冬戦争」と「継続戦争」と呼称される戦争がそれである。 私は、最近、日本では公開されていない「継続戦争」でのフィンランドの命運を賭けた決戦を描いた「Tali-Ihantala 1944」を観る機会があったのであるが、略事実に沿った映像の展開に、手垢に塗れた表現ではあるが、「鬼神も泣く」思いを抱いたのである。 この小国に、何故、そんな強大な意思と力があったのであろうか。 それに引き換え、アメリカ頼みの我が国の現状は、なんと情けないことであるのか、と、暫し考え込んでしまったものである。
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