近況報告と伊藤律シンポジウムの案内
- 2013年 10月 12日
- 評論・紹介・意見
- 伊藤律尾崎秀樹松本清張渡部富哉
9月25日、上海のシンポジウムを終え、シルクロードの旅を楽しんで無事に帰ってきました。出発にあたって各位の激励とさまざまなご援助ありがとうございました。改めて報告書を作成の予定にしていますが、帰国後11月に予定されているさまざまな行事が目白押しの状況です。このままでは10月に最盛期を迎える年に一度の茸のシーズンが手つかずのまま過ぎ去ってしまうのではないかと危惧されています。
さて懸案だった来年3月に予定されている伊藤律の故郷の瑞浪市の伊藤律シンポジウムについて以下の通り、瑞浪市会議員井沢康樹氏より連絡が来ましたのでお知らせします。
思えば伊藤律死去の89年以来追及してきた「伊藤律スパイ説」は『偽りの烙印』をもって完全に葬りましたが、これを持って伊藤律の名誉が回復されたとはいえず、引き続いて「名誉回復」のさまざまな取り組みを行ってきましたが尾崎秀樹、松本清張の厖大な読者には届かず、その後も依然として苦闘を続けてきましたが、加藤哲郎教授の米軍情報部の資料の発掘により、尾崎秀樹、松本清張らが依拠した資料が米軍C2ウイロビーによるものであり、その中心的な役割を果たした川合貞吉は「伊藤律スパイ説」を声高に吹聴してきましたが、その張本人こそが米軍のスパイであることが暴露されました。(明日から京都に出張、帰路大阪で会議)これによって文芸春秋は『日本の黒い霧』所収「革命を売る男─伊藤律」が誤りであることが分かり、旧版の回収と「新装版」(2013年5月)『日本の黒い霧』の末尾に「作品について」という文書が付されることになった。日本を代表する国民的な作家と元日本ペンクラブ会長の作品(『生きているユダ』)はノンフィクション作品とされてきたが、それが全面的に見直しの事態になった。人権問題が厳しく問われる今日、今後、日本の文学史はこれら一連の作品をどう評価するだろうか。
こういう状況を受けて瑞浪市での以下の動きは機敏であった。これは大きな一石となるだろう。参考までに─。
渡部富哉様
伊藤淳様
篠田正浩様
伊藤律シンポジウムの主旨と、パネルディスカッションのテーマと参加者と、後援申請先を提案します。
美濃源氏フォーラムは承認して頂きましたので、伊藤律遺族会としても、伊藤律の名誉回復を求める会としても宜しくお願い致します。
瑞浪市教育委員会に関しては、昨日素案を事務局に見せて、意見を聞きたいと伝え、明日の瑞浪市議会9月定例会最終日に瑞浪市並びに瑞浪市教育委員会への後援申請を提出する次第です。
また、伊藤律氏の旧制恵那中学同級生長谷川大二氏が見つかりましたので、明後日以降に面会しインタビューをして、当日のパネルディスカッションに映像参加にしたいと思います。
以上、ご確認をお願いします。
井澤康樹
「生誕100年記念伊藤律シンポジウムinふるさと瑞浪」(案)
日本の戦前戦後史に社会運動家として活躍した伊藤律氏は、大正2年6月27日に瑞浪市土岐町で生まれ今年、生誕100年を迎えました。
旧制恵那中学(現在の恵那高校)に進学して以後は神童の名の如く僅か4年生で旧制第一高等学校(現在の東京大学)へ飛び級で進学し、将来の道は官吏や政治家を始め望むべき道を保証されたも同然で故郷から旅立ったわけでありました。
しかし、伊藤律氏は混迷を深める社会情勢の中で、貧しい小作人や労働者救済の道を共産主義に求めて突き進んでいき、時代混迷の権力闘争の渦の中で、また占領軍下の情報錯綜する中で、国際的ゾルゲ事件のスパイとする「偽りの烙印」を押されたまま27年間の中国幽閉生活を余儀なくされましたが、生誕100年を迎えた平成25年が、その名誉を回復する記念の年となりました。
現代は時代の転換期であり、正に伊藤律氏が立ち向かった混迷の様相を呈しているかの状況下であり、私たちは「戦前戦後史の教訓と、未来へのパスポート」を手にするために、ここに伊藤律シンポジウムを開催します。
日時:平成26年3月2日(日)午後1時開演(12時開場)
場所:瑞浪市総合文化センター文化ホール(780席) 講師:伊藤淳氏 伊藤律遺族代表
演題:「息子が語る、父伊藤律」
講師:渡部富哉氏 伊藤律の名誉回復を求める会主宰
演題:「解明されたゾルゲ事件の端緒-その研究の現段階」
講師:篠田正浩氏 映画監督
演題:「絹と油-尾崎ゾルゲ事件再考」
休憩15分
パネルディスカッション
テ ー マ:「戦前戦後史の教訓と、未来へのパスポート-伊藤律顕彰のあり方」
司 会 者:井澤康樹氏 美濃源氏フォーラム事務局本部理事長 または鈴木規夫氏 愛知大学教授
パネラー:長谷川大二氏 旧制恵那中学同級生(100歳のためビデオ出演)
パネラー:加知弘至氏 旧制恵那中学後輩
パネラー:(文藝春秋の鈴木さんに交渉します)
パネラー:講演者の皆さん
会費:500円(資料代)
主催 : 伊藤律シンポジウム実行委員会
後援 : 美濃源氏フォーラム事務局本部・伊藤律遺族会・ 伊藤律の名誉回復を求める会 (申請予定:瑞浪市・瑞浪市教育委員会・岐阜県・岐阜県教育委員会・恵那市・恵那市教育委員会・中津川市・ 中津川市教育委員会・土岐市・土岐市教育委員会・多治見市・多治見市教育委員会・白川町・白川町教育委員会)
協賛:(株)井澤商店50周年記念事業
〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔opinion4644:131012〕
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