「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に関する私の意見
- 2013年 9月 16日
- 交流の広場
- 「特定秘密の保護に関する法律案田中一郎
「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に関する意見として,下記をパブコメに対
応して提出いたしました。
(参考)「特定秘密の保護に関する法律案の概要」に対する意見募集について
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=060130903
&Mode=0
(既にメールでお知らせ済みですが,下記に関係する新聞記事を再度添付しておきま
す)
● 秘密保全法案の「闇」(2013年8月17日付東京新聞)
http://blog.livedoor.jp/shootque/archives/51908163.html
● 刑事司法改革 盗聴の制限 大甘に(2013年8月29日付東京新聞)
http://toracyan53.blog60.fc2.com/blog-entry-5363.html
●秘密保護法案の危うさ あの国家秘密法と同じ!?(東京新聞:こちら特報部)
播磨
http://www.asyura2.com/13/senkyo153/msg/771.html
(以下は,田中一郎の個人的な意見です)
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今般パブコメに付された「特定秘密の保護に関する法律案」に反対する。かような時
代錯誤で反民主主義的な法案を策定しているヒマがあったら,現在,不十分なままに
放置され,その精神が骨抜きにされてしまっている「情報公開法」を,もっと国民の
ために機能する法律に書き変える取組を強化せよ。政府のやることを合法的に露骨に
隠してしまえ,とする今回の「秘密保護法」など,許されるものではない。有権者・
国民が持つ,政府や行政のやることを具体的に「知る権利」=参政権の一種,の権利
侵害以外の何物でもない。日本国憲法違反である。
1.政府が行うことは,すべて原則「公開」されなければならない。それが,安全保
障であろうが,治安問題であろうが,外交であろうが,基本は「ガラス張り」でなけ
ればならない。そうしなければ,政府が行うことを多くの有権者・国民がチェック
し,その善悪・よしあしを検証することができなくなる。政府が「秘密保護」の大義
名分の陰に隠れて,ろくなことをしないことは,これまでの戦後の歴史を顧みれば明
らかであって,政府がなすことはすべて正しい,政府は間違うことはない,ことを前
提にしたような「秘密保護法」などは認められるはずもない,民主主義政治の破壊そ
のものだ。「秘密保護」とは,「秘密とは何か」を指定する者たちによる,その権限
「乱用」と表裏一体であり,権限を持つものによる反対論者の排除のために使われる
ことも自明である。「知らしむべからず,寄らしむべし」,民主主義を否定する政治
=有権者・国民を統治し,差配する歪んだ思想の現れに他ならない。
2.仮に,一時的に「交渉中」などを理由に,有権者・国民に詳細を知らせないこと
があるとしても,その「一時的」の期間は極力短くすべきであるし,その是非につい
ては,政府から独立した組織によって,検証され是非が正される必要がある。そし
て,公開されたあかつきには,多くの有権者・国民の批判や検証に付されるべきであ
る。
しかるに,この法案では,「秘密保護」の期間を,ほぼ永久的に長期化できるよう
な内容になっている。この法案を提出した現政権にある政治家達や霞が関の官僚達
は,自分達が永久にその政治・行政を牛耳ることができる特権階層か何かと勘違いを
しているのではないか。日本国憲法が定めるように,政治はすべて有権者・国民のた
めになされるのであり,それが担保されるためには,政治家や官僚達が,具体的に何
をしているか,何をしたか,何をしようとしているか,が明らかにされ,それが多く
の批判や検証にさらされなければ,「有権者・国民のため」は「絵にかいた餅」と
なってしまうだろう。特定の政治家や官僚達だけに,国の秘密と称することを独占さ
せるわけにはいかない。それは反国民的政治や行政の温床となり,また,ろくでもな
いことの隠蔽の巣になることは明らかである。
(例えば危険極まりない原発・核燃料施設の実態を隠蔽してきたのは政府だったでは
ないか,更にはまた,売国奴協定などと言われているTPPの交渉を秘密にしてしま
い(締結後も4年間秘密),有権者・国民にその内容を知らせぬままに事を決めよう
としているのも現政府である)
