「切り札はないのか」を考える
- 2013年 6月 27日
- 交流の広場
- とら猫イーチ
半澤健市氏の「切り札はないのか ―2013年6月の都議選結果を考える―」を拝読しまして、「切り札はないのか。目標を96条改正反対の一点に絞る。」との御結語には、こうお答えするしか無いのかも知れません。 「切り札」はあるのですが、都議選を例に採れば、真正面に捉えて切り返した政党政派は共産党だけでしょうし、その重点の意味を理解していない政党政派は破れるでしょう、と。
例えば、参院選に関して、志位共産党委員長は、「経済の問題では、私たちは大企業の内部留保を活用して、国民の所得を増やし、不景気から脱出するという抜本的対案を、アベノミクスに対置して、大いにたたかっていきたい。」とされますが、都議選結果に依り政策論争では、この問題に勝てなくては勝利が無いことを悟られたのでしょう。当然ですが、自公は、自身の支持される唯一の理由を良く理解して、マスコミぐるみで、その主張を展開しつつあり、参院選でも衆院選と同じキャンペーンを張って来るでしょう。
従って、反アベノミクスを如何に浸透させるか、また、その批判票を如何に組織出来るかに勝利の鍵があることと思われます。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik13/2013-06-25/2013062502_02_1.html
東京都議選の結果、参議院選挙について 志位委員長の記者会見(一問一答)
しんぶん赤旗 2013年6月25日
http://www.asahi.com/senkyo/articles/TKY201306230289.html
反アベノミクス票、民主から共産へ 都議選出口調査 朝日新聞デジタル版2013年6月24日
その他の政治的諸問題は、自公にとっては、勝利した暁の課題程度にしか比重が無いものと思えます。 例えで悪いのですが、合気道の投げ技には、表と裏の技があり、正面から撃ちこんで来る相手に正面から極める技と、半身から体を転回させて相手の側方に入り極める技とがありますが、自公は、この裏技で勝ちに来ることでしょう。 こうした相手には、自身も同じ技で返すのが有効です。 裏技に返すに裏技で以てする、これで正面から闘うのです。
即ち、「アベノ」何とかを正面から批判し、その矛盾に替えて、正当な経済・金融政策を示しつつ、国民の福利を増進しつつ財政再建の道筋をつける政策を説くことしか勝利する手立てはありません。 私は、以前から、ちきゅう座への投稿で、現政権の経済・金融政策の危険性と誤謬を指摘して来ましたが、未だ、憲法改正や歴史認識等々の諸政治課題に比して、比重が軽すぎる認識しか御持ちで無い方々には呆れるしかありません。 自公は、原発問題では、身をかわし、憲法改正問題では、抽象的に、民族意識を擽りつつも具体的には言明せず、経済・金融政策で、円安から何から何でも己が実績と呼ばわりつつ「アベノ」何とかの一大宣伝を繰り広げることで選挙戦に勝利する算段でしょう。 また、現在の状況なら勝利することになるでしょう。 敵の最大の武器を封じることが出来なければ負けるのは必然です。
選挙戦に勝利出来る方法が其処に存在するのに、敢えて、価値観が乱れる諸々の政治的諸問題を持ちだす政治のプロは居ないでしょう。 自公には、政治宣伝の専門家が居ます。 小難しい政治論議は避けて、経済が良くなり、所得が増えれば、良い世の中になることは間違いが無いでしょう。 左翼の狂った者どもが政権を取れば、前の何も決められない政権のようになっちゃうよ、そうでしょう、其処の御父さん、とか云われれば、一票を投じる人達が多くなります。 残念ですが。
米コロンビア大学政治学教授のジェラルド・カーティス氏に依れば、現在の「安倍首相の支持率が高いのは、国民が首相は素晴らしいと考えているからではなく、状況が改善すると信じたがっているためだ。このアベノミクスが実際、うまくいくことをただただ祈っている。ここ20年以上に及ぶ景気低迷から抜け出したいという願望のために、国民はうまくいくように願っているということだ」とされますので、一種の新興宗教の流行に似た状況であるのでしょう。 尤も、氏は、参院選後に、国民は夢から醒めることになるだろうと予測されますが。
私は、「真の選択肢に欠けることから、安定している可能性がある」と氏が表現される政権に国政を託している今の日本を如何に考えれば良いのでしょうか。 ただただ嘆息のみ、、。
安倍首相の第3の矢、参院選後に国民は失望へ=コロンビア大教授
The Wall Street Journal 2013年6月10日
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