米中首脳会談後の日米電話首脳会談は何だったのか
- 2013年 6月 19日
- 時代をみる
- ピースフィロソフィ―日米関係
6月12日(日本では13日)日米首脳電話会談が持たれ、ホワイトハウスは以下の公式発表を出したが、日本の方は官邸のHPに何の報告も記録も見つからない。外務省のサイトにもない。日本にとっては都合の悪い内容だったのではないか。13日午前、菅官房長官は記者会見で内容について聞かれ「先般の米中首脳会議についてだろう」と言い、なぜこのタイミングかと聞かれ「同盟国である日本への配慮じゃないかな」と言っている。午後の記者会見でも内容には立ち入らないと言い、「同盟国への配慮」と繰り返した。要するに何の中身のある報告もしていないのである。謎だ。ホワイトハウスの発表とその翻訳(ブログ運営者による)を以下に紹介する。
http://www.whitehouse.gov/the-press-office/2013/06/12/readout-presidents-call-japanese-prime-minister-shinzo-abe
For Immediate Release
June 12, 2013
Readout of the President’s Call with Japanese Prime Minister Shinzo Abe
The President spoke to Japanese Prime Minister Shinzo Abe today to discuss regional security and economic issues. They pledged to continue to work together closely toward the elimination of North Korea’s nuclear and ballistic missile programs. The leaders discussed the President’s recent meetings with President Xi Jinping of China, and agreed on the importance of ensuring stability and pursuing dialogue as it relates to the East China Sea. The President stressed that the United States looks forward to being able to welcome Japan to the Trans-Pacific Partnership (TPP) negotiations as early as possible once current TPP members complete their domestic requirements. Finally, the two leaders expressed the shared desire to work together closely at the up-coming G8 Summit in Northern Ireland.
大統領と日本の安倍晋三首相との電話会談
今日、大統領は安倍晋三首相に電話して地域安全保障と経済問題について話し合った。大統領と首相は、北朝鮮の核と弾道ミサイル計画を廃止させるために引き続き緊密な協力をすると約束した。また、大統領と中国の習近平国家主席との首脳会談についても話し、東シナ海に関連し、安定を確保することと対話を求めていくことの大切さについて同意した。大統領は環太平洋パートナーシップ(TPP)交渉に、現時点でのTPP加盟国が自国における諸条件を満たした上で、なるべく早く日本に加わってもらうことを期待するということを強調した。最後に、両国首脳は、北アイルランドでもうすぐ開催予定のG8サミットにおいて緊密に連携していく共通の意思を表明した。
米国での報道はほとんどこのホワイトハウス発表に沿うものだ。日本での報道は、安倍氏が「米中首脳会談に日本の立場を踏まえて対応したことに謝意」を表したなどと言っているが、それは安倍氏が勝手にそう言っているだけで、オバマが、「日本の立場を踏まえて」米中会談に臨んだということを示唆する情報はない。14日には、米中首脳会談でオバマが中国の対日姿勢を批判し、「米国の同盟国である日本が中国から脅迫されることをわれわれは絶対に受け入れない」とオバマが言った、と「複数の日米関係筋」から「判明した」などと大変怪しい記事が出ている。このような記事は日本でしか出ていないようだし、真偽の確認のし様もない。産経は、電話会談を「日米同盟関係の強化を確認した」とカッコ付きで流しているが、これは産経が自らの希望的解釈を自分で引用しているのであって誤解を招くものであり、とても「報道」とは呼べない。
そして、2月の日米首脳会談のときもそうだったが、オバマの日本についての関心は「同盟」などよりも、もっぱらTPPにあることは、今回の電話会談でもオバマが「強調した」と報告されているのが唯一TPPの件であることからも、再確認できる。
どうも最近、「日米同盟」について言っているのは日本側ばかりのような印象を受ける。
初出:「ピースフィロソフィ―」2013.6.15より許可を得て転載
http://peacephilosophy.blogspot.jp/2013/06/blog-post_15.html
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔eye2293:130619〕
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