傲慢と愚鈍 2
- 2013年 8月 21日
- 評論・紹介・意見
- 大野 和美靖国神社参拝問題
このテーマだと材料がいくらでも転がっていてきりがない。現役閣僚・国会議員の靖国参拝とその理由づけもその一つ。そもそも、靖国神社そのものがうさんくさい存在で、天神様のような由来がない。明治維新政府が「官軍」として死んだ兵士を祀るために設置されたものだ。時の権力が自分たちのために命を落としたものへの祭祀だ。もちろん、会津藩の侍は祀られていない。以後、兵士として戦に果てた者のみが祀られ、交戦相手の攻撃で死んでも、軍人でなければ祀られることはない。明確な国家神道だ。国家神道が近代思想から否定され、靖国神社は民間神社になったはずだ。そこに祀られた兵士たちの意向は問われることなく…
特定宗教施設に勝手に祀られた兵士たちが気の毒でならない。「国家のために命を捧げた多くの御霊への尊崇の念」があるなら、政治家として参拝出来ない宗教施設から別途の鎮魂の施設を作るべきなのだ。それをほったらかして、あるいは邪魔までして特定の宗教施設に御霊をおいたままにしておくのは、政教分離の考えを無視した傲慢・独善を世界に晒しているわけだ。
それはちょうど中国に攻め込み、それを咎める米英等と戦争を始めた傲慢・独善に通じる。
さらに奇妙なことに、230万人を超える多数の日本人兵士だけでなく、アジアを中心にその10倍以上の人々を死に追いやった戦争犯罪人があたかも日本国のために自らの命を捧げた功労者であるかのように祀られている。きてれつな由来・内実のこの神社からしても筋が通らない戦争犯罪者に「尊崇の念」をもって頭を垂れるのはいかなる考えに依るのか?国内問題だから外国からの批判はあたらない、などとのたもう閣僚もいる。
こうした言動の一切がっさいは、日本の戦争で死なねばならなかった人々への冒涜であることに全く気がついていない。僕には、満州国建国は侵略ではないと国際連盟を脱退し、満州傀儡に反発する中国に対し暴支よう懲を呼号して中国に侵攻していった日本人と重なる。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion1421:130821〕
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