現代史研究会へのいざない
- 2013年 7月 10日
- 交流の広場
- 武田明
◆1989年以降、「社会主義の敗北と自由主義の勝利」ということが声高に喧伝されてきました。しかし、その一方で先進資本主義諸国の現状は「勝利」とは 裏腹にますます深刻な様相を呈しています。◆ほとんど再建の見込みすらたたない巨額の財政赤字を抱えつつ、政治・経済・社会秩序全般にわたって混迷と閉塞 の状況に陥っているのが現実です。いわば「崩壊の顕在化一歩前」の状態といえるでしょう。◆もちろん、問題は先進資本主義諸国内部にのみとどまりません。 南北問題の深刻化、大量の経済流民、地球環境問題など、世界的な規模での憂慮すべき問題が数多くあることは周知の事実です。しかも、今日のような「情報化 の時代」にあっては世界は愈々狭く身近になり、どの課題もけっして「他人事」として済ましてしまうわけにはいかなくなっています。つまり、世界との有機的 な連関のなかで、従来の「国民国家」そのものの在り方が根本的に問い直される時代が到来したと言いうるのではないでしょうか。◆故・廣松渉はこのような事 情を透見し踏まえたうえで、皮相な時流に流されることのない「批判精神」の涵養と「人間の顔をした社会主義(コムニスムス)の再生可能性」の検討とを目的 とした研究会の必要性を提唱しました。◆われわれの研究会はこの廣松の提起を直接受けとめ、廣松をもメンバーのひとりとして出発しました。だからといっ て、参加メンバーの全員が同じ考えであるはずもありませんし、また同じ考えを強要される必要も感じておりません。◆先の問題提起におおよそで共感できる者 たちが自由に参加し、できるだけお金をかけず、自由な討論を保証しつつ、講師もふくめてお互いに学びあうということを第一義とした研究会にしたいと考えて います。◆資格など特に必要ありませんが、研究会を特定の利益のために勝手に利用するようなことは峻拒いたします。◆研究会は原則として毎月一回おこな い、会場費、通信費、資料(コピー)代として毎回500円を徴収しています。◆熱い志操をともにする多くの方々のご参加を期待いたします。
1997.Apr 現代史研究会 事務局
現代史研究会の歩み
1991年 001 廣松渉 社会主義再生
002 石塚良次 労働標章について
003 小林昌人 若いマルクスと青年ヘーゲル派
004 竹村喜一郎 ヘーゲル、ブランキ、マルクス
005 丹波勝 バイオテクノロジーの諸問題
006 住沢博紀 ドイツ社会運動――赤と緑
007 白石忠雄 日本の労働運動の現状と展望
008 金栄鎬 韓国の労働運動
009 佐久間邦夫 ロシアの現状と展望
1992年
010 湯川順男 ロシア問題の歴史的背景
011 水谷驍 ポーランドの現状
012 鳴瀬成洋 世界経済の再編成
013 星野智 ウォーラスティンと世界システム
014 長原豊 ポランニーとマルクス
015 伊藤誠 社会主義経済再生の可能性
016 黒沢惟昭 生涯教育の意義と問題
017 田中史郎 現代日本社会の構造分析
018 栗木安延 企業ファシズム論
019 降旗節男 現代資本主義の行方
020 青木孝平+浅見克彦/石塚良次 マルクスの所有論とポスト・マルクスの所有論
021 小林昌人 若きマルクスの思想形成
1993年
022 半田正樹 情報資本主義論
023 滝口清栄 ヘーゲル法哲学の世界
024 山本耕一 対自然関係と人間的関係
025 吉田憲夫 マルクスの将来社会像
026 高橋順一 ハーバーマスとフランクフルト学派
027 青木孝平+浅見克彦 所有論をめぐるマルクスとポスト・マルクス
028 間宮陽介 貨幣と社会
029 石塚省二 ルカーチとハーバーマス
031 渡部富哉 ゾルゲ事件と伊藤律
1994年
032 塩川喜信 農業から見える世界
033 小松美彦 脳死と臓器移植問題
034 佐藤卓己 マルクスからヒットラーまでのメディア史
035 山端伸英 メキシコの現状報告
036 長谷川宏 ヘーゲルの歴史意識
037 福岡安則 在日朝鮮・韓国人問題について
038 高崎通浩 世界の民族問題
039 日山紀彦 自由論の検証
040 加藤哲郎 過労死社会の政治経済学
041 直江清隆+勝守真 認識と役割・実践
042 浅見克彦+石塚良次+大庭健+大黒弘慈 価値形態論と物象化論
043 丹野清秋 新農本主義と地域の自立
1995年
044 忽那敬三+山本耕一 廣松役割理論の問題構制
045 熊野純彦+直江清隆 廣松実践哲学の諸問題
046 小林昌人+滝口清栄+高橋順一 マルクスを読み返す
047 岩田昌征/石塚正英+湯川順男 東欧社会主義の崩壊と社会主義の将来
048 山本耕一/西原和久+直江清隆 共同主観性・役割論・構造変動論を考える
049 石塚正英/柴田隆行 マルクス思想の将来的展望
050 西原和久/日山紀彦+桜井洋 社会理論の戦後
051 水谷驍 ポーランド連帯と社会的自治の戦略
052 村上俊介+山井敏章 ドイツ統一後の諸問題
053 片桐薫 グラムシと現代思想
054 吉田憲夫/石塚良次+浅見克彦 『資本論』と廣松物象化論
1996年
055 植木妙美子 男女平等の諸問題
056 太田昌国 新しい社会運動の可能性
057 樋口篤三 戦後労働運動の50年
058 柴田隆行 ヘーゲルの自由論
059 内田弘/吉田憲夫+石塚良次 マルクス「価値形態論」を再考する
060 木下武男 日本的労使関係と労働運動
061 栗原一嘉 光とは何か?
062 大庭健 言語論的転回をめぐって
063 池田祥子 女・男の自他意識
064 竹永進 1920年代、ルービンをめぐるソ連・価値論争
065 三島憲一/長谷川宏+竹村喜一郎+日山紀彦 『戦後ドイツ』を読む
066 合庭惇 情報社会とポストモダニティ
1997年
067 大野和興 経済成長と農業問題
068 上野豪志 拘禁反応再考
069中山元/澤野雅樹 フーコーが最後に辿りついたところ≪青弓社との共催による緊急座談会≫
三島憲一+長谷川宏+竹村喜一郎+日山紀彦+高橋順一
070 今村仁司 アルチュセールの思想的格闘
071 岩崎稔 記憶とテロルと忘却のテロル
古い資料を持っていましたので、再掲載します。
この続きをご存じの方は、是非、お教えください。
日々是革命ブログ
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