汚染水問題での安倍首相発言に強い批判 -「さようなら原発大集会 」で-
- 2013年 9月 16日
- 時代をみる
- 岩垂 弘脱原発
9月15日、国内50基の全原発が止まった。昨年夏から国内で唯一運転していた福井県の関西電力の4号機がこの日止まったからだ。その前日の14日、東京都江東区の亀戸中央公園で「再稼働反対! 9・14さようなら原発大集会」が開かれた。「さようなら原発1000万人署名市民の会」の主催で、関東を中心に労組員、生協組合員、平和団体関係者、一般市民ら9000人(主催者発表)が集まったが、参加者からは「原発の再稼働は許さない」の声とともに「(東京電力第1原発の放射能汚染水漏れ問題に関する)状況はコントロールされているという安倍首相の発言はとんでもないうそつきだ」との発言が相次いだ。
「さようなら原発1000万人署名市民の会」は、福島第1原発の事故後、内橋克人(経済評論家)、大江健三郎(作家)、落合恵子(作家)、鎌田慧(ルポライター)、坂本龍一(音楽家)、澤地久枝(作家)、瀬戸内寂聴(作家)、辻井喬(詩人)、鶴見俊輔(評論家)の9氏の呼びかけでつくられた団体。市民の会は、政府と衆参両院に提出する「脱原発を実現し、自然エネルギー中心の社会を求める1000万人署名」を計画し、この署名運動を盛り上げるための集会を東京で開催してきた。
1回目の大規模集会は2011年9月19日に明治公園で、2回目のそれは2012年7月16日に代々木公園で、3回目のそれは今年の3月9日、明治公園で開いてきた。
そして、こんどの集会は亀戸中央公園。夏草が茂る会場には団体旗、のぼりがはためていたが、団体旗では自治労、日教組、私鉄総連、JR総連、全水道など旧総評系の組合旗が目立った。生協関係ではパルシステム、生活クラブ、なのはな生協(千葉県)ののぼりが見られた。市民団体ののぼりでは、9条連、たんぽぽ舎、婦人民主クラブ、大地を守る会など。
生協からの参加者もあれば 学生の参加者も
第1部は、福島、青森、福井、新潟、茨城の各県で脱原発運動を続けている団体の代表や個人の訴え。第2部では、呼びかけ人の落合恵子さん、大江健三郎さん、鎌田慧さんが登壇した。
安倍首相は、さる7日の東京オリンピック招致演説で「状況はコントロールされている。汚染水による影響は福島第1原発の港湾内の0・3平方キロメートル範囲内で完全にブロックされている」と発言したとされている。
落合さんは冒頭からこの発言を取り上げ「とんでもない発言です。汚染水がコントロールされているなんて、ご自分で現地に行って確かめたんでしょうか。首相の発言は国際公約それは守らなくてはなりません。首相はこの先、どうするんでしょうか」と述べた。
大江さんも汚染水問題に言及し「きのう、東電の専門家が汚染水の問題はコントロールされていないと言った。その専門家は、(福島第1原発では)想定外のことが起きていると言っていた。人間、想定外のことはコントロールできない。明らかに首相はうそをついている。汚染水が港に流れ出せば、外洋に広く拡散するだろう。韓国、中国、台湾、フィリピンにまで汚染水が到達するようなことがなければよいが」と警告した。
さらに、大江さんは続けた。「首相はなぜうそをつくのか。それは、現実を見ていないからだ。原発問題でも、まず、現実を見よ。各種のアンケート調査によれば、女性の70%が原発はいらないと答えているのだから」
主催者挨拶の大江健三郎さん
鎌田さんは「私たちの運動により、昨年、原発ゼロが実現した。その結果、原発神話は崩れ、原発がなくても私たちの生活には何の不自由もないことが分かった。その後、原発の再稼働があったが、それもあす15日には止まり、16日から再び原発ゼロになる。安倍政権や経済界は原発再稼働、原発推進に躍起だが、絶対にそれを許してはいけない」と訴えた。
一般市民にも呼びかけるのぼり
集会後、参加者は錦糸町コース、浅草・押上コースに分かれてパレードを繰り広げた。
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