傲慢と愚鈍
- 2013年 7月 25日
- 評論・紹介・意見
- 大野 和美戦争歴史
猪瀬都知事の傲慢で愚かな発言などは吹き飛んでしまうとんでもない考えが日本を代表?する人物からしょっちゅう発せられている。侵略の定義は歴史家に委ねるとかゆう言辞だ。問われているのは言葉の定義ではない。実際に日本帝国主義によって侵略されたと訴える国々の主張にどう応えるのかという問題に対してである。日本の侵略を訴える諸国は、全くの事実無根を並べ立てているわけではない。40年以上に及ぶ植民地としての支配を被ったり、15年にわたる軍事的侵攻を受けた事実に基づいている。さらに、その事実は日本と交戦した連合軍諸国全てが認めている。カイロ宣言とそれを受けたポツダム宣言は、第二次大戦だけでなく、それ以前の戦争その他の力で獲得した領土・権益の返還を定めている。日本はそれを受諾し、それに基づく「戦争犯罪の裁判」(東京裁判)を受け、戦争犯罪人の確定、処刑を受け入れている。この事実は何もこれからの歴史研究に依る必要のないすでに60年ほど以前に確定し、日本も受け入れた事実である。
これを事実上否定する発言は確かにレジームチェンジではあるが、第二次大戦後の世界システムへの叛旗になる。それだけの判断と覚悟の上での発言か?むしろそのような歴史否定には全く気づかず、自己の「信念」だけで語っているのであろう。それが意味し、世界にどのように受け止められ、日本がいかに貶められるかを予知しえない、大いなる恐るべき愚鈍を感じざるを得ない。さらに、このように明白な戦後レジームへの反対をなんら取り上げないマスコミはまるで独裁政治の下に身を竦めているようだ。言ってみれば、日本国民全体が傲慢と愚鈍に堕ちている。まるで、第二次大戦前夜の日本国民みたいに…。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.net/
〔opinion1380:130725〕
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