3.そもそも「秘密」の範囲指定が抽象的で,あいまいで,いくらでも政府の権限者
の恣意によって拡張が可能であり,場合によっては,政府・政権にとって都合の悪い
ものは,すべて秘密にすることができるような,そんな「歯止め」の利かない,どう
しようもない悪法案である。
4.既に日本には,政府や行政に関する「秘密保護」の法的な規定は存在している。
むしろ過剰なほどの規定が存在し,「情報公開法」「情報公開原則」に抵触する程度
にまで,政府や行政の情報公開度合いは低い。何をいまさら,更に「秘密保護」が必
要なのか。むしろ必要なのは,その逆,つまり,冒頭でも述べたように,政府や行政
の「情報公開」の徹底だ。
5.この「秘密保全法」に違反することに対する罰則規定が異常である。懲役10年
など,もはや人権侵害・政治参加弾圧そのもので,およそ民主主義国家がなすべきこ
とではない。政治は,有権者・国民を排除して,特定の特権者でやればよいとする考
え方だ。
加えて,この法案では,その「特定秘密」なるものの取得の仕方までをも罰則付き
で規定する他,その取得行為の未遂・共謀・教唆なども処罰の対象にしているという
から,これはもう有権者・国民の政治活動や社会活動に対する「脅威」「恐怖」その
ものとなってしまう。罰則に値する行為の定義,処罰する人の範囲の規定などが,あ
まりに漠然としていること,広範囲なことと併せて考えれば,これは戦前の悪名高き
「治安維持法」を再現させるものと言っていいのではないか。間違いなく,権力者た
ちの恣意が働くに違いない。
罰則強化の規定など,全く不要である。現状の各種法律の規定さえ,その規定を限
定する方向で,つまり情報公開を徹底させ,政府などの秘密主義を矯正する方向で再
検討すべきことだ。
5.更に憂慮すべきことは,上記のきつすぎる罰則規定が,おそらく政治や行政にお
ける国民の参加を萎縮させ,一種の「暗黒政治」ないしは「抑圧的」な雰囲気をつく
りだすであろうことは十分に推測できる。その結果,政治権力・政権は,有権者・国
民からの権力チェックをまのがれて,ややもすれば独善的に暴走し,国の進路を誤っ
てしまう可能性が高まるだろう。うっとうしい限りである。まさに権力の「威圧」に
よって,有権者・国民の知る権利を奪い,異議申し立てができぬような状態を創り上
げること,ここにこの法律の最大の目的があるようだ。
6.特定機密を扱える人間を「適正評価」する,というのも重大な人権侵害である。
ある政府の権力を握った人間達が,行政の一般職員や一般民間人を,この人の素生や
思想や言動はOK,こっちはダメ,などと「色分け」することなど,およそ許される
ことではない。思いあがるのもいい加減にしていただきたい。これは,「秘密保護」
を口実とした思想選別・人格選別であり,時の権力に都合のいい人間を重宝せんとす
る,いかにも歪んだ,汚らしい発想が見え隠れしている。まさに権力の乱用だ。
この「人格選別」の結果は,およそ「秘密保護」取扱に留まることなく,行政職員を
中心に,有権者・国民が支配権力者たちによって「色分けされていく」という,恐る
べき社会情勢をつくりだしてしまうだろう。なすべきことはあべこべ,であって,支
配権力や政治家・高級官僚たちこそを,有権者・国民が「色分け」し,選別しなけれ
ばならないのである。
7.今回の「秘密保全法案」でもう一つ重要なことは,日本版国家安全保障会議(N
SC)の創設や集団的自衛権の行使と一体的に進められていることだ。また,この法
案は,日米相互防衛援助協定(MDA)に加えて,「2007年に米国と締結した軍事情
報包括保護協定(GSOMIA)により、米国並みに厳罰を科す秘密保持体制をつく
るよう米国に要請されたのがルーツ」とされている。
簡単に言えば,この法律は,米国の配下にあって,米国に隷属しながら,日本とい
う国が「(米国のために)戦争ができる国」を目指そうというものに他ならない。こ
うした対米隷属の本音が他方において隠されているという,もう一つの重大な欠陥が
あることも看過できないことである。
8.上記以外にも,たとえば政府や行政のよからぬ行為を裁判に訴えようとした場合
に,「秘密保護」の壁に突き当たって証拠提示ができないとか,少し前に発覚した自
衛隊による自衛隊批判者の密かな調査などを禁止できなくなるとか,この法律は,日
本の民主主義の政治や,適正な行政の実現に,大きな障害物となって現れてくるだろ
う。まさに,日本という国の形を破壊する天下の悪法である。それを今回,わずかな
パブコメ期間を設けて,アリバイ的に有権者・国民の意見を聞いた形をとり,強行突
破で法制定に邁進しようとしているのである。
修正の余地などない,全面白紙撤回せよ。
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