傲慢と愚鈍3
- 2013年 9月 4日
- 評論・紹介・意見
- 大野 和美
日本国の元総理大臣で現在は財務大臣を務める有数の政治家麻生氏の講演?が先月初めに問題になった。文章化されたものを読む限りでは、話の趣旨が必ずしも明瞭ではなく、全体を理解するのは困難だ。細切れにした個々の文章は明瞭だが、無知と傲慢に溢れている。アニメなどに詳しく?若者に人気の人物とメディアでは伝えられているようだが、ここ80年ほどの歴史については全くの無知のようだ。
靖国神社の参拝も、「お国のために命を投げ出してくれた人に対して、敬意と感謝の念を払わない方がおかしい」とのたもうておられる。しかし、その中には「お国のために命を投げ出」すよう命じた連中も含まれる。この連中は国民を外国で戦を行うために送りだし
、外国人を多く殺傷するべく命じたのである。そのような罪を強制されながら命を失った人々が含まれている。数多の国民を外国人殺傷に駆り出し、数え切れないほどの外国人の生活を崩壊させた人物たちは、連合
国の主催する極東(東京)裁判で重大な戦争犯罪人と
して判決を受け、刑を執行されている。日本はこの裁判を受け入れ、多くの連合諸国と講和条約を結んだ。日本人は連合諸国の多くへ、戦争を行ったという重大な犯罪を認めたわけだ。この歴史的事実は日本人として決して忘れるべきではない。その歴史的犯罪者が祀られ、日本人の参拝の対象となっているのだ。日本国を代表する立場の人物たちがこの戦争犯罪者をも参拝するのは異常で、無礼であろう。日本の侵略の重圧を深く長く受けていた中国・韓国の人々がこのように無責任で厚顔無恥な態度・発言へ憤るのは当然であろう。
こうした態度・考えの延長線上にナチス発言があるのだろう。ナチスがドイツで権力を握ってしまう経緯について全く無知な麻生氏がなぜ憲法改正に関してわざわざナチスの手法をまねろなどという傲慢で愚鈍な発言をしたのか!?麻生氏はじめ安倍政権は、二度の民主的な選挙を経て、ナチス同様強力な権力を握ったと自覚しているのであろう。その強固な権力を駆使して有無を言わさず憲法を改正してしまえ、と言うことであろう。われわれ自由民主党は丁寧な議論をとことん尽くして改正案を作成している。それは、第三者・他者があれこれ口を挟む余地はない。このまま憲法改正に向かって粛々と進んでゆくべきだと言う意味であろう。
現状は、麻生氏が「誤解された」として撤回し、総理大臣はじめ他の閣僚も了解し、自由民主党からも異論は出ていない。また、メディアももはや取り上げることはない。我々も誤解する方の責任となって罪を被されたまま。靖国神社参拝とナチスとの同化という非常にグロテスクな日本人像が地球の上に置き去りにされたまま。
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座 http://www.chikyuza.ne/
〔opinion1440:130904〕
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