テント日誌5月23日経産省前テントひろば621日目~「明け渡し請求訴訟」裁判口頭弁論開かれる 400名が結集し地裁周辺をデモ
- 2013年 5月 27日
- 交流の広場
- 経産省前テントひろば
街ではまだ幾分か早いのであるが紫陽花が目につくようになってきた。紫陽花は僕の好きな花だがこの季節も好きである。なにげなしに目をやる草花もいいものだし、散歩の最中に自然にそれらにこころも寄せられて行く。自然の生き生きした姿に魅せられることは僕が老いてきた証拠かもしれないが、それでもいいじゃないかと自分に言い聞かせながらそれを楽しんでいる。テントの周辺にも人知れず咲いている草花は結構あってそれをめでるのは愉しい。こういう光景が当たり前であり、そんなことなど意識もしないところまで習慣化され、身体化されてあった人々がある日、それを奪われたらどうなのか、そんな思いを繰り返しながらテントに足を運んできたのだが、テントの「明け渡し請求訴訟」の第一回口頭弁論を迎えての僕の思いはいつもと変わらない。
テント前では16日から22日まで裁判に抗議するハンストが展開されてきたのだが、参加者、あるいはこれに呼応して出来る場所でハンストをなされた方々も同じ思いであったと思える。福島第一原発の事故は未だ収束はしていないし、東電の賠償等は遅遅として進んでいない。原発行政の母体であった経産省が原発事故の提示した問題に積極的に動き、働いたとは見えない。聞えてくるのは脱原発の動きに対する抵抗や巻き返しであり、原発再稼働の準備である。とりわけ安倍政権になってからそれは顕著である。経産省はこれまで原発行政の実質的な推進機関であり、膨大な既得権益を築いてきた。それ故に、福島第一原発事故に深い危機感を持ち、その既得権益を守るために再稼働→原発保持の戦略を想定しそのための動きをやってきた。経産省は国民の意思を政策として実現する機関であり、こうした特定の既得権益の代弁者として振舞うことは許されないはずである。彼ら自身が既得権益者になっていることもまた。今まではこうしたことは国民の目から隠されてきたし、それに気がついたにしてもそこに異議申し立てをする方法もみえなかった。
経産省前テントは国民の意思を声として結集し、経産省に抗議する場となった。彼らの動向を監視し、国民の原発の意向を訴える機能を果たしてきた。経産省側にとっては邪魔な存在であっても、彼らが国民の意思に基づく機関である以上はこれを聞くべきであり、その声で自分たち行動を反省し、転換させていくべきものである。テントひろばが管理上は経産省の土地《国有地》であるにしても。それを原発問題の意思を現わす面々が使用しても認めるべきものである。そうであっても何の不都合もないのである。
彼らがこの場所の「明け渡し請求訴訟」を起こしたことはとんでもないことだ。1)に経産省側は原発の今後について国民の意思に反する考え《再稼働→原発保持》を持っていること。2)に脱原発―反原発の声や意思を排除し、圧殺する考えのあること。3)法は彼らの行為を制限し、縛るものであって国民の意思や声を排除するものでないこと。従って今回の訴訟は職権の乱用にあたること。憲法が権力者を縛るものであることはよく知られているが、法もまたそうなのだ。今回の訴訟は所有権をめぐってであるが、国家がその所有権を乱用することを縛るものであり、その行為に慎重になるべきことがその法的規定にはある。この土地の占有権について国家はそれをみだりに振りまわしてはならないのであり、特に今回のケースはそういえるのである。経産省や国側には法は統治のための手段のように考えているのかもしれないが、彼らの権限をみだりに振りまわすことを許さないものとしてあり、今回はそれに該当する。
これから続く裁判の中でこうしたことは明らかにされていくだろうが、この裁判の行方を決するものは原発に対する国民の意思や声であり、それが経産省や国の不当な行為を明らかにしていくことにおいてある。権力や国家機関にあるものはお上であり、国民の意思を支配できるものである、それに従うのが国民の義務というような歴史的に連綿と続いてきたしきたりを壊すことが今、僕らに要請されている。自由や民主主義を自分たちのものにすることであり、原発問題が突き付けている課題だ。これは時に裁判というから形で現れているのであり、持久戦的な脱原発―反原発運動の中で焦点として出てきていることである。持久戦的な闘いに集中点をもたらし、また持久戦そのものに持続力を与えるものでなければならない。
この週末から週はじめには大きな二つの集会が設定されている。一つは6月2日(日)の反原発国会大包囲行動である。16時~19時国会議事堂周辺で展開される。(これに先立ち、芝公園23号地で「6・2つながろうフクシマ!さよなら原発集会」さよなら原発1000万人アクション主催)、明治公園で「原発ゼロをめざす中央集会」原発をなくす全国連絡会」がある。どちらも14時からでデモが終わり次第国会包囲行動の合流する)。もう一つは6月3日(月)「脱原発テント裁判を考える講演会」18時30分明大リバティーホール。《300名先着》。さらに今週は5月31日(金)13時30分から日比谷野外音楽堂で福島原発告訴団の「福島の叫びを聞いてください」がある。週末から週はじめの行動に参加し、選挙で浮足立つ動きに脱原発の声を届けよう。これは裁判の今後に深く関係すると思う。《裁判の傍聴記などは別の形で公表される予定》 (M/O)
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